9 / 42
第一章 公爵令嬢の姉
9 姉として育って
しおりを挟む
幼い頃は何も知らなかった。
両親が訪れる事が殆どなくても、乳母が冷たい態度をしていても、閉じ込められた空間ではわからない。
違いがわかったのは、三歳の誕生日の時だろう。
貴族のお披露目も兼ねた誕生日会は、もちろん妹の誕生日に合わせられた。
妹は将来の王妃として、華やかにお披露目された。
私はその隅で、少しだけお披露目された。
律儀な人はいるもので、可愛いリボンや綺麗なボール等を直接貰った。
それが気に入らなかったのか、妹の機嫌を損ねすぐ会場を出された。
ドレスも私のサイズではなかった。
私には少し大きく、多分何着も作った妹のドレスなのだろう。
気に入らなかった物なのか、くすんだ色のドレスを着せられていた。
後から渡されたプレゼントは、分厚い本や女の子が喜ぶのだろうか?と思う古い魔道具。
私に直接渡されたプレゼントは、会場で侍女に預けたきり戻って来なかった。
つまり、妹が気に入らなかった物のみ私に贈られたのだ。
貴族のお披露目が終わり、私達は勉強を始めた。
最初は私達と乳母の子二人が一緒の部屋で学んだ。
私の乳母兄弟のみ男の子で、他は女の子だった。
「笑ってはだめなの。かわいく笑うのは私だけなんだから」
そう言って妹は私を突き飛ばした。
私は突然の事で泣いたが、両親はそんな私を叱責した。
「マリアーヌが可愛いからと、突っかかったらしいな。可愛くもない泣き顔など見せおって、表情など変えるな」
「可愛いマリアーヌと比べるなど無意味ですのに、わからないなど問題があるのではないかしら」
そんな事を言われ続け、私の表情筋は固まっていった。
妹は当たり前の様に、私から乳母兄弟を取った。
「私も男の子の乳母兄弟が欲しい」
妹の言葉に、両親は当然の様に承諾した。
乳母も当たり前の様に妹に付いた。
私にはこの屋敷での味方は誰もいないのだと、突きつけられた。
家庭教師に対しての扱いも酷かった。
私が褒められると妹が拗ね不機嫌になる。
それから妹は駄々をこねて、勉強部屋を出て行く。
両親が怒り、家庭教師が変わるを繰り返した。
幼い頃の家庭教師が変わるのはよくある事のようで、公爵家の評判が落ちる事はなかったようだ。
一年程こんな事を繰り返した後、別々の家庭教師が宛てがわれた。
優しく評判の良い家庭教師は妹と乳母の子達を教え、私には厳しいと評判の教師が来た。
これだけだったら別にいい。
しかし、評判の良い教師はしっかり子供達を見るから評判が良いのだ。
妹の機嫌を損ねる事もあるだろう。
こうなったらもう駄目だった。
家庭教師二人を解雇して別の人達を雇った。
「上の子の出来が悪く、家庭教師の言う事を聞かないのですよ」
私は便利に使われ矢面に出され、妹は守られる。
徐々に妹達三人には甘いだけの教師が、私には評判の良くない教師が付くようになった。
両親が訪れる事が殆どなくても、乳母が冷たい態度をしていても、閉じ込められた空間ではわからない。
違いがわかったのは、三歳の誕生日の時だろう。
貴族のお披露目も兼ねた誕生日会は、もちろん妹の誕生日に合わせられた。
妹は将来の王妃として、華やかにお披露目された。
私はその隅で、少しだけお披露目された。
律儀な人はいるもので、可愛いリボンや綺麗なボール等を直接貰った。
それが気に入らなかったのか、妹の機嫌を損ねすぐ会場を出された。
ドレスも私のサイズではなかった。
私には少し大きく、多分何着も作った妹のドレスなのだろう。
気に入らなかった物なのか、くすんだ色のドレスを着せられていた。
後から渡されたプレゼントは、分厚い本や女の子が喜ぶのだろうか?と思う古い魔道具。
私に直接渡されたプレゼントは、会場で侍女に預けたきり戻って来なかった。
つまり、妹が気に入らなかった物のみ私に贈られたのだ。
貴族のお披露目が終わり、私達は勉強を始めた。
最初は私達と乳母の子二人が一緒の部屋で学んだ。
私の乳母兄弟のみ男の子で、他は女の子だった。
「笑ってはだめなの。かわいく笑うのは私だけなんだから」
そう言って妹は私を突き飛ばした。
私は突然の事で泣いたが、両親はそんな私を叱責した。
「マリアーヌが可愛いからと、突っかかったらしいな。可愛くもない泣き顔など見せおって、表情など変えるな」
「可愛いマリアーヌと比べるなど無意味ですのに、わからないなど問題があるのではないかしら」
そんな事を言われ続け、私の表情筋は固まっていった。
妹は当たり前の様に、私から乳母兄弟を取った。
「私も男の子の乳母兄弟が欲しい」
妹の言葉に、両親は当然の様に承諾した。
乳母も当たり前の様に妹に付いた。
私にはこの屋敷での味方は誰もいないのだと、突きつけられた。
家庭教師に対しての扱いも酷かった。
私が褒められると妹が拗ね不機嫌になる。
それから妹は駄々をこねて、勉強部屋を出て行く。
両親が怒り、家庭教師が変わるを繰り返した。
幼い頃の家庭教師が変わるのはよくある事のようで、公爵家の評判が落ちる事はなかったようだ。
一年程こんな事を繰り返した後、別々の家庭教師が宛てがわれた。
優しく評判の良い家庭教師は妹と乳母の子達を教え、私には厳しいと評判の教師が来た。
これだけだったら別にいい。
しかし、評判の良い教師はしっかり子供達を見るから評判が良いのだ。
妹の機嫌を損ねる事もあるだろう。
こうなったらもう駄目だった。
家庭教師二人を解雇して別の人達を雇った。
「上の子の出来が悪く、家庭教師の言う事を聞かないのですよ」
私は便利に使われ矢面に出され、妹は守られる。
徐々に妹達三人には甘いだけの教師が、私には評判の良くない教師が付くようになった。
53
お気に入りに追加
8,473
あなたにおすすめの小説

