異世界最弱だけど最強の回復職《ヒーラー》

波崎コウ

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第三章 異世界転移

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 覚悟を決めた僕は、そのまま行軍を続けることにした。
 だが、目線はどうしても白馬の少女を追ってしまう。

 なにしろ少女はまばゆい輝きに満ちている。
 強烈なオーラ――今まで感じたことない高貴な光を全身から発していて、どうしても目がそっちに吸い寄せられてしまうのだ。 

 そして僕は確信した。
 きっと彼女はロードラント王国の王女に違いない、と。

 その時だった。
「アリス様!!」と、呼びかけながら、一人の騎士が白馬の少女に近づいた。
 立派な白いひげを生やした、かなり年配の騎士だ。

 へえー、
 あの女の子、アリスと言うのか。
 もし本当に彼女が王女様だとしたら……。

 “王女アリス”

 うん。
 まさにぴったりの名前だ。

 などと考えていると――

「なんだレーモン」
 アリス、と呼ばれたその少女は、老騎士に対して不機嫌そうに答えた。 

「今、我々はすでに敵地に入っております。どうか兜《かぶと》をお被りください」
 そう言って、老騎士レーモンは美しい銀の兜を差し出した。

「必要ない」
 が、アリスは兜を一瞥いちべつして首を振った。

「そんな大そうなモノ被ったら暑くてかなわん。そのうえ視界が遮られて軍全体を見渡せぬ。指揮を執るのに差し障るではないか」

「――しかし」

「くどい! 窮屈きゅうくつな宮廷からようやく出られたと思ったらこれだ。まったく父王も余計な者をつけたものだ」

 アリスはぷいと横を向いてしまった。
 かなりご機嫌斜めのようだ。

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