4 / 10
4 生徒会役員集合ですわね
しおりを挟む
「ベティーナ、こんな辛気臭いところにいたのか……」
ベルンハルト殿下が珍しく生徒会に来られましたわ。
辛気臭いって、殿下が会長でしょう?
後ろには、側近であり護衛役の生徒2名。
このお二人も生徒会役員ですのよ。
役員を決める際に、無理やり生徒会に入れたそうですわ。
脳筋気味な側近は、役員には向いておりませんのに。
殿下のお守り、いや、護衛に励んでいるだけでいいではありませんか。
それを「生徒会室に入るなら部外者より役員の方がいい」と言って決められましたのよ。
残念ながら、頭脳派側近は卒業していていないのです。
それならば何故、わたくしに代わりをやらせようとなさるのでしょう?
それは「婚約者だから」とおっしゃる。
殿下はご自身が、ちぐはぐな事を言っていると自覚がないのでしょうか?
わたくし、最初納得行きませんでしたわ。
わたくしにも生徒会役員の打診はありましたが、その場でお断りいたしましたもの。
ですので、王妃様や陛下にご報告させていただきましたの。
まぁこちらも「婚約者だから」との理由で手伝えとの事でしたわ。
「何故手伝わないのだ?」と不思議がられましても、『手伝う』と『代わりに行う』は別の事だと思うのです。
再度その事を王家に確認いたしましたが、やはり手伝え、との事。
いつもの事ながら、陛下も王妃様も認識が甘いと思うのです。
もしや、引っ張ってでも、殿下に生徒会会長をさせなければならないのでしょうか?
と、悩んだ事もございますが、それは流石にわたくしの仕事ではございませんわよね。
そして、頭脳派側近がいらっしゃらない殿下のご事情で、一番割りを食ってしまったのがアデルナ様です。
生徒会入りはお兄様のバルトルト様たってのご要望だったと聞いております。
人数が足りず、生徒会が回らない状態に陥ってしまいました。
高位貴族として、学園の行事を滞らせる訳にもいきません。
気が付けば、ほぼ役員並の事をしている様な状態ですわ。
仕方がないのです。
王家からも言われてしまいましたからね。
それに、無理に入れた護衛役の生徒を置いておいてくれ、とはとても言えません。
護衛役の生徒の一番の仕事を放棄しろとは言えないのです。
ヤクニタタナイ……なんて思っておりませんわよ。
殿下がここで大人しく会長のお仕事をされれば、それだけで一件落着するのですが、ままならないものです。
何故学園にいる王族は、必ず生徒会に入るべし。
なんて決まりがあるのでしょうね。
多分、最終学年になってから初めて入られたであろう殿下は、書類など見向きもしません。
「ベティーナにはこんなところ似合わないよ。さぁ、新作のケーキを食べに行こう!」
それどころかわたくし達も空気だと、いない者として目に入らず、ベティーナだけが見えているのでしょう。
アデルナ様の隣をすり抜けて、ベティーナへ一直線でしたもの。
その際、故意か偶然かアデルナ様の手に上着が引っ掛かり、手に持っていた書類が落ちてしまいました。
広がり舞い落ちる書類。
その中にどれ程、会長の決済が必要な物があったでしょう。
流石に全部ではないですわよね?
「散らかっているなどだらしない。早く片付けろ!」
書類と殿下を見つめるアデルナ様。
その冷たい視線が刺さらない殿下はどれ程鈍いのでしょう。
「殿下ぁ~。お姉様が酷いのです!意地の悪い事しかしないのですわ。」
「そうか、また叱ってやる!」
殿下に睨まれましても、課題の手伝いは却下ですわよ。
という気持ちで、わたくしも一睨みいたしました。
「は、早く行かないと人気のケーキが無くなるかもしれないぞ!」
「それはイヤですぅ~!早くいきましょう殿下ぁ」
甘々の声で、するりと殿下の腕を取るベティーナ。
随分と手慣れたものです。
二人は1枚も拾う事なく、護衛役生徒を連れて出ていきました。
せめて、後ろの護衛。
役員なのですから、書類を拾う位は為さいませ。
頭脳労働ではないのですから!
ベルンハルト殿下が珍しく生徒会に来られましたわ。
辛気臭いって、殿下が会長でしょう?
