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予定外の出発だった為今夜は野宿となりました。

女の子には全てが初めての体験です。

まだ日が落ちる前に大きな空き地に馬車が止まります。お屋敷で働く人たちが慣れない外での仕事をしています。

女の子は邪魔をしないようにこっそり見てまわるのですが、お母様に捕まってしまいました。

「はしゃぎ回ると危ないわ。お夕食が出来るまでお姉様の側にいるようにね」

女の子は仕方なしに返事をしてお姉様の側にいきました。
お姉様は大きな木の下で休んでいました。まだ涙を流しています。

この地の妖精たちでしょうか。木の葉とお姉様のところを行ったり来たりしていました。

ぽーんぽーんぱふっ、ぽーんぽーんぱふ。

まるでお姉様の涙を木の上に届けようとしているみたいです。
女の子はそんな妖精たちと遊びました。

上手く上がれない妖精たちを両手で包み上へ放り投げるのです。

女の子に力はありません。でもどうでしょう。妖精たちは高く高く上がります。


『きれいなの』
『きらきらなの』
『すてきなの』
『『『きれいなしずく、とどけるの』』』



夕食にはこの地の事が話題になりました。
いつもより雨が少なく草木に元気がないんだそうです。


翌日木は瑞々みずみずしく輝いていました。



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