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女の子はきょろきょろとお部屋を見渡し、妖精たちの様子を見ました。

お友達の弟からのがれようとしたのでしょう。ベッド近くの天井に一番妖精たちが多く貼りついていました。

女の子はぽんっと上に大きく珠を投げました。

「あっ」

女の子の力が弱かったのでしょう。天井まで届かず床へ落ちてしまいました。

落ちた珠は砕け、お部屋の床一面に拡がりました。
それでも止まらず壁へはい上がり妖精たちを包みがしていきました。



女の子はお姉様に珠を見せながら言いました。

「これを天井に当てたいの。手伝って」

お姉様とお友達には残念ながら珠は見えません。でも、先ほど女の子が何かを投げた後、お部屋が澄んだように感じていました。

女の子にお姉様とお友達は力を貸し、今度は無事天井に当たりました。

きらきら光り星が降るように落ちていく珠の欠けらは妖精たちを包みます。


『きらきらだよ』
『とべはねれるよ』
『ありがとう』
『『『うれしいうれしいよ』』』


お部屋の中には貼りついた妖精たちはもういません。楽しそうに飛びまわる妖精たちを見て女の子は安心しました。


ほっとした後お友達の弟を見ると、うなされ苦しそうにしています。

するとせっかく自由になった妖精たちがまた引き寄せられていくのです。

「だめー」

女の子は大きな声で叫んでいました。



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