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第一章 公爵令嬢の姉
15 姉として学園生活を送った
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学園に入学すると、クラスが違うのだから妹とは別々の行動だ。
妹は持ち前の愛らしさで人気を得て、王太子やその側近達と一緒に行動している。
普段の授業はどうしているのかと思うが、妹が王太子妃教育を受けているのは皆が知っている事だ。
簡単な質問は未熟な生徒へ、難しい質問は王太子へと行くのだという。
魔術実習では、見本になる事が多い様で派手に目立っていた。
学園生活も要領良くやり過ごしている様で、噂は沢山流れてきた。
私は相変わらず、無能という位置づけで特に変化はなく遠巻きにされ、ある意味平和な学園生活を送っていた。
昼食に誘われても、私は食べられないから相手に気を使わせるだけだ。
学園の生活より、王宮での書類仕事の方が大変になっていった。
学園が終わると、毎日のように通う羽目になった。
王宮へは別々に行くのだから、妹に魔術を掛けられる事はなくなった。
この頃には妹とハッキリ見た目が違ったのもあるだろう。
その代わり下女が着るような、地味なドレスを着る様に言われた。
だが、私が持っているドレスは地味な物ばかりなのだ。
王宮用に着替える必要は全くなかった。
学園入学と同時に、妹は王太子妃としての執務室を与えられていた。
王宮の仕事内容が、婚約者が公務をお手伝するという様な物から本格的に実施するまでとなり、客室から移動したのだ。
その近くにある控え室に、下働きが使う通路を使い俯いて通った。
しかし、実はこれが意外と面白い。
たまにすれ違う者達は、表に出ない噂話や貴族とは違う話し方などをする。
私には全てが新鮮で、色々と勉強になった。
この通路では、私が貴族だとは誰にも思われなかっただろう。
屋敷でも侍女と話す事がない、私にとって唯一外と触れ合える出来事だった。
時には、小さな下働きが紛れ込んだと思われたのか。
お腹が空いてるか?とどこから出てきたのか、こっそり干した芋を貰った事があった。
噛みごたえがあり、優しい味がした。
王宮での書類作成は、この国の事だけではなく外国の事も深く知る必要が出てくる。
特に大きな催し物がある際の招待客に、外国の人達が招かれた場合大変だった。
細かく調べ上げ、端的にまとめた書類を提出する。
この時に知ったのだ。
この国と外国の魔術のあり方が、随分違う事を。
この国では、魔力解放から学園入学までにしっかりと水晶で魔力を上げないと、以後上がらないというのが常識だ。
しかし、外国では違うようなのだ。
最初の魔力解放がないからなのか、資料が少ない為詳しくは分からない。
とても都合のよい希望的観測だが、私の魔力はもしかしたら増やせるかもしれない。
それ位思ってもいいよね。
研究したいが、今の私の立場では許されないだろう。
帝国産の便利な魔道具を使いこなしながら、書類を作成する。
帰宅後は妹に渡される課題を仕上げる。
そんな学園生活が続いていた。
最終学年の今も、私の見かけはとても十五歳には見えないガリガリのままだった。
学園中を探しても私が一番小さいだろう。
貴族として大切な魔力も増える事なく無能のままだった。
そして、今日学園の退学を言い渡された。
妹は持ち前の愛らしさで人気を得て、王太子やその側近達と一緒に行動している。
普段の授業はどうしているのかと思うが、妹が王太子妃教育を受けているのは皆が知っている事だ。
簡単な質問は未熟な生徒へ、難しい質問は王太子へと行くのだという。
魔術実習では、見本になる事が多い様で派手に目立っていた。
学園生活も要領良くやり過ごしている様で、噂は沢山流れてきた。
私は相変わらず、無能という位置づけで特に変化はなく遠巻きにされ、ある意味平和な学園生活を送っていた。
昼食に誘われても、私は食べられないから相手に気を使わせるだけだ。
学園の生活より、王宮での書類仕事の方が大変になっていった。
学園が終わると、毎日のように通う羽目になった。
王宮へは別々に行くのだから、妹に魔術を掛けられる事はなくなった。
この頃には妹とハッキリ見た目が違ったのもあるだろう。
その代わり下女が着るような、地味なドレスを着る様に言われた。
だが、私が持っているドレスは地味な物ばかりなのだ。
王宮用に着替える必要は全くなかった。
学園入学と同時に、妹は王太子妃としての執務室を与えられていた。
王宮の仕事内容が、婚約者が公務をお手伝するという様な物から本格的に実施するまでとなり、客室から移動したのだ。
その近くにある控え室に、下働きが使う通路を使い俯いて通った。
しかし、実はこれが意外と面白い。
たまにすれ違う者達は、表に出ない噂話や貴族とは違う話し方などをする。
私には全てが新鮮で、色々と勉強になった。
この通路では、私が貴族だとは誰にも思われなかっただろう。
屋敷でも侍女と話す事がない、私にとって唯一外と触れ合える出来事だった。
時には、小さな下働きが紛れ込んだと思われたのか。
お腹が空いてるか?とどこから出てきたのか、こっそり干した芋を貰った事があった。
噛みごたえがあり、優しい味がした。
王宮での書類作成は、この国の事だけではなく外国の事も深く知る必要が出てくる。
特に大きな催し物がある際の招待客に、外国の人達が招かれた場合大変だった。
細かく調べ上げ、端的にまとめた書類を提出する。
この時に知ったのだ。
この国と外国の魔術のあり方が、随分違う事を。
この国では、魔力解放から学園入学までにしっかりと水晶で魔力を上げないと、以後上がらないというのが常識だ。
しかし、外国では違うようなのだ。
最初の魔力解放がないからなのか、資料が少ない為詳しくは分からない。
とても都合のよい希望的観測だが、私の魔力はもしかしたら増やせるかもしれない。
それ位思ってもいいよね。
研究したいが、今の私の立場では許されないだろう。
帝国産の便利な魔道具を使いこなしながら、書類を作成する。
帰宅後は妹に渡される課題を仕上げる。
そんな学園生活が続いていた。
最終学年の今も、私の見かけはとても十五歳には見えないガリガリのままだった。
学園中を探しても私が一番小さいだろう。
貴族として大切な魔力も増える事なく無能のままだった。
そして、今日学園の退学を言い渡された。
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