悪役令嬢、資産運用で学園を掌握する 〜王太子?興味ない、私は経済で無双する〜
言諮 アイ
ファンタジー
異世界貴族社会の名門・ローデリア学園。そこに通う公爵令嬢リリアーナは、婚約者である王太子エドワルドから一方的に婚約破棄を宣言される。理由は「平民の聖女をいじめた悪役だから」?——はっ、笑わせないで。
しかし、リリアーナには王太子も知らない"切り札"があった。
それは、前世の知識を活かした「資産運用」。株式、事業投資、不動産売買……全てを駆使し、わずか数日で貴族社会の経済を掌握する。
「王太子?聖女?その程度の茶番に構っている暇はないわ。私は"資産"でこの学園を支配するのだから。」
破滅フラグ?なら経済で粉砕するだけ。
気づけば、学園も貴族もすべてが彼女の手中に——。
「お前は……一体何者だ?」と動揺する王太子に、リリアーナは微笑む。
「私はただの投資家よ。負けたくないなら……資本主義のルールを学びなさい。」
学園を舞台に繰り広げられる異世界経済バトルロマンス!
"悪役令嬢"、ここに爆誕!

召喚失敗!?いや、私聖女みたいなんですけど・・・まぁいっか。
SaToo
ファンタジー
聖女を召喚しておいてお前は聖女じゃないって、それはなくない?
その魔道具、私の力量りきれてないよ?まぁ聖女じゃないっていうならそれでもいいけど。
ってなんで地下牢に閉じ込められてるんだろ…。
せっかく異世界に来たんだから、世界中を旅したいよ。
こんなところさっさと抜け出して、旅に出ますか。

追放したんでしょ?楽しく暮らしてるのでほっといて
だましだまし
ファンタジー
私たちの未来の王子妃を影なり日向なりと支える為に存在している。
敬愛する侯爵令嬢ディボラ様の為に切磋琢磨し、鼓舞し合い、己を磨いてきた。
決して追放に備えていた訳では無いのよ?

