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第二章
アイラさんって大変ですわ
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「あのう......ダリルさん、シャーロットさんはお母さんとは何も関係ないみたいですよ?」
私が恐る恐る口を開く。
するとダリルさんがフニャと笑顔になって私を見た。元々優しい雰囲気の人だけど笑うともっと優しそうだ。
「声......。アイラ嬢の可愛い声をまた聞けて嬉しいよ」
ダリルさんはうっとり顔で言う。
シャーロットさんといいダリルさんといい2人とも恐ろしいぐらいにアイラさんを好きなんだね。こんなに好かれるアイラさんって一体どんな子だ?
「私は2年間ずっとアイラ嬢を探していました。黒魔術の宗教団体の教祖、このシャーロットの母親ですが、その人を探してアイラ嬢の居場所を聞き出そうとしましたが突然に死体が出てきました。大方貴方が殺したのでしょう?死体からは白魔術の痕跡がありましたので。貴方が白魔術を使う事はエリアス様から聞いていましたからね」
「そう。私が殺したわ。だってアイラの居場所も言わないし私を殺そうとしたから。仕方ないじゃない?」
「しかし、あの殺し方は残酷すぎると思いますが?」
「え?あれはアイラの居場所を言わないから直接脳に聞く為に......」
「わー!わー!それは今の時間に相応しい会話じゃないよな?ケーキ食べてるしお茶飲んでるし」
ルカさんが阻止する。
ダリルさんがため息をした後続けた。
「そんなわけで私は色々な可能性からこの島にやっと辿り着いたのです。出発前にアイラ嬢のご両親とも話しました。見つける事が出来たら直ぐに伝えると。そしたらご両親は迎えに来たいと言ってました」
ダリルさんもシャーロットさんも嘘をついてる様には思えない。
って事は私がアイラさんなのは確定か。
しかし記憶もないし見目もかなり変わってしまっている。この状況で両親と会っても......。
「ちょっと待って!アイラのご両親が迎えに来たら王都に帰るって事よね?それは駄目!アイラはこの後は私と誰も知らない小さな町で暮らすのだから」
「は?貴方は何を言っているのですか?アイラ嬢は王都に戻って私と婚約するのですよ?」
「ぎゃあぁ!止めて!アイラが私以外と婚約、結婚なんて!穢らわしい!」
「貴方の方が穢らわしい!」
2人の戦いがヒートアップしてきた。
それを呆れたように私達3人は見ていた。
ダリルさんと婚約とか結婚とか。
私の家は王族の次の地位らしいのでダリルさんもそこそこの家柄なんだろうな。
確かに着ている服もこの島じゃ見た事ない高そうな物だし。
「どちらにしてもまずはアイラの記憶と力を取り戻さないと駄目ね。それから改めてアイラに選んでもらうわ」
シャーロットさんが一旦ダリルさんとの喧嘩を止めた。
「あんた達に出来そうなのかい?」
「絶対にやります!」
「大丈夫です!出来ます!」
キルジーさんの問いかけに2人は即答した。
「そうかい。じゃあ、ダリルとやらも2階においで」
「キルジーさん!これ以上変な奴をアミーの側に居させないでくれよ!」
ルカさんが叫んだ。
「確かに変な奴が増えていくけどね、今はこの子達に頼ってみるのも手だと思うよ?だってこの2年間何もアミーに関する手掛かりなんて無かったんだ。それがいっぺんにきた。この状況にかけてみてもいいんじゃないかい?」
「うっ、そ、そうだけど......」
「アミーはどうだい?お前さんの事だ。本人の意思が優先だよ?」
「わ、私も記憶取り戻したい。このまま生きて行くのは不安だから......。お願い出来ますか?」
私はシャーロットさんとダリルさんに頭を下げた。
「嫌だ!頭なんか下げないで」
「アイラ嬢?私と貴方の仲ですよ?その様な事はしなくても良いのです」
2人は優しいな。
「お礼は何も出来ないですけど......私、あまりお金も無いしあげられる物も持ってないし」
すると2人が物凄い勢いで言った。
しかも同時に。
「そんなの!アイラに毎日キスしてもらえればそれでいいですわ!」
「アイラ嬢?そんな事は気にしないで。それでもと、言うのなら結婚した後に毎日......ふふふ」
シャーロットさんにキス?頬にキスなんて家族間でやってる事だし全然いいよね?そんなんでいいの?
