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第一章 公爵令嬢の姉
14 姉として学園に入学して
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次期王太子妃の仕事が増える度に、妹に連れられて王宮に通う事も増えていった。
それは学園に入学するまで続いた。
学園の入学試験の少し前から、妹は体調が悪いと訴えだした。
両親は相談して、私に筆記試験の名前を入れかける事を強要した。
「試験の席は身分の順だ。席は近いはずだから名前を入れ替えろ。学園長には話してある」
「そうよ。マリアーヌが王太子と別のクラスになる可能性は潰さないと。この子にはトップクラスが似合うのだから」
学園は十三歳から十六歳が学ぶ貴族子女の学び舎だ。
ここで貴族としての基礎や人脈を作り、次の専門課程へと進む。
今年は王太子が入学するので、トップ争いは熾烈になるそうだ。
筆記試験は泣く泣く名前を妹にし、魔術の実技試験ではあまりの出来の悪さに笑われた。
妹の魔術は派手なもので、どこにも不調は見当たらなかった。
学園に入って驚愕の事実を知らされた。
魔力というのは、幼い頃なら増やせたらしい。
その事を知ったのは、もう取り返しのつかない学園の魔力測定の時だった。
「私、魔力少ないから……」
何気なく呟いた言葉にクラスメイトが答えたのだ。
「俺も魔力少ないから大変だった。何回も教会に行ってやり直して。でもクリアしないと次の水晶にいけないだろう?毎年毎年頑張ったさ」
魔力は何度でも測り直しが出来て、毎年その年齢に合わせた水晶で測る。
年齢に合わせた水晶には付与があり、一定水準を超えると能力にブーストがかかったり、新しい能力が使えたりするらしい。
この国独自のやり方で、魔術に頼っているこの国が誇る技術だと言われた。
後で今までの自分の勉強を見直したが、やはり習っていなかった。
初期の初歩である初級編か、教会の複雑な仕事を紹介する本、魔道具の超上級者用の専門書に載っていたが、飛ばされていたかまだ手に付けていない物だった。
測り直しは、魔力を上手く上げられなかった子達への救済措置だという。
教会へのお布施はかかるが、貴族には負担にならないものなのだとか。
一番最初に行うのは魔力解放というのだそうだ。
私は八歳の時の魔力解放の一度きりだった。
鍛えられ、魔力が上がっている同級生達と違って、私の評価は無能だった。
もう取り返しがつかないらしい。
そういえば、魔力測定をしてから魔術の実技を習う事があったのだが。
国から派遣されたフードを被った魔術師が、特別教師として稀に屋敷に来た時だった。
妹と私を教えるのだが、その後必ずといっていい程父親と激しく口論していた。
「手間を掛けさせるな、この恥さらし。私まで恥をかいたではないか」
魔術師が帰った後は、父親の折檻が待っていた。
その時に忠告があったのだろう。
無視した父親の本意は分からないが、多分少しのお布施も私に使いたくなかったのだろう。
公爵家の令嬢なのに、学年の最下位クラス。
貴族に見えない程、貧弱で小柄な体つき。
王太子の婚約者の姉とは思えない、地味なドレス。
魔力は普通の平民以下で、貴族としてはありえない無能ぶり。
私の扱いはクラスでも困るもので、結果クラスの皆から遠巻きにされた。
それは学園に入学するまで続いた。
学園の入学試験の少し前から、妹は体調が悪いと訴えだした。
両親は相談して、私に筆記試験の名前を入れかける事を強要した。
「試験の席は身分の順だ。席は近いはずだから名前を入れ替えろ。学園長には話してある」
「そうよ。マリアーヌが王太子と別のクラスになる可能性は潰さないと。この子にはトップクラスが似合うのだから」
学園は十三歳から十六歳が学ぶ貴族子女の学び舎だ。
ここで貴族としての基礎や人脈を作り、次の専門課程へと進む。
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その事を知ったのは、もう取り返しのつかない学園の魔力測定の時だった。
「私、魔力少ないから……」
何気なく呟いた言葉にクラスメイトが答えたのだ。
「俺も魔力少ないから大変だった。何回も教会に行ってやり直して。でもクリアしないと次の水晶にいけないだろう?毎年毎年頑張ったさ」
魔力は何度でも測り直しが出来て、毎年その年齢に合わせた水晶で測る。
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測り直しは、魔力を上手く上げられなかった子達への救済措置だという。
教会へのお布施はかかるが、貴族には負担にならないものなのだとか。
一番最初に行うのは魔力解放というのだそうだ。
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鍛えられ、魔力が上がっている同級生達と違って、私の評価は無能だった。
もう取り返しがつかないらしい。
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国から派遣されたフードを被った魔術師が、特別教師として稀に屋敷に来た時だった。
妹と私を教えるのだが、その後必ずといっていい程父親と激しく口論していた。
「手間を掛けさせるな、この恥さらし。私まで恥をかいたではないか」
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その時に忠告があったのだろう。
無視した父親の本意は分からないが、多分少しのお布施も私に使いたくなかったのだろう。
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