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第一章 絶望の現実世界

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 その後、何時間街をさまよっただろうか――
 いつの間にか陽は落ち、空のあちこちに星が輝き始めていた。
 
 気が付くと、僕は人気のない踏切の前に立っていた。
 急行電車が猛スピードで、目の前を何回か通過していく。
 それを虚ろな目で見つめながら、ふと思った。

 ――もう生きていく気力もないし、生きている価値もない。

 と。

 そして考えた。
 これは現実なのだろうか? 

 いや――違う。

 そう、これは夢だ。
 夢なんだ。

 しかもひどい悪夢
 じゃあ、目覚めるには、どうしたらいい?

 思いつくことは、一つ。

 このまま前に進んで電車に飛び込むのだ。
 そうすれば悪夢は消えてなくなるだろう。

 死ぬことなんて怖くない。
 むしろ安らぎなのだ。


 踏切の警報がまた鳴り始めた。
 急行電車が、また、すぐそこまで来ている。

 僕は何かに取り憑かれたかのように一歩一歩前に進み、遮断機の棒に手をかけ、少し持ち上げた。
 そこをくぐって、線路内に入ろうとする。

 その時――

「あなた、死ぬつもり?」

 誰かが僕の肩を後ろからぐいっとつかんだ。
 振り向くとそこには、見覚えのある一人の女の子が立っていた。

 そしてそれが、清家せいけセリカとの運命の出会いだった。

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