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38 二月後の交渉は滞りなく
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今日は二度目の通行税の報告の為、タリ・タスチーヌ侯爵の屋敷に来ております。
カンカンドンドンと大きな音が響く中、領主の会合は始まりました。
異物が含まれておりますが、タリ・タスチーヌ侯爵が同席を認めたので仕方ありません。
荒野の開拓地と沼地の住人は相変わらずですわ。
テスイール領に入って来た賊の捕縛の処理に関してと、沼地では不満が膨らみの門破りと通行税不払いまで発展した件。
それらに関してアークアラ公爵が発言しました。
「何故アークアラ公爵が仰るのかしら」
「あぁ済まない、マリナリア嬢。ほら、委任状。この会合に口を挟ませてもらうよ」
「以前にもいいましたが私、公爵に名前呼びされる謂れはないですわ。それとタリ・テスイールの爵位を継いでおりますのでそちらで呼んで頂きたいですわね」
「あぁ、わかっておる」
本当にわかっているか不明ですが、話が進まなくなりますから気にしない様にします。
「この賊達は今どうしている」
「前回はタリ・タスチーヌ侯爵に確認後、国の収容所へ送りましたわ」
「ふむ、では今回はこちらに送って貰えるかな」
「こちらに、というとタリ・タスチーヌ侯爵の屋敷にでしょうか」
「そうだ、何か不服かね」
「この屋敷には地下牢がありますが、ほぼ使われておりません。点検や罪人の食料、見廻りなど物も人も不足している今引き取るとなると……」
何を考えているのやら。
「マリナリア嬢には出来ない事だな。どうせ国に送る際安く売り渡しているのだろう。私なら高値で国に渡せるからな」
「……そうですか、私は構いません。こちらに送りましょう」
何が目的かは不明ですので、要注意と心に留め置きます。
セバスを見ると軽く頷いていました。
「沼地の通行税不払いに関しては、こちらで注意し対応しよう。何、タリ・タスチーヌ侯爵が一言言えば大人しくなるだろう」
「それは助かりますわ。侯爵が訪問されるという事ですわね」
「そうだ」
ふふふ、はははとお互い腹の探り合いをしながら、サクサクと話は進んでいきます。
その間タリ・タスチーヌ侯爵は一言も発しておりません。
いつもの様に何も考えず、公爵にお任せしているのでしょう。
荒地から溢れた賊の迷惑料と通行税不払いの違約金をアークアラ公爵が支払いましたわ。
違約金に対しては公爵が「高すぎる」と言い出しましたが、条約の書類を見せると黙りました。
普通なら『通常の違約金の十倍』なんてしませんものね。
『本人拘束後牢行きと違約金』が妥当ですわ。
しかも、領民全てに当てはめるなど良い領主というかなんといおうか。
誘導した私でもよく出来たものだと感心しますもの。
そして今回特出すべきは屋敷周辺の領地から違反者が出なかった事ですわ。
あの二人を大人しくさせておくなど、どのように説得したのやら。
この音と関わりあっているのだろうと推測出来ますが、突発的に動く元殿下を止めるなど流石アークアラ公爵ですわね。
私はひとしきり感心して、今回の会合は滞りなく終わりました。
カンカンドンドンと大きな音が響く中、領主の会合は始まりました。
異物が含まれておりますが、タリ・タスチーヌ侯爵が同席を認めたので仕方ありません。
荒野の開拓地と沼地の住人は相変わらずですわ。
テスイール領に入って来た賊の捕縛の処理に関してと、沼地では不満が膨らみの門破りと通行税不払いまで発展した件。
それらに関してアークアラ公爵が発言しました。
「何故アークアラ公爵が仰るのかしら」
「あぁ済まない、マリナリア嬢。ほら、委任状。この会合に口を挟ませてもらうよ」
「以前にもいいましたが私、公爵に名前呼びされる謂れはないですわ。それとタリ・テスイールの爵位を継いでおりますのでそちらで呼んで頂きたいですわね」
「あぁ、わかっておる」
本当にわかっているか不明ですが、話が進まなくなりますから気にしない様にします。
「この賊達は今どうしている」
「前回はタリ・タスチーヌ侯爵に確認後、国の収容所へ送りましたわ」
「ふむ、では今回はこちらに送って貰えるかな」
「こちらに、というとタリ・タスチーヌ侯爵の屋敷にでしょうか」
「そうだ、何か不服かね」
「この屋敷には地下牢がありますが、ほぼ使われておりません。点検や罪人の食料、見廻りなど物も人も不足している今引き取るとなると……」
何を考えているのやら。
「マリナリア嬢には出来ない事だな。どうせ国に送る際安く売り渡しているのだろう。私なら高値で国に渡せるからな」
「……そうですか、私は構いません。こちらに送りましょう」
何が目的かは不明ですので、要注意と心に留め置きます。
セバスを見ると軽く頷いていました。
「沼地の通行税不払いに関しては、こちらで注意し対応しよう。何、タリ・タスチーヌ侯爵が一言言えば大人しくなるだろう」
「それは助かりますわ。侯爵が訪問されるという事ですわね」
「そうだ」
ふふふ、はははとお互い腹の探り合いをしながら、サクサクと話は進んでいきます。
その間タリ・タスチーヌ侯爵は一言も発しておりません。
いつもの様に何も考えず、公爵にお任せしているのでしょう。
荒地から溢れた賊の迷惑料と通行税不払いの違約金をアークアラ公爵が支払いましたわ。
違約金に対しては公爵が「高すぎる」と言い出しましたが、条約の書類を見せると黙りました。
普通なら『通常の違約金の十倍』なんてしませんものね。
『本人拘束後牢行きと違約金』が妥当ですわ。
しかも、領民全てに当てはめるなど良い領主というかなんといおうか。
誘導した私でもよく出来たものだと感心しますもの。
そして今回特出すべきは屋敷周辺の領地から違反者が出なかった事ですわ。
あの二人を大人しくさせておくなど、どのように説得したのやら。
この音と関わりあっているのだろうと推測出来ますが、突発的に動く元殿下を止めるなど流石アークアラ公爵ですわね。
私はひとしきり感心して、今回の会合は滞りなく終わりました。
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