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10 誓約書にサインして―ロンドリオ
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「本日、誓約書にサインをされても、陛下が承諾を為さるのは明日になる。スタンリー殿下、マリナリア嬢とご一緒にされた方が宜しいかと」
宰相の奴はかなり渋い顔をして言うがそんなものは知らん。
父上は忙しいからな。それは仕方のない事だろう。
だが折角来たくもない執務室なんかに足を運んだのだ。
早く終わらせサリーニアや養父と語らっていたいのだ。だから宰相、早く誓約書を出せ。
「タリ・タス・テス侯爵は明日も来るであろう?」
「いや、その予定はない」
「お父様は忙しいのです。何度も足を運ばせないで欲しいものですわ」
驚いた顔を宰相はしたが、何故驚く?義父は暇ではない。俺との語らいで忙しいのだ。
幾らか押し問答になったが、結局宰相は誓約書と細かい文面の書類を出てきた。なんだこれは?
「さっさと出せば良いものを」
宰相がしっかり確認しろ、など言うがズラズラ書かれた書類など読めるか!
宰相に突き返したが次に義父に渡していた。義父も苦い顔をしていたぞ。嫌がらせか?
サリーニアに至っては手に取って速攻で宰相に返していた。
ハハハ、マリナリアに先んじて婚約誓約書にサインしてやった。
夕方になり、王の住まう宮で家族での晩餐がある為俺は会場へと向かった。
最初サリーニアと義父も連れていこうとしたが、侍従長に止められた。
俺の家族になるのだ。何故止める?
マリナリアは参加したことがないだろうって?
当たり前だ。あんなうるさい女を連れてくる必要があったか?
愛しのサリーニアだからこそ、王族の晩餐に一緒に向かうのだ。
王太子であるアンクリー兄上も妃と同伴して来ているではないか。
「婚約者は王族ではございません。急な参加は準備が整わない為御遠慮願います」
強い口調で再度止められた。融通の利かない奴め。父上はもっと優秀な部下を雇われた方が良いと思う。
やむを得ずサリーニアと義父には別室で食事をしてもらう事になった。失礼のない様もてなすように厳命しておいた。
食事も無難に終わり、父上と兄は難しい話をしていたが俺には関係がないだろう。
そう思っていたら、父上の叱責がとんできた。宰相が色々言ったらしい。
「父上、私からもお話があります」
「なんだ?」
「サリーニアと出来るだけ早く結婚をしたいのです」
「それは……もしかして、懐妊などと愚かな事ではないでしょうね」
下世話な、避妊の仕方くらい心得ている。
「母上、その様な事ではないのです。愛しのサリーニアと出来るだけ早く添い遂げたいのです。サリーニアは魅力的ですから」
「では一年後に挙式するよう手配しましょう」
「いえ、それでは遅いのです。三か月後でお願いします」
そんなに待てない。サリーニアだって早く結婚したいと可愛く言い続けているのだ。
「それはなりません。せめて半年後になさい」
「母上、三か月後です。これは譲れません」
「その様な短い期間など……婚約期間の意味についてはわかっているのでしょう?」
ふん、サリーニアの知り合いで婚約後三か月で結婚をした者がいるらしい。それが最短だと言っていた。
明日結婚すると言い出さなかった俺を褒めて欲しいものだ。
母上と言い合っていたら、今まで黙っていたアンクリー兄上が珍しく俺の味方になった。
「私は賛成だ。よくぞ決意してくれたと思うよ。陛下も妃殿下もどうでしょう。ロンドリオの意志を尊重してやっては如何ですか」
俺は父上、母上の了承を得て意気揚々とサリーニアの元へ向かった。
だから、その後皆でどの様な話をしていたのか知らない。
「アンクリー兄上も人が悪い」
「さぁ?自ら強く王族を捨てたいと言ったのですから此方がどうこう言う必要はないでしょう?」
「多分知らないですよ。婚約期間が王族と貴族では違う事を」
「流石にそれはないでしょう?ねぇ陛下」
「…………」
宰相の奴はかなり渋い顔をして言うがそんなものは知らん。
父上は忙しいからな。それは仕方のない事だろう。
だが折角来たくもない執務室なんかに足を運んだのだ。
早く終わらせサリーニアや養父と語らっていたいのだ。だから宰相、早く誓約書を出せ。
「タリ・タス・テス侯爵は明日も来るであろう?」
「いや、その予定はない」
「お父様は忙しいのです。何度も足を運ばせないで欲しいものですわ」
驚いた顔を宰相はしたが、何故驚く?義父は暇ではない。俺との語らいで忙しいのだ。
幾らか押し問答になったが、結局宰相は誓約書と細かい文面の書類を出てきた。なんだこれは?
