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17リコリス視点
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―――リコリス視点
私はリコリス、カリンとは学園で知り合い素敵な友人関係を築いているわ。
父は王都で行政長官をしているの。王都での不正や汚職、色々な犯罪を摘発し、治安を護る仕事よ。但し武力は騎士団任せ。宰相の下で扱き使われてるみたい。そして父は伯爵を賜っている。領地が小さいから可能な事なの。
他の国は知らないけれど、公爵や侯爵はあまり国の政務には関わらない。自分の領地を栄えさせる方に力を入れているから爵位を継ぐと官僚など辞めていくわ。
領地を栄えさせる。これはこの国での貴族の義務。無能な領地経営者など貴族を辞めてしまえばいいんだわ。
学園で学ぶ私では社交界で貴族の詳しい内情まではわからないけどハマー伯爵、あれはないわー。
子息も大概よ。
今もアンなんて女を追い掛けている。ここ数日学園で特に目立っているけれど、本人達は気づいているのかしら?
カリンがいない間、私は数人の友人とテラスでお茶を楽しみ雑談することが続いている。
話題は専らカリンの婚約破棄。情報収集も大変なのよ。
「ねぇ、リコリス。カリンが婚約破棄されたって本当なのよね?」
「えぇ本当よ。側で聞いていたわ」
「おめでとうって言ってあげていいんだよね?」
「多分ね。今ハマー家へ説明に行っているの。学園へ戻って来る頃には言えると思うわ」
「私は早速兄に知らせたわ。驚いてたわよ。有り得ないって」
「有り得ない、相手あのアンでしょう。もっと有り得ない、そう思うわよね」
アンは女生徒に嫌われている。今では男子も毛嫌いしている人が多いわ。
男に擦り寄って色々貢がせる。手口は知り合いの店に連れて行き、装飾品を買わせる。しかし買った品を使用しているのを見たことがない。一品物を買ってあげたのに店で見つけた、なんて噂もある位評判が悪いのよね。
「憶測だけどオリバーは補習で気づいたみたい。貴族の義務のテスト、そこだけ点数取れてたんですって」
「あら、他に覚えなければいけない所が沢山ありますのに」
「オリバーは何故今までカリンが言い出さなかったのか考えた事があるのかしら?」
「あったら婚約破棄しないでしょう」
「確かに」
皆で笑いあった。私はやっぱり「良かったね」と改めて言いたいわ、カリン。
カリンは目立つ。顔立ちは普通なんだけど、目に力が宿っているから印象に残るのよね。
私がカリンを知ったのは学園入学してすぐだったわ。全く余裕のない態度で急いで図書館へ通っていた。
入学の成績が良くないのかしら?と思っていたら学年上位、女子の中では一位だった。
親しくなってカリンの事情を知るようになり、カリンが土地を購入すると言い出した時私は止めたわ。
「カリン、わかってるの?」
「わかってるわ、必死で他の方法も調べたもの。でも、方法が見つからないのよ」
「諦めるというのも有りだと思うわ」
「でもあの土地はお爺様が誇りに思っていた土地なのよ。諦めてしまうなんて一生後悔するわ」
悔しそうにカリンは言うけれど、貴方お爺様の想いを大切にしすぎよ。
婚約解消を願っていて、もう手が届きそうなのに自分からその道を捨てるなんて……
婚約者という立場を利用して土地を手にしたなら、もう自分から婚約解消も破棄も出来ない。そんな事をしようものなら、乗っ取りと見なされ貴族社会では生きていけなくなる。
私から見てもカリンの婚約破棄は正解よ。
カリンにとっての不良物件が纏めて処分出来そうだもの。
だってね、カリンはアンの名前を聞いてもわからなかったようだけど、ビルノ商会の娘だと聞いたらピンと来たはずだから。
私はリコリス、カリンとは学園で知り合い素敵な友人関係を築いているわ。
父は王都で行政長官をしているの。王都での不正や汚職、色々な犯罪を摘発し、治安を護る仕事よ。但し武力は騎士団任せ。宰相の下で扱き使われてるみたい。そして父は伯爵を賜っている。領地が小さいから可能な事なの。
他の国は知らないけれど、公爵や侯爵はあまり国の政務には関わらない。自分の領地を栄えさせる方に力を入れているから爵位を継ぐと官僚など辞めていくわ。
領地を栄えさせる。これはこの国での貴族の義務。無能な領地経営者など貴族を辞めてしまえばいいんだわ。
学園で学ぶ私では社交界で貴族の詳しい内情まではわからないけどハマー伯爵、あれはないわー。
子息も大概よ。
今もアンなんて女を追い掛けている。ここ数日学園で特に目立っているけれど、本人達は気づいているのかしら?
カリンがいない間、私は数人の友人とテラスでお茶を楽しみ雑談することが続いている。
話題は専らカリンの婚約破棄。情報収集も大変なのよ。
「ねぇ、リコリス。カリンが婚約破棄されたって本当なのよね?」
「えぇ本当よ。側で聞いていたわ」
「おめでとうって言ってあげていいんだよね?」
「多分ね。今ハマー家へ説明に行っているの。学園へ戻って来る頃には言えると思うわ」
「私は早速兄に知らせたわ。驚いてたわよ。有り得ないって」
「有り得ない、相手あのアンでしょう。もっと有り得ない、そう思うわよね」
アンは女生徒に嫌われている。今では男子も毛嫌いしている人が多いわ。
男に擦り寄って色々貢がせる。手口は知り合いの店に連れて行き、装飾品を買わせる。しかし買った品を使用しているのを見たことがない。一品物を買ってあげたのに店で見つけた、なんて噂もある位評判が悪いのよね。
「憶測だけどオリバーは補習で気づいたみたい。貴族の義務のテスト、そこだけ点数取れてたんですって」
「あら、他に覚えなければいけない所が沢山ありますのに」
「オリバーは何故今までカリンが言い出さなかったのか考えた事があるのかしら?」
「あったら婚約破棄しないでしょう」
「確かに」
皆で笑いあった。私はやっぱり「良かったね」と改めて言いたいわ、カリン。
カリンは目立つ。顔立ちは普通なんだけど、目に力が宿っているから印象に残るのよね。
私がカリンを知ったのは学園入学してすぐだったわ。全く余裕のない態度で急いで図書館へ通っていた。
入学の成績が良くないのかしら?と思っていたら学年上位、女子の中では一位だった。
親しくなってカリンの事情を知るようになり、カリンが土地を購入すると言い出した時私は止めたわ。
「カリン、わかってるの?」
「わかってるわ、必死で他の方法も調べたもの。でも、方法が見つからないのよ」
「諦めるというのも有りだと思うわ」
「でもあの土地はお爺様が誇りに思っていた土地なのよ。諦めてしまうなんて一生後悔するわ」
悔しそうにカリンは言うけれど、貴方お爺様の想いを大切にしすぎよ。
婚約解消を願っていて、もう手が届きそうなのに自分からその道を捨てるなんて……
婚約者という立場を利用して土地を手にしたなら、もう自分から婚約解消も破棄も出来ない。そんな事をしようものなら、乗っ取りと見なされ貴族社会では生きていけなくなる。
私から見てもカリンの婚約破棄は正解よ。
カリンにとっての不良物件が纏めて処分出来そうだもの。
だってね、カリンはアンの名前を聞いてもわからなかったようだけど、ビルノ商会の娘だと聞いたらピンと来たはずだから。
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