ダリルさんのは結婚しないとお礼が出来ないのか~。内容をもっとはっきり言ってもらわないと私には分からないな。
「お前ら2人揃って変態かよ!シャーロット!お前が毎日キスして欲しいのは唇だろう?そしてダリル!結婚した後にふふふって何だよ!このムッツリが!」
今にも殴りかかりそうなルカさんをキルジーさんやダンさんが止めている。
えー?シャーロットさんのはそーゆー意味だったの?ダリルさんのふふふの意味は分からないけどムッツリって何?そしてこの2人みたいな人を変態と言うのか。ならば私のお兄さんもこんな感じの人なのだろうか?
こんなに変態ばかり周りにいたアイラさんって大変だっただろうな。あ、私の事か。でも変態でもこの2人はいい人だ。
「少し色々考えたいのでお散歩に行ってきていいですか?」
私はキルジーさんに訊いた。
「勿論だよ。いっぺんに色々聞いちまったからね。ほれ、ルカも一緒に行きな」
キルジーさんとダンさんに見送られて2人でレストランを出る。
シャーロットさんもダリルさんも付いて来ようとしたみたいだがキルジーさんに止められていた。
私とルカさんは砂浜を歩く。
私はこの島の海が好きだ。
「2人に同じ事言われたら信じてもいいかな?って思うのですけどルカさんはどう思いますか?」
私はルカさんに言った。
「うん......。そうだね。あんな細かい嘘をわざわざこんな島まで来て言うのもおかしいよな。しかも内容だって凄いだろう?俺も信じるよ。でもアイツらは好きじゃない」
ルカさんは少し拗ねているように見える。ふふ。可愛い。
ふっと海の方を見た。
ん?人みたいな影がゆらゆらしてる。
え?人?
「ルカさん!あそこ見て!人が溺れてませんか⁉︎」
私が恐る恐る口を開く。
するとダリルさんがフニャと笑顔になって私を見た。元々優しい雰囲気の人だけど笑うともっと優しそうだ。
「声......。アイラ嬢の可愛い声をまた聞けて嬉しいよ」
ダリルさんはうっとり顔で言う。
シャーロットさんといいダリルさんといい2人とも恐ろしいぐらいにアイラさんを好きなんだね。こんなに好かれるアイラさんって一体どんな子だ?
「私は2年間ずっとアイラ嬢を探していました。黒魔術の宗教団体の教祖、このシャーロットの母親ですが、その人を探してアイラ嬢の居場所を聞き出そうとしましたが突然に死体が出てきました。大方貴方が殺したのでしょう?死体からは白魔術の痕跡がありましたので。貴方が白魔術を使う事はエリアス様から聞いていましたからね」
「そう。私が殺したわ。だってアイラの居場所も言わないし私を殺そうとしたから。仕方ないじゃない?」
「しかし、あの殺し方は残酷すぎると思いますが?」
「え?あれはアイラの居場所を言わないから直接脳に聞く為に......」
「わー!わー!それは今の時間に相応しい会話じゃないよな?ケーキ食べてるしお茶飲んでるし」
ルカさんが阻止する。
ダリルさんがため息をした後続けた。
「そんなわけで私は色々な可能性からこの島にやっと辿り着いたのです。出発前にアイラ嬢のご両親とも話しました。見つける事が出来たら直ぐに伝えると。そしたらご両親は迎えに来たいと言ってました」
ダリルさんもシャーロットさんも嘘をついてる様には思えない。
って事は私がアイラさんなのは確定か。
しかし記憶もないし見目もかなり変わってしまっている。この状況で両親と会っても......。
「ちょっと待って!アイラのご両親が迎えに来たら王都に帰るって事よね?それは駄目!アイラはこの後は私と誰も知らない小さな町で暮らすのだから」
「は?貴方は何を言っているのですか?アイラ嬢は王都に戻って私と婚約するのですよ?」
「ぎゃあぁ!止めて!アイラが私以外と婚約、結婚なんて!穢らわしい!」
「貴方の方が穢らわしい!」
2人の戦いがヒートアップしてきた。
それを呆れたように私達3人は見ていた。
ダリルさんと婚約とか結婚とか。
私の家は王族の次の地位らしいのでダリルさんもそこそこの家柄なんだろうな。
確かに着ている服もこの島じゃ見た事ない高そうな物だし。
「どちらにしてもまずはアイラの記憶と力を取り戻さないと駄目ね。それから改めてアイラに選んでもらうわ」
シャーロットさんが一旦ダリルさんとの喧嘩を止めた。
「あんた達に出来そうなのかい?」
「絶対にやります!」
「大丈夫です!出来ます!」
キルジーさんの問いかけに2人は即答した。
「そうかい。じゃあ、ダリルとやらも2階においで」
「キルジーさん!これ以上変な奴をアミーの側に居させないでくれよ!」
ルカさんが叫んだ。
「確かに変な奴が増えていくけどね、今はこの子達に頼ってみるのも手だと思うよ?だってこの2年間何もアミーに関する手掛かりなんて無かったんだ。それがいっぺんにきた。この状況にかけてみてもいいんじゃないかい?」
「うっ、そ、そうだけど......」
「アミーはどうだい?お前さんの事だ。本人の意思が優先だよ?」
「わ、私も記憶取り戻したい。このまま生きて行くのは不安だから......。お願い出来ますか?」
私はシャーロットさんとダリルさんに頭を下げた。
「嫌だ!頭なんか下げないで」
「アイラ嬢?私と貴方の仲ですよ?その様な事はしなくても良いのです」
2人は優しいな。
「お礼は何も出来ないですけど......私、あまりお金も無いしあげられる物も持ってないし」
すると2人が物凄い勢いで言った。
しかも同時に。
「そんなの!アイラに毎日キスしてもらえればそれでいいですわ!」
「アイラ嬢?そんな事は気にしないで。それでもと、言うのなら結婚した後に毎日......ふふふ」
シャーロットさんにキス?頬にキスなんて家族間でやってる事だし全然いいよね?そんなんでいいの?
ダリルさんのは結婚しないとお礼が出来ないのか~。内容をもっとはっきり言ってもらわないと私には分からないな。
「お前ら2人揃って変態かよ!シャーロット!お前が毎日キスして欲しいのは唇だろう?そしてダリル!結婚した後にふふふって何だよ!このムッツリが!」
今にも殴りかかりそうなルカさんをキルジーさんやダンさんが止めている。
えー?シャーロットさんのはそーゆー意味だったの?ダリルさんのふふふの意味は分からないけどムッツリって何?そしてこの2人みたいな人を変態と言うのか。ならば私のお兄さんもこんな感じの人なのだろうか?
こんなに変態ばかり周りにいたアイラさんって大変だっただろうな。あ、私の事か。でも変態でもこの2人はいい人だ。
「少し色々考えたいのでお散歩に行ってきていいですか?」
私はキルジーさんに訊いた。
「勿論だよ。いっぺんに色々聞いちまったからね。ほれ、ルカも一緒に行きな」
キルジーさんとダンさんに見送られて2人でレストランを出る。
シャーロットさんもダリルさんも付いて来ようとしたみたいだがキルジーさんに止められていた。
私とルカさんは砂浜を歩く。
私はこの島の海が好きだ。
「2人に同じ事言われたら信じてもいいかな?って思うのですけどルカさんはどう思いますか?」
私はルカさんに言った。
「うん......。そうだね。あんな細かい嘘をわざわざこんな島まで来て言うのもおかしいよな。しかも内容だって凄いだろう?俺も信じるよ。でもアイツらは好きじゃない」
ルカさんは少し拗ねているように見える。ふふ。可愛い。
ふっと海の方を見た。
ん?人みたいな影がゆらゆらしてる。
え?人?
「ルカさん!あそこ見て!人が溺れてませんか⁉︎」
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