【完結】公爵家の末っ子娘は嘲笑う
たくみ
ファンタジー
圧倒的な力を持つ公爵家に生まれたアリスには優秀を通り越して天才といわれる6人の兄と姉、ちやほやされる同い年の腹違いの姉がいた。
アリスは彼らと比べられ、蔑まれていた。しかし、彼女は公爵家にふさわしい美貌、頭脳、魔力を持っていた。
ではなぜ周囲は彼女を蔑むのか?
それは彼女がそう振る舞っていたからに他ならない。そう…彼女は見る目のない人たちを陰で嘲笑うのが趣味だった。
自国の皇太子に婚約破棄され、隣国の王子に嫁ぐことになったアリス。王妃の息子たちは彼女を拒否した為、側室の息子に嫁ぐことになった。
このあつかいに笑みがこぼれるアリス。彼女の行動、趣味は国が変わろうと何も変わらない。
それにしても……なぜ人は見せかけの行動でこうも勘違いできるのだろう。
※小説家になろうさんで投稿始めました

悪役令嬢と呼ばれて追放されましたが、先祖返りの精霊種だったので、神殿で崇められる立場になりました。母国は加護を失いましたが仕方ないですね。
蒼衣翼
恋愛
古くから続く名家の娘、アレリは、古い盟約に従って、王太子の妻となるさだめだった。
しかし、古臭い伝統に反発した王太子によって、ありもしない罪をでっち上げられた挙げ句、国外追放となってしまう。
自分の意思とは関係ないところで、運命を翻弄されたアレリは、憧れだった精霊信仰がさかんな国を目指すことに。
そこで、自然のエネルギーそのものである精霊と語り合うことの出来るアレリは、神殿で聖女と崇められ、優しい青年と巡り合った。
一方、古い盟約を破った故国は、精霊の加護を失い、衰退していくのだった。
※カクヨムさまにも掲載しています。

豊穣の巫女から追放されたただの村娘。しかし彼女の正体が予想外のものだったため、村は彼女が知らないうちに崩壊する。
下菊みこと
ファンタジー
豊穣の巫女に追い出された少女のお話。
豊穣の巫女に追い出された村娘、アンナ。彼女は村人達の善意で生かされていた孤児だったため、むしろお礼を言って笑顔で村を離れた。その感謝は本物だった。なにも持たない彼女は、果たしてどこに向かうのか…。
小説家になろう様でも投稿しています。

婚約破棄されたので四大精霊と国を出ます
今川幸乃
ファンタジー
公爵令嬢である私シルア・アリュシオンはアドラント王国第一王子クリストフと政略婚約していたが、私だけが精霊と会話をすることが出来るのを、あろうことか悪魔と話しているという言いがかりをつけられて婚約破棄される。
しかもクリストフはアイリスという女にデレデレしている。
王宮を追い出された私だったが、地水火風を司る四大精霊も私についてきてくれたので、精霊の力を借りた私は強力な魔法を使えるようになった。
そして隣国マナライト王国の王子アルツリヒトの招待を受けた。
一方、精霊の加護を失った王国には次々と災厄が訪れるのだった。
※「小説家になろう」「カクヨム」から転載
※3/8~ 改稿中

学園首席の私は魔力を奪われて婚約破棄されたけど、借り物の魔力でいつまで調子に乗っているつもり?
今川幸乃
ファンタジー
下級貴族の生まれながら魔法の練習に励み、貴族の子女が集まるデルフィーラ学園に首席入学を果たしたレミリア。
しかし進級試験の際に彼女の実力を嫉妬したシルヴィアの呪いで魔力を奪われ、婚約者であったオルクには婚約破棄されてしまう。
が、そんな彼女を助けてくれたのはアルフというミステリアスなクラスメイトであった。
レミリアはアルフとともに呪いを解き、シルヴィアへの復讐を行うことを決意する。
レミリアの魔力を奪ったシルヴィアは調子に乗っていたが、全校生徒の前で魔法を披露する際に魔力を奪い返され、醜態を晒すことになってしまう。
※3/6~ プチ改稿中
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる