37 / 43
37 商人
しおりを挟む
アークアラ公爵と会った数日後、タリ・テスイール侯爵家の屋敷に帰宅しました。
屋敷では報告書や手紙の山が出来ていました。
とある商会からも来てますわね、珍しい事。
会長直々に報告をしたい旨の記載がありました。
あの方が、王都を離れるなんて益々珍しいですわね。
テスイールは様々な商会を抱えています。
古くからの商会は既に単体で名が売れており、テスイール傘下だということを知らない貴族も多くいらっしゃいます。
テスイールも商会も特に触れ回らないですもの。
でも、調べればわかりますわ。
王国始まって以来、物流は我が家がずっとおさえておりますもの。
「ふふ、同日にすればいいかしら」
「何をでございますか?マリナリアお嬢様」
「王都最大手の商会長から面会予約が入ったの。だからね、今育てている商会と会わせて見ようと思って」
「王都最大手というと、あの装飾品店でございますか?」
「そう、タリ・タスチーヌ侯爵の所に寄って注文商品の売買を行ってからこちらに来るそうよ」
「では通行税の減額を……」
「必要ないわね、商人ですもの。どうせアークアラ公爵が滞在中だと知っての訪問でしょう。タリ・タスチーヌ侯爵では支払えないもの。それに税に手数料をふんだんに乗せて請求するはずよ。その方がおいしいですものね」
私もその方がいいわ。
テスイールの領門で商会長に日時指定の手紙が届く様に手配して、私は楽しみに待ちましたわ。
商会長の訪問と共に長い挨拶が終わり、彼が私の後ろに控えていた若い商人に目を留めましたわ。
それを見て、私はそっと胸をなで下ろしました。
どうやら、やり手の商人の目に留まったようですもの。
領地で新しい商会を育てるのは、この地を活性させる為に必要な事ですものね。
私が少し目を離した隙に、商人達の交渉が過熱していました。
商人達の丁々発止は凄まじく、流石やり手の商人と思わせましたわ。
見事に情報を売りつけて帰って行った商会長に若手の商人がどう感じたか気になりました。
「どう?王都で長年独走している商会の長だけあるでしょう?」
「凄いですね。まず情報量と判断力が違います。気づけば言葉を誘導されていました」
「一方的に情報を取られていたものね」
「はぁ、情けないです……」
「貴方も貴族子息として育ったのだから、もう少し貴族に通じないと生え抜き商人に食い物にされるわよ」
商人とはどうしても大金を動かします。
最初の商会長は貴族の三男以降の子息が多いのです。
「アークアラ公爵の所持金が減ったのだから、何時までもタリ・タスチーヌ侯爵の所にいないでしょう。何か仕掛けてくると思われます」
「逃げるという可能性はないのですか?」
「それはないわね。昔からロンドリオ殿下いえ元殿下に親馬鹿ならぬ叔父馬鹿を発揮して甘やかしてましたから」
「それでも逃げませんかね」
「ふふ、情報収集不足ね。何故商会長が動いたかわからない?」
「えっ……」
「アークアラ公爵はね、爵位は取り上げられていないだけで、実質見放されたのよ。食料を卸しているのだから気づくでしょう。家臣の少なさを」
「確かに予想より消費量が少ないので、あまり値上げ出来ていませんね」
「他の人だと支払いを渋られ、延ばされ逃げられる可能性があったから、商会長が来たのよ。まぁ必要なかったみたいだけれどね」
ロンドリオ元殿下の一言で支払いを決めたなんて、自分の立場をわかっているのかしらね。
屋敷では報告書や手紙の山が出来ていました。
とある商会からも来てますわね、珍しい事。
会長直々に報告をしたい旨の記載がありました。
あの方が、王都を離れるなんて益々珍しいですわね。
テスイールは様々な商会を抱えています。
古くからの商会は既に単体で名が売れており、テスイール傘下だということを知らない貴族も多くいらっしゃいます。
テスイールも商会も特に触れ回らないですもの。
でも、調べればわかりますわ。
王国始まって以来、物流は我が家がずっとおさえておりますもの。
「ふふ、同日にすればいいかしら」
「何をでございますか?マリナリアお嬢様」
「王都最大手の商会長から面会予約が入ったの。だからね、今育てている商会と会わせて見ようと思って」
「王都最大手というと、あの装飾品店でございますか?」
「そう、タリ・タスチーヌ侯爵の所に寄って注文商品の売買を行ってからこちらに来るそうよ」
「では通行税の減額を……」
「必要ないわね、商人ですもの。どうせアークアラ公爵が滞在中だと知っての訪問でしょう。タリ・タスチーヌ侯爵では支払えないもの。それに税に手数料をふんだんに乗せて請求するはずよ。その方がおいしいですものね」
私もその方がいいわ。
テスイールの領門で商会長に日時指定の手紙が届く様に手配して、私は楽しみに待ちましたわ。
商会長の訪問と共に長い挨拶が終わり、彼が私の後ろに控えていた若い商人に目を留めましたわ。
それを見て、私はそっと胸をなで下ろしました。
どうやら、やり手の商人の目に留まったようですもの。
領地で新しい商会を育てるのは、この地を活性させる為に必要な事ですものね。
私が少し目を離した隙に、商人達の交渉が過熱していました。
商人達の丁々発止は凄まじく、流石やり手の商人と思わせましたわ。
見事に情報を売りつけて帰って行った商会長に若手の商人がどう感じたか気になりました。
「どう?王都で長年独走している商会の長だけあるでしょう?」
「凄いですね。まず情報量と判断力が違います。気づけば言葉を誘導されていました」
「一方的に情報を取られていたものね」
「はぁ、情けないです……」
「貴方も貴族子息として育ったのだから、もう少し貴族に通じないと生え抜き商人に食い物にされるわよ」
商人とはどうしても大金を動かします。
最初の商会長は貴族の三男以降の子息が多いのです。
「アークアラ公爵の所持金が減ったのだから、何時までもタリ・タスチーヌ侯爵の所にいないでしょう。何か仕掛けてくると思われます」
「逃げるという可能性はないのですか?」
「それはないわね。昔からロンドリオ殿下いえ元殿下に親馬鹿ならぬ叔父馬鹿を発揮して甘やかしてましたから」
「それでも逃げませんかね」
「ふふ、情報収集不足ね。何故商会長が動いたかわからない?」
「えっ……」
「アークアラ公爵はね、爵位は取り上げられていないだけで、実質見放されたのよ。食料を卸しているのだから気づくでしょう。家臣の少なさを」
「確かに予想より消費量が少ないので、あまり値上げ出来ていませんね」
「他の人だと支払いを渋られ、延ばされ逃げられる可能性があったから、商会長が来たのよ。まぁ必要なかったみたいだけれどね」
ロンドリオ元殿下の一言で支払いを決めたなんて、自分の立場をわかっているのかしらね。
応援ありがとうございます!
1
お気に入りに追加
7,227
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる