断罪された大聖女は死に戻り地味に生きていきたい

花音月雫

文字の大きさ
上 下
87 / 122
第三章

聖女様達とご対面ですわ

しおりを挟む
お部屋の前にはお父様とお兄様、ミカエル様が立っていました。

「終わったのかい?何か変な事はされなかったか?どこか触られた?」

そんな事を口走りながらお兄様が物凄い速さで私に抱きつこうとしてきましたわ。それをお父様は簡単に首根っこを掴んで阻止しました。
やはりお父様は頼りになりますわ。

「......本当にアイラ聖女の事が好きなのですね」

ユーリン様がドン引きしていますわ。
神官様もですが私のお兄様ま気持ち悪くてごめんなさい。
ユーリン様はドン引きしながらも私に説明してくれましたわ。

「朝食はアイラ聖女当番の聖騎士様が迎えに来るので食堂まで一緒に来て下さいね。聖騎士団長様、今日する事は終わりましたので後はお願いしても?」

「はい」

お父様がお返事をするとユーリン様は

「では、アイラ聖女、また明日食堂でお会いしましよう」

と言って軽くお辞儀をしてから歩いて行きました。

「先程キャシー先生から聞いたのだがアイラはやはり大聖女様だと決定したようだよ。アザの事も勿論だが他に聖力も申し分無いそうだ」

「そうですか。あ、立ち話もなんですので私のお部屋に.....」

私は3人にどうぞと言ってお部屋の扉を開けましたわ。

「私達聖騎士は聖女様の部屋には一緒に入ってはいけないのだよ。緊急の時は別だがね。アイラ聖女が来る前に不審物などないかは全てチェック済みだから安心しなさい」

お父様が説明してくれましたわ。聖女様の事は追々分かるとしてユーリン様からは聖騎士様の事については説明が無かったので聖騎士様の事はお父様やミカエル様に訊いた方が良さそうですね。

「そうなのですね。分かりましたわ」

少しだけ聖騎士様のお仕事内容を話してくれて3人は持ち場に戻ると言って帰って行きましたわ。

聖騎士様達はその月ごとに持ち場が変わり教会内を巡回したり先程ユーリン様が言っていた朝食時と夕食時に食堂まで聖女様を送る護衛や夜勤、その他細かいお仕事があるそうですわ。

因みに昼食は聖女様達が授業と授業の間なので2人で数人の聖女様を食堂まで送るそうです。
教会の中ですのにかなり厳重な警備なのに驚きましたわ。

私はお部屋に入り一息つく為に紅茶を淹れました。基本的に食事は食堂で食べますがお部屋にはお茶が飲めるように小さなキッチンがありますの。大丈夫だと思いますが念のため茶っぱや水などに毒や異物が混入されていないかを聖力を使って調べます。

お風呂、トイレも備えてあります。
ここでは自分の事は全て自分でする規則になっていますの。どんなに位の高い令嬢でもですわ。侍女や執事などを連れて来るのは駄目なのです。

紅茶を飲みそのあと入浴してベッドに入りました。どんな聖女様達が居るのでしょうか?柄にもなく少しドキドキしながら眠りに付きました。

次の日の朝、準備が整うと見計らったようなタイミングで扉がノックされましたわ。

「はい」

「おはようございます。本日アイラ聖女様を担当いたします、聖騎士のアレイと申します」

私は扉を開けました。
そこにはお父様ぐらい身長の高い美丈夫が立っていましたわ。宝石のようなキラキラしたエメラルドグリーンの瞳に紅茶色の髪、全体的にカッコ良いオーラが出まくっています。

「おはようございます。初めまして。アイラです。よろしくお願いします」

私はお部屋から出てご挨拶をしましたわ。するとアレイさんは私の耳元で囁きました。

「王太子様から密命を受けています。アイラ聖女様を守らせて頂きます」

私はアレイさんのお顔を今一度見てゆっくり頷きました。そして小さな声でよろしくお願いしますと言いましたわ。

アレイさんに案内されて食堂に行きました。そんなに広くはないですが朝日が入り清潔感があって良い食堂ですわ。
そのまま私指定のテーブルへ案内されました。

そのテーブルには既に3人分の朝食が用意されていました。そしてお2人の聖女様も座っていましたわ。

お2人が椅子から立ち上がり私に挨拶をしてきました。

「初めまして!私エミリー聖女と申します!大聖女様候補のアイラ聖女様とこれからご一緒出来ることが嬉しいです!」

最初に挨拶したのは綺麗な金色の髪にピンクの瞳が可愛いエミリー聖女様でしたわ。

「は、は、初めまして。私はサフィー聖女と申します。よろしくお願いします」

濃い茶色の髪に薄い紫の瞳のサフィー聖女様が控えめに挨拶してくれましたわ。

「初めまして。私、アイラ聖女と申しますわ。お2人より少し年上の13歳ですの。でもここでは私が後輩ですので色々教えて頂きたいです。どうぞよろしくお願いします」

私もそう挨拶をして頭を深々と下げました。

「きゃー!そんな、大聖女様候補が私達に頭など下げないで下さい!」

エミリー聖女様が叫びます。
サフィー聖女様もオロオロしていますわ。

「大聖女様候補は一旦忘れて頂けると嬉しいのです。私もお2人と一緒の聖女様として仲良くして欲しいのですわ」

と、私がにっこり微笑むとお2人は勿論食堂に居た全ての人達からため息が聞こえましたわ。

「綺麗......」

「私達とはやはり全然違うわ」

「性格も良いなんて!既に信者になりそうです」

食堂内がザワザワとしてしまいましたわ。初日から注目を浴びてしまいました......。教会に入ったら目立たなく暮らす予定が......。

「と、兎に角、座りましょうか」

私はお2人にそう言って席につきました。
すると神官様とルカさんが奥の廊下から歩いて食堂に入って来ましたわ。
あのお2人は聖女様が住んでいる棟とは違う棟にお部屋があるそうですわ。