後ろには、側近であり護衛役の生徒2名。
このお二人も生徒会役員ですのよ。
役員を決める際に、無理やり生徒会に入れたそうですわ。
脳筋気味な側近は、役員には向いておりませんのに。
殿下のお守り、いや、護衛に励んでいるだけでいいではありませんか。
それを「生徒会室に入るなら部外者より役員の方がいい」と言って決められましたのよ。
残念ながら、頭脳派側近は卒業していていないのです。
それならば何故、わたくしに代わりをやらせようとなさるのでしょう?
それは「婚約者だから」とおっしゃる。
殿下はご自身が、ちぐはぐな事を言っていると自覚がないのでしょうか?
わたくし、最初納得行きませんでしたわ。
わたくしにも生徒会役員の打診はありましたが、その場でお断りいたしましたもの。
ですので、王妃様や陛下にご報告させていただきましたの。
まぁこちらも「婚約者だから」との理由で手伝えとの事でしたわ。
「何故手伝わないのだ?」と不思議がられましても、『手伝う』と『代わりに行う』は別の事だと思うのです。
再度その事を王家に確認いたしましたが、やはり手伝え、との事。
いつもの事ながら、陛下も王妃様も認識が甘いと思うのです。
もしや、引っ張ってでも、殿下に生徒会会長をさせなければならないのでしょうか?
と、悩んだ事もございますが、それは流石にわたくしの仕事ではございませんわよね。
そして、頭脳派側近がいらっしゃらない殿下のご事情で、一番割りを食ってしまったのがアデルナ様です。
生徒会入りはお兄様のバルトルト様たってのご要望だったと聞いております。
人数が足りず、生徒会が回らない状態に陥ってしまいました。
高位貴族として、学園の行事を滞らせる訳にもいきません。
気が付けば、ほぼ役員並の事をしている様な状態ですわ。
仕方がないのです。
王家からも言われてしまいましたからね。
それに、無理に入れた護衛役の生徒を置いておいてくれ、とはとても言えません。
護衛役の生徒の一番の仕事を放棄しろとは言えないのです。
ヤクニタタナイ……なんて思っておりませんわよ。
殿下がここで大人しく会長のお仕事をされれば、それだけで一件落着するのですが、ままならないものです。
何故学園にいる王族は、必ず生徒会に入るべし。
なんて決まりがあるのでしょうね。
多分、最終学年になってから初めて入られたであろう殿下は、書類など見向きもしません。
「ベティーナにはこんなところ似合わないよ。さぁ、新作のケーキを食べに行こう!」
それどころかわたくし達も空気だと、いない者として目に入らず、ベティーナだけが見えているのでしょう。
アデルナ様の隣をすり抜けて、ベティーナへ一直線でしたもの。
その際、故意か偶然かアデルナ様の手に上着が引っ掛かり、手に持っていた書類が落ちてしまいました。
広がり舞い落ちる書類。
その中にどれ程、会長の決済が必要な物があったでしょう。
流石に全部ではないですわよね?
「散らかっているなどだらしない。早く片付けろ!」
書類と殿下を見つめるアデルナ様。
その冷たい視線が刺さらない殿下はどれ程鈍いのでしょう。
「殿下ぁ~。お姉様が酷いのです!意地の悪い事しかしないのですわ。」
「そうか、また叱ってやる!」
殿下に睨まれましても、課題の手伝いは却下ですわよ。
という気持ちで、わたくしも一睨みいたしました。
「は、早く行かないと人気のケーキが無くなるかもしれないぞ!」
「それはイヤですぅ~!早くいきましょう殿下ぁ」
甘々の声で、するりと殿下の腕を取るベティーナ。
随分と手慣れたものです。
二人は1枚も拾う事なく、護衛役生徒を連れて出ていきました。
せめて、後ろの護衛。
役員なのですから、書類を拾う位は為さいませ。
頭脳労働ではないのですから!
