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4 生徒会役員集合ですわね

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「ベティーナ、こんな辛気臭いところにいたのか……」

 ベルンハルト殿下が珍しく生徒会に来られましたわ。

 辛気臭いって、殿下が会長でしょう?

 後ろには、側近であり護衛役の生徒2名。
 このお二人も生徒会役員ですのよ。

 役員を決める際に、無理やり生徒会に入れたそうですわ。

 脳筋気味な側近は、役員には向いておりませんのに。
 殿下のお守り、いや、護衛に励んでいるだけでいいではありませんか。

 それを「生徒会室に入るなら部外者より役員の方がいい」と言って決められましたのよ。

 残念ながら、頭脳派側近は卒業していていないのです。


 それならば何故、わたくしに代わりをやらせようとなさるのでしょう?
 それは「婚約者だから」とおっしゃる。
 
 殿下はご自身が、ちぐはぐな事を言っていると自覚がないのでしょうか?
 わたくし、最初納得行きませんでしたわ。

 わたくしにも生徒会役員の打診はありましたが、その場でお断りいたしましたもの。


 ですので、王妃様や陛下にご報告させていただきましたの。
 まぁこちらも「婚約者だから」との理由で手伝えとの事でしたわ。

 「何故手伝わないのだ?」と不思議がられましても、『手伝う』と『代わりに行う』は別の事だと思うのです。

 再度その事を王家に確認いたしましたが、やはり手伝え、との事。

 いつもの事ながら、陛下も王妃様も認識が甘いと思うのです。

 もしや、引っ張ってでも、殿下に生徒会会長をさせなければならないのでしょうか?
 と、悩んだ事もございますが、それは流石にわたくしの仕事ではございませんわよね。


 そして、頭脳派側近がいらっしゃらない殿下のご事情で、一番割りを食ってしまったのがアデルナ様です。

 生徒会入りはお兄様のバルトルト様たってのご要望だったと聞いております。

 人数が足りず、生徒会が回らない状態に陥ってしまいました。

 高位貴族として、学園の行事を滞らせる訳にもいきません。
 気が付けば、ほぼ役員並の事をしている様な状態ですわ。

 仕方がないのです。
 王家からも言われてしまいましたからね。

 それに、無理に入れた護衛役の生徒を置いておいてくれ、とはとても言えません。
 護衛役の生徒の一番の仕事を放棄しろとは言えないのです。
 ヤクニタタナイ……なんて思っておりませんわよ。

 殿下がここで大人しく会長のお仕事をされれば、それだけで一件落着するのですが、ままならないものです。


 何故学園にいる王族は、必ず生徒会に入るべし。
 なんて決まりがあるのでしょうね。


 多分、最終学年になってから初めて入られたであろう殿下は、書類など見向きもしません。


「ベティーナにはこんなところ似合わないよ。さぁ、新作のケーキを食べに行こう!」

 それどころかわたくし達も空気だと、いない者として目に入らず、ベティーナだけが見えているのでしょう。

 アデルナ様の隣をすり抜けて、ベティーナへ一直線でしたもの。

 その際、故意か偶然かアデルナ様の手に上着が引っ掛かり、手に持っていた書類が落ちてしまいました。

 広がり舞い落ちる書類。
 その中にどれ程、会長の決済が必要な物があったでしょう。

 流石に全部ではないですわよね?


「散らかっているなどだらしない。早く片付けろ!」

 書類と殿下を見つめるアデルナ様。
 その冷たい視線が刺さらない殿下はどれ程鈍いのでしょう。


「殿下ぁ~。お姉様が酷いのです!意地の悪い事しかしないのですわ。」

「そうか、また叱ってやる!」

 殿下に睨まれましても、課題の手伝いは却下ですわよ。
 という気持ちで、わたくしも一睨みいたしました。


「は、早く行かないと人気のケーキが無くなるかもしれないぞ!」

「それはイヤですぅ~!早くいきましょう殿下ぁ」

 甘々の声で、するりと殿下の腕を取るベティーナ。
 随分と手慣れたものです。

 二人は1枚も拾う事なく、護衛役生徒を連れて出ていきました。

 せめて、後ろの護衛。
 役員なのですから、書類を拾う位は為さいませ。
 頭脳労働ではないのですから!



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