22 / 505
第三章 異世界転移
(3)
しおりを挟む
「ここはどこ? やっぱりマジで――異世界?」
隊列に合わせて歩きながら、ヘッドセットの向うのセリカに聞く。
「そう。あなたが望んだ剣と魔法の世界。オンラインRPGに似た夢の異世界よ」
セリカは平然と答えた。
「でも……いきなりこんな所に放り出されてもぜんぜん状況がつかめないよ。この軍隊はいったい何なんだよ」
同じファンタジーの世界でも、さすがに最初はもう少し落ち着いた場所へ来たかった。街とか、お城とか……。
そう思って、僕はセリカに不満をぶつけた。
「あのさあ、これがゲームだったらまずチュートリアルをこなし、ギルドに登録し仲間を集めて、色々なクエストを受けこなしていく。それが普通の流れだと思うんだけど」
「残念でした。転移前に言った通り、そこはゲームの世界じゃなくてあくまで現実だから、そんなまどろっこしいことはやってられないの」
「いやいや、だからっていきなり武器を持って戦えってこと? 無茶苦茶すぎるよ」
「ま、そう慌てないで。そのうち色々わかってくるし、あなたはその世界で生き延びるだけの最低限の力は持ってるから」
「でもさ……」
戸惑うな、という方が無理だ。
「ええっと――オンラインRPGでのあなたの自キャラは回復役《ヒーラー》だっけ?」
「そうだけど」
「しかもかなりレベルの高い」
「うん」
「ということは、あなたは今、そのキャラと同じ能力を備えているはず。そっちに行く前にそう言ったでしょう」
「確かにそれは聞いたけど」
「じゃあ何も心配する必要はないわ。最低限の力に加えて、今のあなたは回復役としてすっごい能力を持っているんだから。ま、慣れるまでは私がナビゲートしてあげるから。ちょっと冷静になってまわりを観察してみて。それじゃ、いったん切るね」
セリカはそう言って、一方的に通話を切った。
隊列に合わせて歩きながら、ヘッドセットの向うのセリカに聞く。
「そう。あなたが望んだ剣と魔法の世界。オンラインRPGに似た夢の異世界よ」
セリカは平然と答えた。
「でも……いきなりこんな所に放り出されてもぜんぜん状況がつかめないよ。この軍隊はいったい何なんだよ」
同じファンタジーの世界でも、さすがに最初はもう少し落ち着いた場所へ来たかった。街とか、お城とか……。
そう思って、僕はセリカに不満をぶつけた。
「あのさあ、これがゲームだったらまずチュートリアルをこなし、ギルドに登録し仲間を集めて、色々なクエストを受けこなしていく。それが普通の流れだと思うんだけど」
「残念でした。転移前に言った通り、そこはゲームの世界じゃなくてあくまで現実だから、そんなまどろっこしいことはやってられないの」
「いやいや、だからっていきなり武器を持って戦えってこと? 無茶苦茶すぎるよ」
「ま、そう慌てないで。そのうち色々わかってくるし、あなたはその世界で生き延びるだけの最低限の力は持ってるから」
「でもさ……」
戸惑うな、という方が無理だ。
「ええっと――オンラインRPGでのあなたの自キャラは回復役《ヒーラー》だっけ?」
「そうだけど」
「しかもかなりレベルの高い」
「うん」
「ということは、あなたは今、そのキャラと同じ能力を備えているはず。そっちに行く前にそう言ったでしょう」
「確かにそれは聞いたけど」
「じゃあ何も心配する必要はないわ。最低限の力に加えて、今のあなたは回復役としてすっごい能力を持っているんだから。ま、慣れるまでは私がナビゲートしてあげるから。ちょっと冷静になってまわりを観察してみて。それじゃ、いったん切るね」
セリカはそう言って、一方的に通話を切った。
0
お気に入りに追加
219
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
日本列島、時震により転移す!
黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
俺が死んでから始まる物語
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていたポーター(荷物運び)のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもないことは自分でも解っていた。
だが、それでもセレスはパーティに残りたかったので土下座までしてリヒトに情けなくもしがみついた。
余りにしつこいセレスに頭に来たリヒトはつい剣の柄でセレスを殴った…そして、セレスは亡くなった。
そこからこの話は始まる。
セレスには誰にも言った事が無い『秘密』があり、その秘密のせいで、死ぬことは怖く無かった…死から始まるファンタジー此処に開幕
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
何でリアルな中世ヨーロッパを舞台にしないかですって? そんなのトイレ事情に決まってるでしょーが!!
京衛武百十
ファンタジー
異世界で何で魔法がやたら発展してるのか、よく分かったわよ。
戦争の為?。違う違う、トイレよトイレ!。魔法があるから、地球の中世ヨーロッパみたいなトイレ事情にならずに済んだらしいのよ。
で、偶然現地で見付けた微生物とそれを操る魔法によって、私、宿角花梨(すくすみかりん)は、立身出世を計ることになったのだった。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
無限に進化を続けて最強に至る
お寿司食べたい
ファンタジー
突然、居眠り運転をしているトラックに轢かれて異世界に転生した春風 宝。そこで女神からもらった特典は「倒したモンスターの力を奪って無限に強くなる」だった。
※よくある転生ものです。良ければ読んでください。 不定期更新 初作 小説家になろうでも投稿してます。 文章力がないので悪しからず。優しくアドバイスしてください。
改稿したので、しばらくしたら消します
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
おじさんが異世界転移してしまった。
明かりの元
ファンタジー
ひょんな事からゲーム異世界に転移してしまったおじさん、はたして、無事に帰還できるのだろうか?
モンスターが蔓延る異世界で、様々な出会いと別れを経験し、おじさんはまた一つ、歳を重ねる。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
凡人がおまけ召喚されてしまった件
根鳥 泰造
ファンタジー
勇者召喚に巻き込まれて、異世界にきてしまった祐介。最初は勇者の様に大切に扱われていたが、ごく普通の才能しかないので、冷遇されるようになり、ついには王宮から追い出される。
仕方なく冒険者登録することにしたが、この世界では希少なヒーラー適正を持っていた。一年掛けて治癒魔法を習得し、治癒剣士となると、引く手あまたに。しかも、彼は『強欲』という大罪スキルを持っていて、倒した敵のスキルを自分のものにできるのだ。
それらのお蔭で、才能は凡人でも、数多のスキルで能力を補い、熟練度は飛びぬけ、高難度クエストも熟せる有名冒険者となる。そして、裏では気配消去や不可視化スキルを活かして、暗殺という裏の仕事も始めた。
異世界に来て八年後、その暗殺依頼で、召喚勇者の暗殺を受けたのだが、それは祐介を捕まえるための罠だった。祐介が暗殺者になっていると知った勇者が、改心させよう企てたもので、その後は勇者一行に加わり、魔王討伐の旅に同行することに。
最初は脅され渋々同行していた祐介も、勇者や仲間の思いをしり、どんどん勇者が好きになり、勇者から告白までされる。
だが、魔王を討伐を成し遂げるも、魔王戦で勇者は祐介を庇い、障害者になる。
祐介は、勇者の嘘で、病院を作り、医師の道を歩みだすのだった。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
外れスキル【転送】が最強だった件
名無し
ファンタジー
三十路になってようやくダンジョン入場試験に合格したケイス。
意気揚々と冒険者登録所に向かうが、そこで貰ったのは【転送】という外れスキル。
失意の中で故郷へ帰ろうとしていた彼のもとに、超有名ギルドのマスターが訪れる。
そこからケイスの人生は目覚ましく変わっていくのだった……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる