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都を出発しました。お屋敷で働く人たちの大半が一緒に領地へ行きます。残りの人たちは後から領地へ向かいます。

都の人たちは長い長い長い馬車の列に驚いていました。

お父様やお母様がいろいろと指示をしています。
お姉様はというとまだ泣いています。その周りには妖精たちが群がっています。

女の子はこの機会にお父様やお母様に聞いてみました。
都を出ると同じような風景が続きます。
長い馬車の移動は退屈で飽きてしまっていたのです。

「今までお姉様の周りには妖精たちが少なかったです。泣いているお姉様には多いです。なぜですか?」

そんな風になっていたのか、とお父様とお母様が悲しそうに言いました。

「今まで心を押さえ込んでいたからだろうな」
「気持ちはね、自然とあふれ出るものなの。そんな私達に妖精たちは寄り添ってくれるのよ」

お父様とお母様はずいぶん心配していたようです。
お姉様はよく「大丈夫よ」と言っていましたが全然大丈夫ではなかったようです。

お姉様は「ごめんなさい」と小さく言ってまた涙をこぼしました。


『きれいだね』
『じゅんすいな味だね』
『すーすーすずやかだね』
『『『おなかいっぱい……くるしい』』』


お姉様の今まで溜め込んいた気持ちが全部涙となって穏やかに出ていきます。

一体何年分になるのでしょう。


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