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20 お父様と対峙
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私達はタリ・タスチーヌ侯爵家の屋敷の応接間で対峙しました。
タリ・テスイール侯爵である私に、お父様であるタリ・タスチーヌ侯爵は緊張感のない間の抜けた顔を見せました。
「マリナリアは何を言っている?私はタリ・タス・テス侯爵だよ。その様な以前父が呼ばれていた様に呼ばれる立場ではないよ」
「申し訳ございません、タリ・タス侯爵。お父様は略称の方がお好きでしたね」
にっこりと笑って私は答えました。
「だから何を言っている?私はテスイールも継いでいる」
「それは勘違いですわ、お父様。確かに一月前まではタリ・タスチーヌ侯爵家当主タリ・テスイール侯爵家当主代理ではありました。しかし、ご自分の意思で当主代理を降りられましたでしょう?お父様には、タリ・テスイールに対しての権限は何一つございませんわ」
私は更に説明を続けました。
「私がロンドリオ殿下と婚約破棄をした際、サリーニアが『この地が欲しい』と望んだのは覚えていらっしゃいますか?」
「それくらい覚えておる」
「よかったですわ、忘れたと言われそうでしたもの。その際、お父様が決断されたではないですか」
「決断?」
わかっていなかったのでしょうか?そんなことはありませんよね。
「『私がでていくのですか?』と問えばサリーニアが『当然』と答え、お父様が『それがいい』と追随なさったでしょう?そして『マリナリアは必要ない』と仰った」
「それがどうした」
「お父様がタリ・タスチーヌ侯爵領の跡を継ぐ者を変更されました。そして、タリ・テスイールと決別された瞬間ではありませんか」
「……」
「私は心配して差し上げましたわ。でも、決断は固かったですわよね。そして、手伝う事もないとタリ・タスチーヌ侯爵領に対して私も決別致しました」
「…………」
「そこまで思い出して頂けましたか?」
「そんなものは知らん、知らないものは知らん」
今度は開き直りですね。お父様の行動は予想済みですわよ。
私はセバスを呼び、写しを出しました。
「ふふ、お父様とお母様の結婚時の契約書の写しとロンドリオ殿下とサリーニアの婚約契約書の写しを改めて宰相閣下から頂いてまいりましたの」
手間ですのに、宰相閣下は喜んで出して下さいました。
「お父様が当時の物を残していらっしゃるかわかりませんでしたし、殿下と異母妹の婚約契約書の写しは持ち帰られなかったでしょう?」
サインして即お帰りになったとか。
「ここに記載されておりますし、サインされてますわよね」
「……私は作っていない。こんなもの無効だ」
「そうですわね、お父様は書類を作成しておりませんわ。これはお父様とお母様の結婚当時からの取り決めですもの。これはお爺様が既に作成されていたものですわ」
何パターンか作成された物の中で、現状に合ったものを使用いたしました。サインしたのだから了承済みである事を言いますと、お父様はがくりと肩を落とされ項垂れてしまいました。
結婚時の誓約書には
『万が一、タリ・タスチーヌ侯爵家当主レイナードとタリ・テスイール侯爵当主マーリエとの間に生まれた子供以外を次の跡継ぎにした場合、この契約は無効となり互いの家から除名とする』
殿下と異母妹の婚約契約書には、結婚契約書に書かれた同文と新たに
『この婚約が正式に婚姻となりし時、タリ・タスチーヌ侯爵家及びタリ・テスイール侯爵家が締結した条約全てを白紙とし以後新たに通常の条約を結び直す事』
つまり、身内感覚とっぱらってがっつり敵対他家として対応致しましょう。
「一月猶予を与えましたもの。私はとても寛大な処置をしたと思いますわ」
ですから領主としての話し合いが必要ですよね、とにっこり微笑んで私は地図を大きく広げました。
タリ・テスイール侯爵である私に、お父様であるタリ・タスチーヌ侯爵は緊張感のない間の抜けた顔を見せました。
「マリナリアは何を言っている?私はタリ・タス・テス侯爵だよ。その様な以前父が呼ばれていた様に呼ばれる立場ではないよ」
「申し訳ございません、タリ・タス侯爵。お父様は略称の方がお好きでしたね」
にっこりと笑って私は答えました。
「だから何を言っている?私はテスイールも継いでいる」
「それは勘違いですわ、お父様。確かに一月前まではタリ・タスチーヌ侯爵家当主タリ・テスイール侯爵家当主代理ではありました。しかし、ご自分の意思で当主代理を降りられましたでしょう?お父様には、タリ・テスイールに対しての権限は何一つございませんわ」
私は更に説明を続けました。
「私がロンドリオ殿下と婚約破棄をした際、サリーニアが『この地が欲しい』と望んだのは覚えていらっしゃいますか?」
「それくらい覚えておる」
「よかったですわ、忘れたと言われそうでしたもの。その際、お父様が決断されたではないですか」
「決断?」
わかっていなかったのでしょうか?そんなことはありませんよね。
「『私がでていくのですか?』と問えばサリーニアが『当然』と答え、お父様が『それがいい』と追随なさったでしょう?そして『マリナリアは必要ない』と仰った」
「それがどうした」
「お父様がタリ・タスチーヌ侯爵領の跡を継ぐ者を変更されました。そして、タリ・テスイールと決別された瞬間ではありませんか」
「……」
「私は心配して差し上げましたわ。でも、決断は固かったですわよね。そして、手伝う事もないとタリ・タスチーヌ侯爵領に対して私も決別致しました」
「…………」
「そこまで思い出して頂けましたか?」
「そんなものは知らん、知らないものは知らん」
今度は開き直りですね。お父様の行動は予想済みですわよ。
私はセバスを呼び、写しを出しました。
「ふふ、お父様とお母様の結婚時の契約書の写しとロンドリオ殿下とサリーニアの婚約契約書の写しを改めて宰相閣下から頂いてまいりましたの」
手間ですのに、宰相閣下は喜んで出して下さいました。
「お父様が当時の物を残していらっしゃるかわかりませんでしたし、殿下と異母妹の婚約契約書の写しは持ち帰られなかったでしょう?」
サインして即お帰りになったとか。
「ここに記載されておりますし、サインされてますわよね」
「……私は作っていない。こんなもの無効だ」
「そうですわね、お父様は書類を作成しておりませんわ。これはお父様とお母様の結婚当時からの取り決めですもの。これはお爺様が既に作成されていたものですわ」
何パターンか作成された物の中で、現状に合ったものを使用いたしました。サインしたのだから了承済みである事を言いますと、お父様はがくりと肩を落とされ項垂れてしまいました。
結婚時の誓約書には
『万が一、タリ・タスチーヌ侯爵家当主レイナードとタリ・テスイール侯爵当主マーリエとの間に生まれた子供以外を次の跡継ぎにした場合、この契約は無効となり互いの家から除名とする』
殿下と異母妹の婚約契約書には、結婚契約書に書かれた同文と新たに
『この婚約が正式に婚姻となりし時、タリ・タスチーヌ侯爵家及びタリ・テスイール侯爵家が締結した条約全てを白紙とし以後新たに通常の条約を結び直す事』
つまり、身内感覚とっぱらってがっつり敵対他家として対応致しましょう。
「一月猶予を与えましたもの。私はとても寛大な処置をしたと思いますわ」
ですから領主としての話し合いが必要ですよね、とにっこり微笑んで私は地図を大きく広げました。
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