「さっさと出せば良いものを」
宰相がしっかり確認しろ、など言うがズラズラ書かれた書類など読めるか!
宰相に突き返したが次に義父に渡していた。義父も苦い顔をしていたぞ。嫌がらせか?
サリーニアに至っては手に取って速攻で宰相に返していた。
ハハハ、マリナリアに先んじて婚約誓約書にサインしてやった。
夕方になり、王の住まう宮で家族での晩餐がある為俺は会場へと向かった。
最初サリーニアと義父も連れていこうとしたが、侍従長に止められた。
俺の家族になるのだ。何故止める?
マリナリアは参加したことがないだろうって?
当たり前だ。あんなうるさい女を連れてくる必要があったか?
愛しのサリーニアだからこそ、王族の晩餐に一緒に向かうのだ。
王太子であるアンクリー兄上も妃と同伴して来ているではないか。
「婚約者は王族ではございません。急な参加は準備が整わない為御遠慮願います」
強い口調で再度止められた。融通の利かない奴め。父上はもっと優秀な部下を雇われた方が良いと思う。
やむを得ずサリーニアと義父には別室で食事をしてもらう事になった。失礼のない様もてなすように厳命しておいた。
食事も無難に終わり、父上と兄は難しい話をしていたが俺には関係がないだろう。
そう思っていたら、父上の叱責がとんできた。宰相が色々言ったらしい。
「父上、私からもお話があります」
「なんだ?」
「サリーニアと出来るだけ早く結婚をしたいのです」
「それは……もしかして、懐妊などと愚かな事ではないでしょうね」
下世話な、避妊の仕方くらい心得ている。
「母上、その様な事ではないのです。愛しのサリーニアと出来るだけ早く添い遂げたいのです。サリーニアは魅力的ですから」
「では一年後に挙式するよう手配しましょう」
「いえ、それでは遅いのです。三か月後でお願いします」
そんなに待てない。サリーニアだって早く結婚したいと可愛く言い続けているのだ。
「それはなりません。せめて半年後になさい」
「母上、三か月後です。これは譲れません」
「その様な短い期間など……婚約期間の意味についてはわかっているのでしょう?」
ふん、サリーニアの知り合いで婚約後三か月で結婚をした者がいるらしい。それが最短だと言っていた。
明日結婚すると言い出さなかった俺を褒めて欲しいものだ。
母上と言い合っていたら、今まで黙っていたアンクリー兄上が珍しく俺の味方になった。
「私は賛成だ。よくぞ決意してくれたと思うよ。陛下も妃殿下もどうでしょう。ロンドリオの意志を尊重してやっては如何ですか」
俺は父上、母上の了承を得て意気揚々とサリーニアの元へ向かった。
だから、その後皆でどの様な話をしていたのか知らない。
「アンクリー兄上も人が悪い」
「さぁ?自ら強く王族を捨てたいと言ったのですから此方がどうこう言う必要はないでしょう?」
「多分知らないですよ。婚約期間が王族と貴族では違う事を」
「流石にそれはないでしょう?ねぇ陛下」
「…………」
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