かぐや姫戦記

初澪 ほたる

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巡り会い

今は昔、竹取の翁といふ者ありけり?

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今は昔、竹取の翁といふ者ありけり。

竹取の翁という者はいたにはいたが、今この竹藪にいるのは一人の少年だった。

少年の名前はツキ。
竹藪の所有者である翁の近くの家に住むツキ。

ツキには親がいなかった。
だが、運がいいのか今まで生きてこられた。
半年ほど前、山で死にかけたところを翁に助けられたのだった。

傷の手当て、食事、これまでずっと一人で生きてきたツキにとってそれは生まれて初めて感じる愛情だった。

それからというものツキは翁の仕事を手伝うようになった。



そして現在——。

今日もいつものように竹藪で仕事をしようとするとツキはふと、ある一本の光る竹が目に入った。



SIDE  : ツキ


「な、なんだこれは?」

一見して見た目はただの竹だがやはり根元のあたりが光っている。
世にも奇妙なその竹にツキは釘付けになっていた。

「一旦、切ってみるか。こんだけ光ってるんだ、きっと中に何かあるに違いない」

今まで、爺さん婆さんに世話になってるからな、もしこの中に何か金になるものがあったら渡そう。

俺は慎重に斧で竹を叩く。
コン、コンと鳴り響く。

そして、中の空洞に斧が達しようとするときだった。

切れ目からまばゆい光が放たれた。

「うわ!?な、なんだ?!」

光が収まり、竹を見てみると光っていた竹はただの竹に戻っていた。

なんだったんだ?と思い俺は竹を調べようとする。

「おーい」

小さな声がかすかに聞こえた。
辺りを見渡しても誰もいない。

「やっぱり奇妙だ。何か不吉なことでも起こるのだろうか」

「おーい」

再び聞こえた声。
やはりこの辺りには誰もいない。

「おーい!聞こえているのであろう!」

「やっぱり俺に言ってるのか?」

もう一度耳をすませる。
と、周りにばかりを気にしていたが、竹と俺との間に必死に手を振っている小さな少女がいた。

「やっと向きおったか——これだから人間は...」

人形のような少女を俺はまじまじと見て言った。

「お、お前は——」

土下座のような姿勢で俺が見ていた少女は、次の瞬間、目にも留まらぬ速さで俺と同じぐらい背丈にまで成長した。

さっきまで来ていた着物はもちろん成長共に張り裂け、今少女はほぼ全裸だった。

だが少女は恥ずかしがることもなく、むしろ自らの美貌をわざと見せるように俺に迫ってきた。

「私はかぐや。私をあなたのそばにおいてはくれないだろうか」

上目遣いで迫る少女に俺は今まで俺が経験してきた現実を教えてやった。

「え、いやだ」


「え?」
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