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第六章 戦いの始まり
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戦場を熟知し、幾多の危機を乗り越えてきたであろうレーモンの指示は実に的確だった。
兵士たちは急に我を取り戻し、盾で矢を防ぎつつ、数十人の小隊に分かれ円形の陣を組み始めた。
陣形が整ったところで、外側に入る兵士は前に、中にいる兵士は上にそれぞれ大盾をかかげた。
するとそこに出来上がったのは、大きな盾のドーム。
ちょうど巨大な亀の甲羅のような感じだ。
なるほど、これなら弓の攻撃はほぼ100%防げる。
不意打ちを食らったから仕方ないが、最初からこうしていれば被害はもっと少なかったに違いない。
レーモンがアリスに向かって叫ぶ。
「アリス様、ここは私に任せ、矢の標的にならぬよういったん馬を降り、その者と後方に下がってください。そして一刻も早くコノート城へ撤退を!」
「その通りです、アリス様」
と、僕もアリスに言った。
「この場はレーモン様に任せましょう」
自分の無力さを思い知ったのだろう、アリスはしゅんとうなだれ、素直に馬を降りた。
「さあ、早くこちらへ!」
僕はアリスを連れ、走って道から外れた林の中に移動した。
さすがにここまでは矢は飛んでこない。
が、敵がすぐ近くに迫っていることは確かだ。
つまり、逃げるなら今しかチャンスはない。
「アリス様、レーモン様の言うとおり、輜重部隊の後を追ってコノート城に向かったほうがよろしいのではないでしょうか?」
僕は思い切って進言した。
『ガード』の魔法で矢は防げるとしても、敵に直接襲われたら、僕一人の力でアリスを守り切る自信はないからだ。
しかしアリスは――
「それだけはできない! どうして王が一人逃げられようか!」
案の定、聞く耳を持たない。
こうなるともうアリスはテコでも動かないだろう。
兵士たちは急に我を取り戻し、盾で矢を防ぎつつ、数十人の小隊に分かれ円形の陣を組み始めた。
陣形が整ったところで、外側に入る兵士は前に、中にいる兵士は上にそれぞれ大盾をかかげた。
するとそこに出来上がったのは、大きな盾のドーム。
ちょうど巨大な亀の甲羅のような感じだ。
なるほど、これなら弓の攻撃はほぼ100%防げる。
不意打ちを食らったから仕方ないが、最初からこうしていれば被害はもっと少なかったに違いない。
レーモンがアリスに向かって叫ぶ。
「アリス様、ここは私に任せ、矢の標的にならぬよういったん馬を降り、その者と後方に下がってください。そして一刻も早くコノート城へ撤退を!」
「その通りです、アリス様」
と、僕もアリスに言った。
「この場はレーモン様に任せましょう」
自分の無力さを思い知ったのだろう、アリスはしゅんとうなだれ、素直に馬を降りた。
「さあ、早くこちらへ!」
僕はアリスを連れ、走って道から外れた林の中に移動した。
さすがにここまでは矢は飛んでこない。
が、敵がすぐ近くに迫っていることは確かだ。
つまり、逃げるなら今しかチャンスはない。
「アリス様、レーモン様の言うとおり、輜重部隊の後を追ってコノート城に向かったほうがよろしいのではないでしょうか?」
僕は思い切って進言した。
『ガード』の魔法で矢は防げるとしても、敵に直接襲われたら、僕一人の力でアリスを守り切る自信はないからだ。
しかしアリスは――
「それだけはできない! どうして王が一人逃げられようか!」
案の定、聞く耳を持たない。
こうなるともうアリスはテコでも動かないだろう。
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