上 下
52 / 90
第二章

信じられないですわ

しおりを挟む
全て聞き終わって私達は静かなままだ。
聞いても何だかひと事みたいで自分がそのんな人生を歩んでいたとは思えない。

「えっと、その話からアミーは今は12歳ってことかい?」

「そうです」

一気に3人の視線が私に集中した。
ええ。言いたい事は分かっている。
12歳になんて見えないんでしよう?

「そして見目も変えられてしまって力も封印されているってんだね?」

「はい。体が10歳からあまり成長していないのは力を封印されているからかもしれません。年齢と共に力も大きくなるはずがそれを抑えられているので」

「なるほど」

キルジーさんは小さく頷いた。

「で、私は馬鹿親を探し出してアイラの居場所を訊きましたがちろん教えてはくれなかったので殺しました」

「「「「はい?」」」」

4人でハモった。
だってそんな簡単に親を殺せる?
聞き間違いか?

「あ、もう随分前に馬鹿親とは縁を切ってるんで問題はないです。それに黒魔術を使う親なんて親とは思えない。私は白魔術で戦いそして勝ちました」

「そ、そうですか」

私はとりあえずそれしか言えなかった。

「で、生前の馬鹿親からは聞き出せなかったので直接脳に訊こうと思い馬鹿親の頭をカチ割り......」

「わーーー!わーーー!その続きは嫌な予感しかしないから話さなくていい。遅くなったけど夕食にしないか?今までの話も整理したいし」

ルカさんがシャーロットさんの話を遮って提案してきました。
賛成です。大賛成!

ダンさんが作ってくれたハーブとエビのパスタを食べながら私は頭の中を整理した。

私の両親は聖騎士様のお父さんと元聖女様のお母さんで聖騎士様を目指しているお兄さんがいる。ちなみにそのお兄さんは変態である。シャーロットさんが何回も言っていたのでそこ重要なんだな。そして家柄的には王族の次に偉いらしい。

私の聖女認定の2年前にシャーロットさんのお母さん率いる黒魔術の宗教団体に襲われた。
理由は私の両親絡みだそうだ。
そして黒魔術によって顔を変えられ力も封印されてこの島に飛ばされた。
私の力は聖力だと。結局、認定には行っていないのでシャーロットさんの見立てだけれど。

元々のはとてつもない美少女だそうだ。
これが1番信じられないのだ。
こんな化け物が美少女?黒魔術とはそこまで顔を変えられるものなのか?

「ねぇ、アイラ。そのずっと被ってるスカーフを取って顔を見せてもらえないかしら?2年ぶりなんだもの。顔が見たいわ」

シャーロットさんが私のスカーフに触ろうとした。

「ちょっと待って。シャーロットさんの話が本当なら元々の私は美少女なんですよね?だったら今の顔は見ない方がいいかと思います......」

「そんな外見なんて関係ない。アイラがどんなになっていても愛している気持ちは変わらないから。でもその術を解く為には見てみないと細かいところまで分からないの」

へ⁉︎愛してるってハッキリ言っちゃってますがそれはどういった感じの?幼馴染的な?そうですよね?そうであってほしい。ちょっと戸惑ったけどそれは置いといて。

「この術は解けるのですか?」

「かけた本人が死んでしまっているから解除方法が分からないの。でも絶対に解除してみせるわ。だから、ね?」

「分かりました。術を解いてもらえるのなら私も協力します」

私はスカーフを取ってシャーロットさんに向き直る。

「......我が馬鹿親ながら中々のものね。人間の原型ギリギリってとこかしら」

「おい!何だ?その言い方!俺達はアミーをそんな風に思った事なんて無いぞ?反対にこんな綺麗な心を持っている人間を見た事ない!」

ルカさんが激怒してる。
いや、シャーロットさんの意見が普通だよ。きっと。

「はい。はい。ルカっていったかしら?今はあなたの気持ちや意見を聞いてる時ではないのよ。少し黙って」

「な、なんだと⁉︎」

今にもシャーロットさんに掴みかかりそうなルカさんをダンさんが止めた。

「なぁ?ルカ、今頼れるのはシャーロットさんしかいないんだ。もう少し協力的になれないか?」

「この女が嘘をついていたら?アミーが傷つくだろう?そんなの俺は嫌だ!」

「アミーの為にもシャーロットさんを信じてみないか?話は全て辻褄が合ってるよ?な?でも怪しい素振りを見せたその時は容赦しない、でいいかな?シャーロットさん」

ダンさんがシャーロットさんを見た。

「ええ。いいわよ。じゃあ、夕食を食べたら一緒に宿に......」

「いや、お前さんもここの2階においで。アミーはあたしと寝るから今までアミーが使っていた部屋を使うといいよ。そしてアミーの術を解いてやってくれないかい?」

「それはいいですけど私、アイラと同じ部屋で......」

「「「それは駄目だ。アミーの身に危険を感じる」」」

3人一緒にハモった。
私の危険って。

「え⁉︎嫌だわ。何を想像していますの?」

「お前が想像してる事だよ!この変態女!」

ルカさんが怒鳴る。
変態女......。

『変態その2め!』

ん?今、何か頭を男の人の声がした様な気がしたけど......?
今日は色々あって疲れているんだよね。
いっぺんに情報が頭に入ってきて。
でも、やっぱり私はシャーロットさんが教えてくれた話を信じる事が出来ずにいる。

