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第一章 公爵令嬢の姉
12 姉として王宮に行き
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魔力測定が終わって帰宅したら、気を失うまで父親に折檻された。
「我がエイヴァリーズ公爵の名を汚しおって。この出来損ない。恥を知れ」
殴られ蹴られ罵倒され、気が付くと自分のベッドにいた。
この時は側に瓶があったから、侍女がポーションを掛けてくれたのだろう。
そして私の待遇はまた悪くなった。
まず私付きの侍女がいなくなった。
顔も合わせなくないと、両親と妹と食事は別となり遅いと勝手に下げられた。
確実に食べられるのは朝食のみとなり、それも量はなかった。
両親は何を考えているのだろう、私に勉強を強要し続けた。
魔力はないと罵倒するのに、魔術の勉強は妹より厳しかった。
公爵家の恥と言いながら、次期公爵の勉強は続けさせられた。
妹に全てが劣る、と侮蔑されながらも王太子妃教育を辞める事は許されなかった。
魔術と次期公爵教育の教師には、溢れた貴族の三男や四男がついた。
職がないからと、公爵家を頼って一時的に家庭教師をしているだけの人達。
やる気も知識もなく、難しい本を与えられ課題を何十枚も提出させられた。
その課題を持って、宮廷の官職を得たと聞いた時には思わず笑ってしまった。
いつも無表情の私が不気味に笑う姿に、近くを通りかかった侍女が引きつった顔をしていた。
十歳の頃には学園卒業までの勉強は修了していたと思う。
ただ教師がコロコロと変わるので、抜けている事が沢山あったようだ。
それは学園に入ってから実感した。
十一歳の誕生日が過ぎたある時、私はなぜが妹と一緒に王宮に来た。
私には理由が分からなかったが、妹から地味な服を与えられた。
妹は驚く程華美に着飾っていた。
「マリアーヌは本当に綺麗ね」
「王太子はマリアーヌに骨抜きにされるだろうな。溺愛されるとよい。我が家の事も頼んだぞ」
笑いながら妹に媚びる両親は、まるで私をいない者として扱った。
王宮に着き、妹が私と自分に何か魔術を掛けた。
それからは会う人達が私を無視する。
「ふふっ、貴方は存在感が元々ないんだもの。私の魅力の足しには足りないけど、使って上げるんだから感謝しなさい」
どうやら、人の存在感を奪って自分の物を膨らます魔術を使ったらしい。
「ここらでいいかな……ああ疲れたー」
「はは、マリアーヌには要らない魔術だが王太子妃になるには必須だからな。将来存在感の薄い子供が出来たら使ってやりなさい」
「そうよ、将来の為ですもの」
王宮のある部屋に入って妹は魔術を解いた。
解かれた瞬間、重石を乗せられた様な疲労感が全身を覆う。
私の状態など気にもせず、楽しそうに話をする人達。
その後当然の様に書類を渡された。
私は、ただただ疲れた体を奮い立たせて取り組んだ。
私が書類と格闘している時間、三人は優雅にお茶を飲み妹の自慢話に夢中になっていた。
「我がエイヴァリーズ公爵の名を汚しおって。この出来損ない。恥を知れ」
殴られ蹴られ罵倒され、気が付くと自分のベッドにいた。
この時は側に瓶があったから、侍女がポーションを掛けてくれたのだろう。
そして私の待遇はまた悪くなった。
まず私付きの侍女がいなくなった。
顔も合わせなくないと、両親と妹と食事は別となり遅いと勝手に下げられた。
確実に食べられるのは朝食のみとなり、それも量はなかった。
両親は何を考えているのだろう、私に勉強を強要し続けた。
魔力はないと罵倒するのに、魔術の勉強は妹より厳しかった。
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やる気も知識もなく、難しい本を与えられ課題を何十枚も提出させられた。
その課題を持って、宮廷の官職を得たと聞いた時には思わず笑ってしまった。
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それは学園に入ってから実感した。
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妹は驚く程華美に着飾っていた。
「マリアーヌは本当に綺麗ね」
「王太子はマリアーヌに骨抜きにされるだろうな。溺愛されるとよい。我が家の事も頼んだぞ」
笑いながら妹に媚びる両親は、まるで私をいない者として扱った。
王宮に着き、妹が私と自分に何か魔術を掛けた。
それからは会う人達が私を無視する。
「ふふっ、貴方は存在感が元々ないんだもの。私の魅力の足しには足りないけど、使って上げるんだから感謝しなさい」
どうやら、人の存在感を奪って自分の物を膨らます魔術を使ったらしい。
「ここらでいいかな……ああ疲れたー」
「はは、マリアーヌには要らない魔術だが王太子妃になるには必須だからな。将来存在感の薄い子供が出来たら使ってやりなさい」
「そうよ、将来の為ですもの」
王宮のある部屋に入って妹は魔術を解いた。
解かれた瞬間、重石を乗せられた様な疲労感が全身を覆う。
私の状態など気にもせず、楽しそうに話をする人達。
その後当然の様に書類を渡された。
私は、ただただ疲れた体を奮い立たせて取り組んだ。
私が書類と格闘している時間、三人は優雅にお茶を飲み妹の自慢話に夢中になっていた。
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