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5 王城からの手紙
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「マリナリアお嬢様、王城から手紙が届いております」
「ロンドリオ殿下にしては早かったのね。あらっ、叔母様からですわ」
屋敷に戻った翌日、寛いでいた私の元へ手紙が届きました。
その手紙には、第二王子スタンリー殿下の婚約の話が書いてありました。
隣国との関係で婚約の有無が変わる状態だったのですが、なんとお相手の王女様に恋人が出来たそうで流れたようです。
これは叔母様が大喜びしていらっしゃいますね。書面からも伝わってまいりますもの。
正妃様も喜んでいらっしゃることでしょう。
叔母様は側妃で在らせられ、主に国内事案を担当されています。
正妃様は外交を担っておられます。
今回の事で隣国との交渉に対して強気に出られるでしょう。
我が国では陛下と二人の妃が二人三脚で政を行うのです。
「セバス、明日王城へ向かいます。スタン兄様が戻られているのよ」
「それは良うございました、マリナリアお嬢様」
私はうきうきとしながら、ドレスや装飾品を選びました。スタン兄様とお会いするのは久しぶりですもの。
私の婚約は元々お爺様と当時の陛下がお決めになられた事でした。
私を出産後お母様は産褥熱を出され、何日も高熱が下がらなかったそうです。そのことが原因で徐々にお体を壊されていきました。
お父様は男の子が欲しかったそうです。
私が女の子でしたので、以後頻繁に女性との浮名を流されました。
皮肉な事に数多の女性に手をつけられましたのに、残念ながら一つ下のサリーニアしか授かりませんでした。
継母様が随分と邪魔をした等の噂を聞いた事がありますが定かではありません。
私には関係のないことでしたもの。
そんな夫婦関係にお爺様達は大層危機感を持たれたとか。
せっかくお母様とお父様を政略結婚させたのに、その意味を成さないまま拗れてしまっては大変ですから、一計を案じられました。
それが領地を継ぐ私と歳の近い王子との婚約。王子は結婚後婿となります。
そう、私の相手はロンドリオ殿下でなくても構わないのです。むしろ嫌でした。
幼い頃から私と従兄弟になるスタンリー殿下は仲がよかったのです。
私はいつも「スタン兄様」と言って後ろをついて回ってましたわ。
でも隣国との関係があり、あの勉強の出来ないロンドリオ殿下を外の国に出し、我が国の恥を晒す訳にはまいりません。
私は泣く泣くスタン兄様を諦め、渋々王命に従いロンドリオ殿下と婚約したのでした。
「あぁ、早くスタン兄様とお会いしたい」
思わず漏れてしまった呟きに、屋敷の者達は温かく微笑んでくれました。
「ロンドリオ殿下にしては早かったのね。あらっ、叔母様からですわ」
屋敷に戻った翌日、寛いでいた私の元へ手紙が届きました。
その手紙には、第二王子スタンリー殿下の婚約の話が書いてありました。
隣国との関係で婚約の有無が変わる状態だったのですが、なんとお相手の王女様に恋人が出来たそうで流れたようです。
これは叔母様が大喜びしていらっしゃいますね。書面からも伝わってまいりますもの。
正妃様も喜んでいらっしゃることでしょう。
叔母様は側妃で在らせられ、主に国内事案を担当されています。
正妃様は外交を担っておられます。
今回の事で隣国との交渉に対して強気に出られるでしょう。
我が国では陛下と二人の妃が二人三脚で政を行うのです。
「セバス、明日王城へ向かいます。スタン兄様が戻られているのよ」
「それは良うございました、マリナリアお嬢様」
私はうきうきとしながら、ドレスや装飾品を選びました。スタン兄様とお会いするのは久しぶりですもの。
私の婚約は元々お爺様と当時の陛下がお決めになられた事でした。
私を出産後お母様は産褥熱を出され、何日も高熱が下がらなかったそうです。そのことが原因で徐々にお体を壊されていきました。
お父様は男の子が欲しかったそうです。
私が女の子でしたので、以後頻繁に女性との浮名を流されました。
皮肉な事に数多の女性に手をつけられましたのに、残念ながら一つ下のサリーニアしか授かりませんでした。
継母様が随分と邪魔をした等の噂を聞いた事がありますが定かではありません。
私には関係のないことでしたもの。
そんな夫婦関係にお爺様達は大層危機感を持たれたとか。
せっかくお母様とお父様を政略結婚させたのに、その意味を成さないまま拗れてしまっては大変ですから、一計を案じられました。
それが領地を継ぐ私と歳の近い王子との婚約。王子は結婚後婿となります。
そう、私の相手はロンドリオ殿下でなくても構わないのです。むしろ嫌でした。
幼い頃から私と従兄弟になるスタンリー殿下は仲がよかったのです。
私はいつも「スタン兄様」と言って後ろをついて回ってましたわ。
でも隣国との関係があり、あの勉強の出来ないロンドリオ殿下を外の国に出し、我が国の恥を晒す訳にはまいりません。
私は泣く泣くスタン兄様を諦め、渋々王命に従いロンドリオ殿下と婚約したのでした。
「あぁ、早くスタン兄様とお会いしたい」
思わず漏れてしまった呟きに、屋敷の者達は温かく微笑んでくれました。
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