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いつまでも湖のお屋敷にいる訳にはいきません。

お父様と湖の領主が相談して、お姉様のお友達と男の子がいっしょに領地へ向かうことになりました。

病み上がりの男の子が心配ですが、目を覚ましてからは体調が悪くなるのが女の子と離れている時と寝ている時だけなので仕方ありません。

男の子はまだまだ体力がないのか、うとうとと眠りにつくことがあります。
そんな時よくうなされました。女の子は気づくと起こしてあげます。
男の子はとても怖い、いやな夢を見ていたと言っては泣きました。
女の子がぎゅうっとしないと落ちつかなく体調が悪くなるようです。



「ここは息をするのもなんだか楽」

男の子は大はしゃぎです。

大きな囲ってある馬車に乗ると思っていたら、風通しの良い馬車に乗り風景も風も感じられるのです。
それに、干し草にはたくさんの涙のしずくの珠が紛れています。

本来なら馬の餌用なのですが、女の子が気に入ってしまったので、ずっとこの馬車で移動していました。

女の子は幾つか見つけた珠をポシェットや男の子のズボンのポケットに入れました。

これでもし男の子が酷くうなされても心配いりません。


『たのしいね』
『すてきだね』
『わくわくだね』
『『『ふわふわの味がするね』』』



領地まではもうすぐです。


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