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第三章
神子認定ですわ
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私は祭壇裏の小さなお部屋からそっとお父様と一緒にルカさんを見守ります。
ルカさんは祭壇の前まで行き止まります。私が手を入れた桶はすでに撤去され桶があった場所には真っ黒な石が置いてありました。真っ黒ですがキラキラと光っています。神子認定にはあの石を使うのですね。
「さあ、この石に触れて下さい」
神官様がルカさんに囁きます。
恐る恐るルカさんが石に触るとその石から四方八方に白い光が放たれました。
その光の強さに目を開けていられません。そして光が無くなり礼拝堂が静かになりました。黒かった石が真っ白になって光っています!
「素晴らしい!神子様の誕生です!」
神官様が叫びましたわ。
すると観客達がまた騒ぎ出しました。
「なんと!大聖女様と神子様が同じ時に誕生するなんて!」
「神よ!我が国に宝をありがとう!」
ザワザワとしている中でルカさんが戸惑っていますわ。神官様がそれに気がつき手を差し伸べようとした時ですわ。
何処から現れたのか1人の男性がもの凄い勢いで走ってきます。
「こんな制度なんて無くせ!子供1人も救ってくれないなら神子も聖女も大聖女も無くしてしまえ!皆んな死んでしまえばいい!」
そう叫びながらルカさんの元へ走る男性。その手には大きなナイフが握りしめられています!私は礼拝堂に出ようと扉を開けました。ですがお父様に肩をガシッと掴まれて前に進めません。
「お父様⁉︎ルカさんが危ないのです!離して下さい!」
「アイラ、大丈夫だよ。我が聖騎士団を信用しておくれ」
そうお父様は私に言って軽くウィンクしましたわ。ぐふっ。なんてカッコ良いのでしょうか⁉︎お父様の素敵さにうっとりしている間にお部屋から出るタイミングを逃してしまいましたわ!
再びルカさんを見るとあの男性が迫っていました。
するとミカエル様がサッとルカさんを抱きかかえ場所を移動しましたわ。
男性の前に姿を現したお兄様が足で手を蹴り上げてナイフを落としました。そして素早く剣の柄頭で男性の背中を打ち気絶させて確保しましたわ。
お兄様、カッコ良いのです!そして仕事が出来るお人なのですよね。
変態なのが本当に残念でなりませんわ。
男性は聖騎士団の方達に連れて行かれました。観客達も騒いでいましたが男性が捕えられて皆さん拍手喝采です。
私はルカさんの所へと走りました。
「大丈夫でしたか?」
「うん。大丈夫だよ。ミカエル様が守ってくれたから」
そう頷くルカさんの手を私は握りしめましたわ。すると私とルカさんの手が光り出して金色と銀色のオーロラの様な物が礼拝堂に降りてきました。
「神子様と大聖女様が今世紀に揃った奇跡です!」
神官様が観客達に向かって叫びまた礼拝堂の中は熱気に包まれましたわ。
いや、ちょっと怖いです。
それに私は大聖女様ではないのですけれど。
ルカさんは神子様に認定され私は大聖女様と言われてしまいましたがとりあえず聖女様って事で認定されたのでした。
一旦、お屋敷に帰り皆んなで今日の認定を振り返ります。お母様もマリルも感動してくれたようですわ。
「アイラを聖女にはしたくなかったのだけれどあんなに普通の聖女様ではないモノを見せられてしまったらもう何も言えないわ。それにルカさんは本当に神子様でしたのね!驚きしかありませんわ」
その言葉を聞いてルカさんが照れています。私は自分の思いをお母様に伝えます。
「お母様?私は大聖女様にはなりませんわ!聖女様どまりですわ」
「貴方がそう思っていても周りがそうはさせてくれないわ」
お母様が泣きそうですわ。
「もし私が大聖女様になってしまったとしてもあまり戦わない方向に持っていきますますわ。だから安心して下さいね」
そんな事が出来るのか分からないですけれど。だって歴史書を読むと歴代の大聖女様は戦いに明け暮れていたみたいですしね。
お母様が少し疲れたので休むと言って侍女と一緒にお部屋を出ましたわ。
「やはりルカくんは神子様だったな。これからは神子様の教育を受けないといけない。殆ど教会からは出られなくなるが君のお祖父さんとは会えるように私がするから安心して欲しい」
お父様がルカさんにこれからの事を話して聞かせています。
「ありがとうございます。その、アイラとは教会で会えるのですか?」
「頻繁にとは言えないが会えるよ」
ルカさんは安心したお顔をしましたわ。
「アイラもこれからは教会で暮らさないといけない。でも一生ではないからね?」
そうですわね。でも大聖女様にならなければの話です。大聖女様になってしまったら一生教会の中ですわ。
そして神子様は一生教会から出られないのですわ。次の神子様が現れれば出られますがそのように神子様の誕生が続いた事はありませんの。
私はルカさんを守ると決めました。私が教会を出る事があればもうルカさんを守る事ができません。色々考える事がありますがとりあえず今はルカさんを危機から守る事に集中しなくては。
私の勘が当たっていればまずは神託です。神託に嫌な予感がありますわ。その神託はあの神官様が神様からのお告げとしてお話されたと思います。
先程のお父様の様子からして神官様とはご友人どころか嫌っている様に感じました。今思えば前の人生でお父様と仲が良いと神官様からしか聞いていません。本当はそうではなかったのかも。もしかすると神官様もあの時、シャーロットと手を組んでいたのかもしれません。
あの天使から前の人生で起こった私の知らない事をざっと聞いた中にはその様な事は無かったと記憶してはいますが。
「お父様、神託を私に教えて下さいませ!」
私は早速お父様に頼みましたわ。早く神託の解読をしなければ。
ルカさんは祭壇の前まで行き止まります。私が手を入れた桶はすでに撤去され桶があった場所には真っ黒な石が置いてありました。真っ黒ですがキラキラと光っています。神子認定にはあの石を使うのですね。
「さあ、この石に触れて下さい」
神官様がルカさんに囁きます。
恐る恐るルカさんが石に触るとその石から四方八方に白い光が放たれました。
その光の強さに目を開けていられません。そして光が無くなり礼拝堂が静かになりました。黒かった石が真っ白になって光っています!
「素晴らしい!神子様の誕生です!」
神官様が叫びましたわ。
すると観客達がまた騒ぎ出しました。
「なんと!大聖女様と神子様が同じ時に誕生するなんて!」
「神よ!我が国に宝をありがとう!」
ザワザワとしている中でルカさんが戸惑っていますわ。神官様がそれに気がつき手を差し伸べようとした時ですわ。
何処から現れたのか1人の男性がもの凄い勢いで走ってきます。
「こんな制度なんて無くせ!子供1人も救ってくれないなら神子も聖女も大聖女も無くしてしまえ!皆んな死んでしまえばいい!」
そう叫びながらルカさんの元へ走る男性。その手には大きなナイフが握りしめられています!私は礼拝堂に出ようと扉を開けました。ですがお父様に肩をガシッと掴まれて前に進めません。
「お父様⁉︎ルカさんが危ないのです!離して下さい!」
「アイラ、大丈夫だよ。我が聖騎士団を信用しておくれ」
そうお父様は私に言って軽くウィンクしましたわ。ぐふっ。なんてカッコ良いのでしょうか⁉︎お父様の素敵さにうっとりしている間にお部屋から出るタイミングを逃してしまいましたわ!
再びルカさんを見るとあの男性が迫っていました。
するとミカエル様がサッとルカさんを抱きかかえ場所を移動しましたわ。
男性の前に姿を現したお兄様が足で手を蹴り上げてナイフを落としました。そして素早く剣の柄頭で男性の背中を打ち気絶させて確保しましたわ。
お兄様、カッコ良いのです!そして仕事が出来るお人なのですよね。
変態なのが本当に残念でなりませんわ。
男性は聖騎士団の方達に連れて行かれました。観客達も騒いでいましたが男性が捕えられて皆さん拍手喝采です。
私はルカさんの所へと走りました。
「大丈夫でしたか?」
「うん。大丈夫だよ。ミカエル様が守ってくれたから」
そう頷くルカさんの手を私は握りしめましたわ。すると私とルカさんの手が光り出して金色と銀色のオーロラの様な物が礼拝堂に降りてきました。
「神子様と大聖女様が今世紀に揃った奇跡です!」
神官様が観客達に向かって叫びまた礼拝堂の中は熱気に包まれましたわ。
いや、ちょっと怖いです。
それに私は大聖女様ではないのですけれど。
ルカさんは神子様に認定され私は大聖女様と言われてしまいましたがとりあえず聖女様って事で認定されたのでした。
一旦、お屋敷に帰り皆んなで今日の認定を振り返ります。お母様もマリルも感動してくれたようですわ。
「アイラを聖女にはしたくなかったのだけれどあんなに普通の聖女様ではないモノを見せられてしまったらもう何も言えないわ。それにルカさんは本当に神子様でしたのね!驚きしかありませんわ」
その言葉を聞いてルカさんが照れています。私は自分の思いをお母様に伝えます。
「お母様?私は大聖女様にはなりませんわ!聖女様どまりですわ」
「貴方がそう思っていても周りがそうはさせてくれないわ」
お母様が泣きそうですわ。
「もし私が大聖女様になってしまったとしてもあまり戦わない方向に持っていきますますわ。だから安心して下さいね」
そんな事が出来るのか分からないですけれど。だって歴史書を読むと歴代の大聖女様は戦いに明け暮れていたみたいですしね。
お母様が少し疲れたので休むと言って侍女と一緒にお部屋を出ましたわ。
「やはりルカくんは神子様だったな。これからは神子様の教育を受けないといけない。殆ど教会からは出られなくなるが君のお祖父さんとは会えるように私がするから安心して欲しい」
お父様がルカさんにこれからの事を話して聞かせています。
「ありがとうございます。その、アイラとは教会で会えるのですか?」
「頻繁にとは言えないが会えるよ」
ルカさんは安心したお顔をしましたわ。
「アイラもこれからは教会で暮らさないといけない。でも一生ではないからね?」
そうですわね。でも大聖女様にならなければの話です。大聖女様になってしまったら一生教会の中ですわ。
そして神子様は一生教会から出られないのですわ。次の神子様が現れれば出られますがそのように神子様の誕生が続いた事はありませんの。
私はルカさんを守ると決めました。私が教会を出る事があればもうルカさんを守る事ができません。色々考える事がありますがとりあえず今はルカさんを危機から守る事に集中しなくては。
私の勘が当たっていればまずは神託です。神託に嫌な予感がありますわ。その神託はあの神官様が神様からのお告げとしてお話されたと思います。
先程のお父様の様子からして神官様とはご友人どころか嫌っている様に感じました。今思えば前の人生でお父様と仲が良いと神官様からしか聞いていません。本当はそうではなかったのかも。もしかすると神官様もあの時、シャーロットと手を組んでいたのかもしれません。
あの天使から前の人生で起こった私の知らない事をざっと聞いた中にはその様な事は無かったと記憶してはいますが。
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私は早速お父様に頼みましたわ。早く神託の解読をしなければ。
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