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第四章 初めての魔法

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「ティルファ!! ティルファではないか! しっかりしろ、いったい何があった!!」

 アリスは馬を近づけ、ティルファという瀕死の女騎士を抱え起した。
 さすがのアリスも動揺を隠せない様子だ。

 レーモンも馬を寄せ、
「アリス様、とりあえずティルファを馬から降ろしましょう。そこにちょうど良い草むらがございます」
 と言って、ティルファの体を抱きかかえた。

「ああ、頼む」

 アリスとリナ、レーモンその他数名の騎士が馬を降り、ティルファを抱えてやわらかい草の上に寝かせようとする。

「肩の矢が邪魔だな。抜けないのか?」
 と、アリスがレーモンに聞いた。

「今抜くと出血がよりひどくなるかもしれません。さあ、そこの切り株に体を」

 レーモンは騎士に命じ、ティルファの上半身を大きな切り株にもたれかけさせた。これなら刺さった矢が邪魔にならない。

「ううん……」

 ティルファが苦しそうにうめく。もう息も絶え絶えだ。 

「アリス様、一刻も早く治療を!」
 と、リナが言った。

「そうだ! マリアを、シスターマリアを呼べ!」
 アリスが叫ぶ。

「はっ」と、返事をした伝令役の兵士が一人、隊列をかき分け後方に走っていった。

 振り向くと、いつのまにか部隊の最後尾に大きな馬車が何台か止まっているのが見えた。
 馬車と言っても荷台は金属で覆われていて、まるで装甲車のような形状をしている。 
 おそらくあれは、食料や武器などの物資を運ぶ輜重しちょう部隊なのだろう。

 兵士は馬車の一台に駆け込み、すぐに誰かを連れだした。
 そこに現われたのは、純白の修道服に身を包んだ美しいシスターだ。

 ベールの下に、現実世界では見たことのない美しい緑の髪が見える。
 神々しい雰囲気漂わせるその姿は、まさに「聖女」と言った感じだ。

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