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

《勘違い》で婚約破棄された令嬢は失意のうちに自殺しました。

友坂 悠
ファンタジー
「婚約を考え直そう」 貴族院の卒業パーティーの会場で、婚約者フリードよりそう告げられたエルザ。 「それは、婚約を破棄されるとそういうことなのでしょうか?」 耳を疑いそう聞き返すも、 「君も、その方が良いのだろう?」 苦虫を噛み潰すように、そう吐き出すフリードに。 全てに絶望し、失意のうちに自死を選ぶエルザ。 絶景と評判の観光地でありながら、自殺の名所としても知られる断崖絶壁から飛び降りた彼女。 だったのですが。

【完結】婚姻無効になったので新しい人生始めます~前世の記憶を思い出して家を出たら、愛も仕事も手に入れて幸せになりました~

Na20
恋愛
セレーナは嫁いで三年が経ってもいまだに旦那様と使用人達に受け入れられないでいた。 そんな時頭をぶつけたことで前世の記憶を思い出し、家を出ていくことを決意する。 「…そうだ、この結婚はなかったことにしよう」 ※ご都合主義、ふんわり設定です ※小説家になろう様にも掲載しています

転生した元悪役令嬢は地味な人生を望んでいる

花見 有
恋愛
前世、悪役令嬢だったカーラはその罪を償う為、処刑され人生を終えた。転生して中流貴族家の令嬢として生まれ変わったカーラは、今度は地味で穏やかな人生を過ごそうと思っているのに、そんなカーラの元に自国の王子、アーロンのお妃候補の話が来てしまった。

ボロ雑巾な伯爵夫人、やっと『家族』を手に入れました。~旦那様から棄てられて、ギブ&テイクでハートフルな共同生活を始めます2~

野菜ばたけ@既刊5冊📚好評発売中!
ファンタジー
 第二夫人に最愛の旦那様も息子も奪われ、挙句の果てに家から追い出された伯爵夫人・フィーリアは、なけなしの餞別だけを持って大雨の中を歩き続けていたところ、とある男の子たちに出会う。  言葉汚く直情的で、だけど決してフィーリアを無視したりはしない、ディーダ。  喋り方こそ柔らかいが、その実どこか冷めた毒舌家である、ノイン。    12、3歳ほどに見える彼らとひょんな事から共同生活を始めた彼女は、人々の優しさに触れて少しずつ自身の居場所を確立していく。 ==== ●本作は「ボロ雑巾な伯爵夫人、旦那様から棄てられて、ギブ&テイクでハートフルな共同生活を始めます。」からの続き作品です。  前作では、二人との出会い~同居を描いています。  順番に読んでくださる方は、目次下にリンクを張っておりますので、そちらからお入りください。  ※アプリで閲覧くださっている方は、タイトルで検索いただけますと表示されます。

【完結】聖女にはなりません。平凡に生きます!

暮田呉子
ファンタジー
この世界で、ただ平凡に、自由に、人生を謳歌したい! 政略結婚から三年──。夫に見向きもされず、屋敷の中で虐げられてきたマリアーナは夫の子を身籠ったという女性に水を掛けられて前世を思い出す。そうだ、前世は慎ましくも充実した人生を送った。それなら現世も平凡で幸せな人生を送ろう、と強く決意するのだった。

義母に毒を盛られて前世の記憶を取り戻し覚醒しました、貴男は義妹と仲良くすればいいわ。

克全
ファンタジー
「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。 11月9日「カクヨム」恋愛日間ランキング15位 11月11日「カクヨム」恋愛週間ランキング22位 11月11日「カクヨム」恋愛月間ランキング71位 11月4日「小説家になろう」恋愛異世界転生/転移恋愛日間78位

処刑された人質王女は、自分を殺した国に転生して家族に溺愛される

葵 すみれ
恋愛
人質として嫁がされ、故国が裏切ったことによって処刑された王女ニーナ。 彼女は転生して、今は国王となった、かつての婚約者コーネリアスの娘ロゼッタとなる。 ところが、ロゼッタは側妃の娘で、母は父に相手にされていない。 父の気を引くこともできない役立たずと、ロゼッタは実の母に虐待されている。 あるとき、母から解放されるものの、前世で冷たかったコーネリアスが父なのだ。 この先もずっと自分は愛されないのだと絶望するロゼッタだったが、何故か父も腹違いの兄も溺愛してくる。 さらには正妃からも可愛がられ、やがて前世の真実を知ることになる。 そしてロゼッタは、自分が家族の架け橋となることを決意して──。 愛を求めた少女が愛を得て、やがて愛することを知る物語。 ※小説家になろうにも掲載しています

わがまま姉のせいで8歳で大聖女になってしまいました

ぺきぺき
ファンタジー
ルロワ公爵家の三女として生まれたクリスローズは聖女の素質を持ち、6歳で教会で聖女の修行を始めた。幼いながらも修行に励み、周りに応援されながら頑張っていたある日突然、大聖女をしていた10歳上の姉が『妊娠したから大聖女をやめて結婚するわ』と宣言した。 大聖女資格があったのは、その時まだ8歳だったクリスローズだけで…。 ー--- 全5章、最終話まで執筆済み。 第1章 6歳の聖女 第2章 8歳の大聖女 第3章 12歳の公爵令嬢 第4章 15歳の辺境聖女 第5章 17歳の愛し子 権力のあるわがまま女に振り回されながらも健気にがんばる女の子の話を書いた…はず。 おまけの後日談投稿します(6/26)。 番外編投稿します(12/30-1/1)。 作者の別作品『人たらしヒロインは無自覚で魔法学園を改革しています』の隣の国の昔のお話です。

処理中です...