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3 王命
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王命が下ったのが15歳の時でした。
王家より打診があった際、私は泣いて嫌がりました。
前公爵である祖父も、現公爵である父も激怒し、反対しました。
王家にきちんとお断りを入れました。
獣人族は16歳から番を探します。
ゆっくりと番にだけわかる匂いを拡散させていくのです。
幼い頃にわかる場合もあるのですが、本当に身近にいる場合のみです。
私はこの16歳になる日を待ち望んでいたのです。
しかし、王家から何回も打診が来ます。
私達が焦らして、王家に無理な要求をする為だろうという趣旨の文が添えてある場合もありました。
その度断るので、王家はしびれを切らしたのか、父と私のみを強制召喚しました。
普通の召喚では、成人していない私を連れてこないと思ったのでしょう。
祖父を入れなかったのは、一番の妨害者となるのが目に見えていたから。
我がスクワルディ公爵家は、この国でとても微妙な立ち位置なのです。
祖父は隣国ライオネス帝国の王族でした。
祖母はこの国の子爵令嬢。
この国獣王国とライオネス帝国は、隣国でお互い最強の獣王を名乗るほどです。
それは今も変わりません。
百年ほど前の戦乱では、多くの血が流れたといいます。
その為、本来不干渉な番の婚姻に獣王国が口を出しました。
色々と話し合いがあり、獣王国で公爵を叙爵したのです。
父と私が王城に登城し、謁見の間に通されました。
そこには既に、陛下、妃殿下、宰相や大臣等城での主要な役職の者達。
領地持ちの高位貴族が揃っていたと、後から父に教えられました。
謁見当時、スクワルディ公爵領から出る事がなかった私は、他の貴族などほとんど知りませんでしたから。
「今回我が息子、ハリィエイナルが番を見つける事ができず……諦らめてここにいる、スクワルディ公爵家令嬢と婚姻を結ぶ事になった」
「お待ち下さい、陛下。当家は了承しておりません!」
父は慌てて否定をしてくれました。
「なんと、このような光栄な事を断るとは……」
「図に乗るのも甚だしい」
「余所者が……」
「本来以上の爵位を強請っておきながら……」
周りに、根回しされているのでしょう。
婚姻に驚く人はおらず、孤立無援でした。
「何故断る、よもや我が息子では不満か?」
「その様な事を言っているのではありません。娘は15です。まだ番を求める準備もしておりません。もっと適切な方々がいらっしゃるのではないでしょうか?」
「15だから良いのではないか……他の者とは?番を求めているのに邪魔しては申し訳ないだろう?」
確かに、私はまだです。
それでも、将来番が現れると信じているのです。
獣神様がご用意してくれているのです。
私に、そして将来の番に申し訳ないとは思わないのでしょうか?
陛下と父の問答が繰り広げられます。
「ええい、いつまでもいつまでも認めぬとは。息子は番切りをした。わしも妃も確認しておる。どこに不安要素があるのか!この婚姻は王命だ。娘が16になれば王家に差し出せ!」
「無体な……」
「これは王命であるぞ!もし異を唱えたなら、即刻領地を召し上げる!」
陛下は家臣や貴族達の前で、王命として宣言したのです。
横暴でした。
領地を出る際祖父からは、無理強いされたら反乱を起こすから、断っていいと言ってくれていました。
でも、私は知っているのです。
未開拓の森を苦労して開拓した祖父の話を。
祖母はいつも申し訳なさそうにしていました。
領民達は「ここに来てよかった」と笑っています。
住んでいた所を追い出されたり、逃げ出した者達が再起をかけて集まって発展した領なのです。
領地を召し上げられる訳には参りません。
私はその場で了承するしかありませんでした。
王家より打診があった際、私は泣いて嫌がりました。
前公爵である祖父も、現公爵である父も激怒し、反対しました。
王家にきちんとお断りを入れました。
獣人族は16歳から番を探します。
ゆっくりと番にだけわかる匂いを拡散させていくのです。
幼い頃にわかる場合もあるのですが、本当に身近にいる場合のみです。
私はこの16歳になる日を待ち望んでいたのです。
しかし、王家から何回も打診が来ます。
私達が焦らして、王家に無理な要求をする為だろうという趣旨の文が添えてある場合もありました。
その度断るので、王家はしびれを切らしたのか、父と私のみを強制召喚しました。
普通の召喚では、成人していない私を連れてこないと思ったのでしょう。
祖父を入れなかったのは、一番の妨害者となるのが目に見えていたから。
我がスクワルディ公爵家は、この国でとても微妙な立ち位置なのです。
祖父は隣国ライオネス帝国の王族でした。
祖母はこの国の子爵令嬢。
この国獣王国とライオネス帝国は、隣国でお互い最強の獣王を名乗るほどです。
それは今も変わりません。
百年ほど前の戦乱では、多くの血が流れたといいます。
その為、本来不干渉な番の婚姻に獣王国が口を出しました。
色々と話し合いがあり、獣王国で公爵を叙爵したのです。
父と私が王城に登城し、謁見の間に通されました。
そこには既に、陛下、妃殿下、宰相や大臣等城での主要な役職の者達。
領地持ちの高位貴族が揃っていたと、後から父に教えられました。
謁見当時、スクワルディ公爵領から出る事がなかった私は、他の貴族などほとんど知りませんでしたから。
「今回我が息子、ハリィエイナルが番を見つける事ができず……諦らめてここにいる、スクワルディ公爵家令嬢と婚姻を結ぶ事になった」
「お待ち下さい、陛下。当家は了承しておりません!」
父は慌てて否定をしてくれました。
「なんと、このような光栄な事を断るとは……」
「図に乗るのも甚だしい」
「余所者が……」
「本来以上の爵位を強請っておきながら……」
周りに、根回しされているのでしょう。
婚姻に驚く人はおらず、孤立無援でした。
「何故断る、よもや我が息子では不満か?」
「その様な事を言っているのではありません。娘は15です。まだ番を求める準備もしておりません。もっと適切な方々がいらっしゃるのではないでしょうか?」
「15だから良いのではないか……他の者とは?番を求めているのに邪魔しては申し訳ないだろう?」
確かに、私はまだです。
それでも、将来番が現れると信じているのです。
獣神様がご用意してくれているのです。
私に、そして将来の番に申し訳ないとは思わないのでしょうか?
陛下と父の問答が繰り広げられます。
「ええい、いつまでもいつまでも認めぬとは。息子は番切りをした。わしも妃も確認しておる。どこに不安要素があるのか!この婚姻は王命だ。娘が16になれば王家に差し出せ!」
「無体な……」
「これは王命であるぞ!もし異を唱えたなら、即刻領地を召し上げる!」
陛下は家臣や貴族達の前で、王命として宣言したのです。
横暴でした。
領地を出る際祖父からは、無理強いされたら反乱を起こすから、断っていいと言ってくれていました。
でも、私は知っているのです。
未開拓の森を苦労して開拓した祖父の話を。
祖母はいつも申し訳なさそうにしていました。
領民達は「ここに来てよかった」と笑っています。
住んでいた所を追い出されたり、逃げ出した者達が再起をかけて集まって発展した領なのです。
領地を召し上げられる訳には参りません。
私はその場で了承するしかありませんでした。
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