26
お気に入りに追加
138
あなたにおすすめの小説
元婚約者は入れ替わった姉を罵倒していたことを知りません
ルイス
恋愛
有名な貴族学院の卒業パーティーで婚約破棄をされたのは、伯爵令嬢のミシェル・ロートレックだ。
婚約破棄をした相手は侯爵令息のディアス・カンタールだ。ディアスは別の女性と婚約するからと言う身勝手な理由で婚約破棄を言い渡したのだった。
その後、ミシェルは双子の姉であるシリアに全てを話すことになる。
怒りを覚えたシリアはミシェルに自分と入れ替わってディアスに近づく作戦を打ち明けるのだった。
さて……ディアスは出会った彼女を妹のミシェルと間違えてしまい、罵倒三昧になるのだがシリアは王子殿下と婚約している事実を彼は知らなかった……。
令嬢が婚約破棄をした数年後、ひとつの和平が成立しました。
夢草 蝶
恋愛
公爵の妹・フューシャの目の前に、婚約者の恋人が現れ、フューシャは婚約破棄を決意する。
そして、婚約破棄をして一週間も経たないうちに、とある人物が突撃してきた。
もう我慢する気はないので出て行きます〜陰から私が国を支えていた事実を彼らは知らない〜
おしゃれスナイプ
恋愛
公爵令嬢として生を受けたセフィリア・アインベルクは己の前世の記憶を持った稀有な存在であった。
それは『精霊姫』と呼ばれた前世の記憶。
精霊と意思疎通の出来る唯一の存在であったが故に、かつての私は精霊の力を借りて国を加護する役目を負っていた。
だからこそ、人知れず私は精霊の力を借りて今生も『精霊姫』としての役目を果たしていたのだが————
「婚約破...」まで言いかけた婚約者の様子がおかしいのですがこれは何事でしょうか?
あさひるよる(書くし読む小説好き)
恋愛
学園の卒業パーティーで、王太子が浮気相手(?)の聖女をエスコートした。
そして王太子が婚約者である公爵令嬢に婚約破棄を宣言したところ...「そなたと婚約を破...婚約破...こ・ん・や・く・は・kぅっ...くっっっはぁあっああっ」と途中までしか言えず取り乱す始末。なんだか様子がおかしい...。
◇
なぜ、王太子は少し前までは仲の良かったはずの公爵令嬢との婚約を破棄をしようと思ったのか。
なぜ、王太子は「婚約破棄」が最後まで言えないのか。
聖女はどんな気持ちなのか? などなど
婚約破棄で、自由になったと思ったのに
志位斗 茂家波
恋愛
「ヴィーラ・エクス公爵令嬢!!貴様と婚約破棄をする!!」
会場に響く、あの名前を忘れた馬鹿王子。
彼との婚約破棄を実現させるまでかなりの苦労をしたが、これでようやく解放される。・・・・・・ってあれ?
―――――――
息抜きで書いてみた単発婚約破棄物。
ざまぁも良いけど、たまにはこういう事もやってみたいと思い、勢いでやってしまった。
お望み通りに婚約破棄したのに嫌がらせを受けるので、ちょっと行動を起こしてみた。
夢草 蝶
恋愛
婚約破棄をしたのに、元婚約者の浮気相手から嫌がらせを受けている。
流石に疲れてきたある日。
靴箱に入っていた呼び出し状を私は──。
無実の罪で聖女を追放した、王太子と国民のその後
柚木ゆず
恋愛
※6月30日本編完結いたしました。7月1日より番外編を投稿させていただきます。
聖女の祈りによって1000年以上豊作が続き、豊穣の国と呼ばれているザネラスエアル。そんなザネラスエアルは突如不作に襲われ、王太子グスターヴや国民たちは現聖女ビアンカが祈りを怠けたせいだと憤慨します。
ビアンカは否定したものの訴えが聞き入れられることはなく、聖女の資格剥奪と国外への追放が決定。彼女はまるで見世物のように大勢の前で連行され、国民から沢山の暴言と石をぶつけられながら、隣国に追放されてしまいました。
そうしてその後ザネラスエアルでは新たな聖女が誕生し、グスターヴや国民たちは『これで豊作が戻ってくる!』と喜んでいました。
ですが、これからやって来るのはそういったものではなく――
【一話完結】追放された偽聖女は、辺境の地で力を開花します!〜私を捨てるならもう知りません。王国の守護は切らせていただきます。さようなら〜
酒本 アズサ
恋愛
「ナディア! お前はこれまでこの国が平和だったのをいい事に、己を聖女だといつわっていただろう! こうして本物の聖女が現れた以上、このままにはしておけない! 偽聖女ナディア、お前を国外追放とする!」
そう私に告げたのは、この国の王太子であり、私の婚約者のレオナール様。
十八歳の生誕祭のお祝いに来たというのに、耳を疑うような事をパーティーの参加者の前で言われた。
ちなみにその隣にいるお色気たっぷりの女性はだれですか。
国のためにずっと神聖力を使ってきたのに、もう知らない!
神聖力を祈りを込める神像から切り離して森をさまよう、お腹が空いてもう動けない。
そんな私を救ってくれたのは、隣国の辺境伯。
幼いころに私の聖女としての力に助けられて以来、私を好きだった!?
私は隣国で幸せになります!
レオナール様は今さら私を探しにきても、もう遅いんですよ!
そんなレオナール様の末路とは……!?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる