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第二章

キメラ事件の全容ですわ

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ん?でも前の人生の時、神託に神子様は絡んでいませんでしたわ。

「お父様?その神託に神子様が関係してますの?」

「ああ。詳しくは言えないがそうなんだ。今、神託の意味を解明している最中なんだよ」

そもそも、神託なんて嘘か妄想か夢ですわ。天使が言ってましたもの。神様はこの世界に手も口も出せないと。

神託は神官様のトップの方の口を借りて神様が話されると聞きました。でも天使の言った事が本当ならばそれは神様が伝えた言葉ではないのですよね?確か今のトップはお父様のご友人でしたわ。王都に戻ったら会わせてもらわなくては。

「そういう事情なのだがルカくん王都に来てもらえるだろうか?」

「分かりました。神託が関係しているのなら。じいちゃんに話してみます」

「その時は一緒に行かせて欲しい。私からも説明させてもらいたい」

とりあえず今日のところはここまでとなりましたわ。
お父様は聖騎士達と同じお宿に泊まるようですわ。私は少し寂しくなってお父様の袖口をギュッと掴んでしまいましたの。

「アイラ?寂しいのかい?」

私は無言で頷きましたわ。

「私もだ。本当はアイラと一緒に寝たいぐらいだ。でもそれは王都に帰ってリリーと3人で眠ろう。リリーが首を長くして待っているからね」

私はまた無言で頷きましたわ。

「アイラ!私となら今直ぐにでも一緒に寝れるぞ?お風呂も一緒に入ろう!」

お兄様の変態っぷりが大爆発してますわ。

「ルネ?お前も宿に戻るぞ?ミカエル!ルネをアイラに近づけるな」

「畏まりました」

お兄様はミカエル様に引きずられてお部屋から出て行きましたわ。
お父様、お兄様に対して少しキツくなりましたわ。

「アミーいや、もうアイラって呼ばないといけないね。お腹空いてないかい?何か温かい物でも食べるかい?」

キルジーさんが私の頬に軽く触れましたわ。

「こんなにも、可愛らしいお嬢さんだったなんてね。でも瞳は前までと同じで澄んで綺麗だ。良かった。術が解けてさ」

私はハッとしましたわ。

「キルジーさん?娘さんは?娘さんは今、どうなっていますの?」

キルジーさんは微笑んで

「大丈夫。今は医者の所で色々と検査しているよ。お前さんが元に戻してくれたんだってね。感謝してもしきれないよ......。本当にありがとう。そしてお前さんも無事に帰ってきてくれてありがとう......」

と、泣きながら言いましたわ。

「はい......」

私もつられて泣いてしまいましたの。
そんな私の頭をシャーロットとダリル様がポンポンしてくれていますわ。

私とキルジーさんが落ち着くのを待ってくれてダリル様がこの事件の全容を教えてくれましたの。

十数年前ぐらいにあの男が島を訪ねてきて長老と面会し多額のお金をあげるかわりにこの島で秘密の実験をしたいと言ってきたらしいですわ。

長老は最初断ったものの多額のお金は魅力的だったようで男の何回目かの訪問で了承してしまったのですわ。
そして聖力持ちの子供達の情報も提供していたようですの。長老は人の力が視えるようですわ。

キメラ実験は1つの個体の成長を何年もかけて記録するようで子供が標的になってしまったのだとか。

岩山実験室はあの男が魔力で建てたそうですの。しかも一晩でですわ。
実験室で働いていた人や子供を誘拐していた人はあの男が何処からか連れて来ていたみたいですわ。私が誘拐された時のように違う場所で仲間を募って連れて来たのでしょう。そして必要なくなったならば簡単に殺してしまう。酷い男ですわ。

私や島の人達が目撃したキメラは何かの拍子に実験室から脱出して海を漂っていたと思われますわ。でも脱出したキメラはきっとあの男によって死んでしまう術をかけられていたのだと思いますの。

長老は聖騎士達に捕まって王都で裁判にかけられるとの事ですわ。

無事に数名の子供達が親元へ帰れたようで良かったですわね。
実験されてしまった子供達はさぞ無念だったでしょう。
あの男は許せないですわ。絶対に。

聖騎士団はあと数日こちらに留まりキメラ実験について調査するとの事。私もお父様と一緒に王都に帰る事になりましたわ。

ルカさんも王都に行きます。ルカさんのおじいさんのカミュさんは孫がそんな凄い人物だったのかと腰を抜かしてしまったようですの。王都に行くのは私と一緒だったらいいと言ってくれましたわ。
大丈夫です。ルカさんがこの2年間私を守ってくれていた様に今度は私が守りますわ。

次の日。マルタさんがお家に帰って来ましたわ。11歳で行方不明になって今は16歳ですの。綺麗な方ですわ。

キルジーさんとはもう既に病院で再会をしていますので2人は落ち着いた雰囲気でお話をしていますわ。
マルタさんがくるりと私の方を見て走って来ましたわ。

「アイラさんは命の恩人です!本当にありがとうございます!」

私の手を握って離しませんわ。

「いいえ、そんな......」

私が戸惑っているとダリル様がその手を剥がしニッコリと微笑んでマルタさんに言いましたわ。

「すいません。マルタ嬢、アイラ嬢の手は私しか握っては駄目なものでして。ご遠慮下さい」

は?何をおっしゃっているのですの⁉︎

「それは違うぞ?アイラの手は私の物だからな?」

いつの間にかお兄様が。お仕事はいいのですの?

ドン引き中のマルタさん。ごめんなさいですわ。
あら?いつもこの2人に引き続きシャーロットも出て来るのですが?
何処を探しても見つかりませんの。

するとシャーロットが使っていた部屋に置き手紙がありましたわ。

『私が居ると面倒な事になりそうだから一足先にお暇するわね。次はアイラがもう少し大人になったらプロポーズしに会いに来るから覚悟しといてね』

プロポーズですの?
受ける気はありませんのでシャーロットは失恋決定ですわよ?

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