ルカさんは私を見つけると笑顔で手を振りました。私も小さく手を振ってみましたわ。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

旦那様、前世の記憶を取り戻したので離縁させて頂きます

結城芙由奈@2/28コミカライズ発売
恋愛
【前世の記憶が戻ったので、貴方はもう用済みです】 ある日突然私は前世の記憶を取り戻し、今自分が置かれている結婚生活がとても理不尽な事に気が付いた。こんな夫ならもういらない。前世の知識を活用すれば、この世界でもきっと女1人で生きていけるはず。そして私はクズ夫に離婚届を突きつけた―。

十三回目の人生でようやく自分が悪役令嬢ポジと気づいたので、もう殿下の邪魔はしませんから構わないで下さい!

翠玉 結
恋愛
公爵令嬢である私、エリーザは挙式前夜の式典で命を落とした。 「貴様とは、婚約破棄する」と残酷な事を突きつける婚約者、王太子殿下クラウド様の手によって。 そしてそれが一度ではなく、何度も繰り返していることに気が付いたのは〖十三回目〗の人生。 死んだ理由…それは、毎回悪役令嬢というポジションで立ち振る舞い、殿下の恋路を邪魔していたいたからだった。 どう頑張ろうと、殿下からの愛を受け取ることなく死ぬ。 その結末をが分かっているならもう二度と同じ過ちは繰り返さない! そして死なない!! そう思って殿下と関わらないようにしていたのに、 何故か前の記憶とは違って、まさかのご執心で溺愛ルートまっしぐらで?! 「殿下!私、死にたくありません!」 ✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼ ※他サイトより転載した作品です。

婚約破棄されて辺境へ追放されました。でもステータスがほぼMAXだったので平気です!スローライフを楽しむぞっ♪

naturalsoft
恋愛
シオン・スカーレット公爵令嬢は転生者であった。夢だった剣と魔法の世界に転生し、剣の鍛錬と魔法の鍛錬と勉強をずっとしており、攻略者の好感度を上げなかったため、婚約破棄されました。 「あれ?ここって乙女ゲーの世界だったの?」 まっ、いいかっ! 持ち前の能天気さとポジティブ思考で、辺境へ追放されても元気に頑張って生きてます!

いっとう愚かで、惨めで、哀れな末路を辿るはずだった令嬢の矜持

空月
ファンタジー
古くからの名家、貴き血を継ぐローゼンベルグ家――その末子、一人娘として生まれたカトレア・ローゼンベルグは、幼い頃からの婚約者に婚約破棄され、遠方の別荘へと療養の名目で送られた。 その道中に惨めに死ぬはずだった未来を、突然現れた『バグ』によって回避して、ただの『カトレア』として生きていく話。 ※悪役令嬢で婚約破棄物ですが、ざまぁもスッキリもありません。 ※以前投稿していた「いっとう愚かで惨めで哀れだった令嬢の果て」改稿版です。文章量が1.5倍くらいに増えています。

【完結】婚約者が好きなのです

maruko
恋愛
リリーベルの婚約者は誰にでも優しいオーラン・ドートル侯爵令息様。 でもそんな優しい婚約者がたった一人に対してだけ何故か冷たい。 冷たくされてるのはアリー・メーキリー侯爵令嬢。 彼の幼馴染だ。 そんなある日。偶然アリー様がこらえきれない涙を流すのを見てしまった。見つめる先には婚約者の姿。 私はどうすればいいのだろうか。 全34話(番外編含む) ※他サイトにも投稿しております ※1話〜4話までは文字数多めです 注)感想欄は全話読んでから閲覧ください(汗)

悪役令嬢と言われ冤罪で追放されたけど、実力でざまぁしてしまった。

三谷朱花
恋愛
レナ・フルサールは元公爵令嬢。何もしていないはずなのに、気が付けば悪役令嬢と呼ばれ、公爵家を追放されるはめに。それまで高スペックと魔力の強さから王太子妃として望まれたはずなのに、スペックも低い魔力もほとんどないマリアンヌ・ゴッセ男爵令嬢が、王太子妃になることに。 何度も断罪を回避しようとしたのに! では、こんな国など出ていきます!

転生した元悪役令嬢は地味な人生を望んでいる

花見 有
恋愛
前世、悪役令嬢だったカーラはその罪を償う為、処刑され人生を終えた。転生して中流貴族家の令嬢として生まれ変わったカーラは、今度は地味で穏やかな人生を過ごそうと思っているのに、そんなカーラの元に自国の王子、アーロンのお妃候補の話が来てしまった。

強制力がなくなった世界に残されたものは

りりん
ファンタジー
一人の令嬢が処刑によってこの世を去った 令嬢を虐げていた者達、処刑に狂喜乱舞した者達、そして最愛の娘であったはずの令嬢を冷たく切り捨てた家族達 世界の強制力が解けたその瞬間、その世界はどうなるのか その世界を狂わせたものは

処理中です...