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第八章 風の少女

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『エアブレード』

 鋭い風の刃が敵一体を切り裂き、大ダメージをあたえる。
 ゲームのマニュアル的に説明すればそんな感じだ。
 だが実際に見ると、とんでもなく残虐な魔法だということわかった。


◇◆◇◆◇◆◇◆◇


「あーあ。お馬さんだけは助けたかったんだけど、ちょっと当たっちゃったか」

 竜騎士と馬の死体を見下ろし、女の子は肩をすくめた。 
 まったく悪びれてない、ケロッとした様子だ

 それにしても年端もない女の子が、こうも簡単に人を殺せるのか?
 かわいい外見にこの残忍さ――
 あまりにアンバランスすぎて、余計に狂って見える。

「今のは少し危なかったですね、セフィーゼ。どうか気を付けてください」
 と、横に控えていた男が、少女に声をかけた。

「大丈夫よお、ヘクター。こいつらてんで弱いんだから。こんなことならもっと早く戦いを挑むべきだったよね」

「セフィーゼ、油断は禁物ですよ。今やあなたはイーザを率いるイーザの族長。自分の身の安全を常に優先して考えてください」

「わかった、わかったから」
 と、セフィーゼが口を尖らせる。

「ところでさ、前から思ってたんだけど、その族長っての止めてくれない? なんかダサい」

「ダサい、ですか……ではなんと呼べばいいのですか?」
 ヘクターと呼ばれた男が苦笑して尋ねた。

「そうね」
 セフィーゼは少し考えてから言った。
「団長――騎士団長がいいかな。だって、そっちのロードラントの人たち、弱いくせに騎士なんでしょ? じゃあそれよりずっと強い私たちだって騎士を名乗ってもいいと思うの。馬の扱いは得意なんだし」

「わかりました、団長。ではみんなに後でそう伝えておきましょう」
 と、ヘクターはうなずいた。

 このセフィーゼという少女が族長……。
 つまり、彼女がイーザ軍を率いて反乱を起こし、ロードラント軍と戦っているということなのか? 

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