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第二章

孤児院ですわ

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「はぁ~」

朝からため息が出る。
顔を洗って鏡を見たからだ。
毎朝一回鏡を見るのだがそこには化け物が映る。分かってはいるけれどため息が出てしまう。

私は自分の顔をパンパンと2回ほど軽く叩いて気合を入れる。
そして笑顔を作ってみる......が、こ、怖い。怖すぎて直視出来ないのでそそくさと朝食を食べにダイニングへと移動する。

「アミーおはようさん。今朝はお前さんが好きなハニートーストだよ。いっぱい食べな」

キルジーさんが私の前にどさっとハニートーストが積まれているお皿を置いた。

「朝からこんなに食べれませんよぉ」

「何言ってんだい!アミーはしっかり食べてもっと肉付き良くしないと駄目だよ?まだ8歳?9歳?ぐらいだろうけどそれにしても細いし小さいからね」

そうなのだ。私は記憶が無いので自分の年齢が分からない。でも自分では10歳は超えているのでは?と、思っているのだけど周りはキルジーさんと同じ意見だ。

「うぅ......。はい」

そう言われると何も言えない。
実際風が吹けば飛ばされそうなぐらい細いし小さいのだ。

モグモグとハニートーストを食べていると下からルカさんの元気な声が聞こえてきた。

「キルジーさーん!アミー!居る~?」

「今、朝食中だよ!上に上がってきな!」

キルジーさんの了解を受けルカさんがダイニングに入って来た。

「いい匂いがすると思ったらハニートーストか!」

ルカさんが私のお皿を見てニコニコだ。

「私こんな量食べれないからルカさんも一緒にどうですか?」

「いいの?」

嬉しそうに私に聞き返してくる。
私はうんと頷いた。
キルジーさんもルカさん用のコーヒーを淹れ始めた。
隣に座りルカさんも食べ始める。

「うーん。美味い!キルジーさんのハニートーストは世界一だな!」

「はっ!こんなのは誰でも作れるよ。で、朝からどうしたんだい?」

コーヒーをルカさんに渡しながら訊く。

「今日はレストラン休みだろう?アミーと一緒に孤児院に行こうと思って誘いに来た」

ルカさんはモグモグしながら言う。

「孤児院?」

私は聞き返す。

「うん。アミーも、もうこの島に来て1年半ぐらいになるだろう?それなのに殆ど外に出ないで知り合いといえば俺とキルジーさんとダンさんだけだ。これからこの島に一生住むわけだしもう少し友達とかいた方が楽しいかなって」

「何で孤児院なんだい?」

「アミーと似たような年齢の子達も沢山いるしさ、俺が1ヶ月に1回じいちゃんからの差し入れを届ける時に一緒に行けば違和感なく仲良くなれるかなって」

キルジーさんは少し考えて私に訊いた。

「アミーはどうだい?行きたいかい?」

「えっと......気持ちは嬉しいけどこんな私と友達になりたい人なんていないと思うし子供達を怖がらせたくないから......」

「アミーはさ、どんだけ自分評価が低いんだよ?化け物、化け物って言うけど俺は最初にアミーを見た時そんな風には思わなかったぜ?皆んなが皆んなそう思うと思ったら駄目だ」

「あ~確かに。あたしもさ。ルカと一緒でアミーが化け物だなんて思わなかったよ?1回行ってみたらいいさ。友達がいると今より楽しくなるかもしれないからね!」

半ば無理矢理行く事になりその差し入れの日が今日だと言う。
私は少し不安だが怖がられたら直ぐに孤児院から出ればいいと思い行く事にした。顔はしっかりとスカーフを頭から巻いて周りから見えない様にする。
ルカさんはそんなの必要ないよと言ってくれるがそうもいかない。

「こんなに?」

ルカさんのとこの馬が荷車を引いてカタカタ音がする。
孤児院までは近いので私もルカさんも歩きだ。
ルカさんは馬の手綱を持ってゆっくり歩く。その荷車には沢山の焼き菓子や縫いぐるみ、魚や肉、野菜なのど食材や毛布などが積まれている。

「爺さんが代表して孤児院に寄付する品物を隣近所から集めてるんだ。皆んな少しづつ寄付してくれる」

凄いな。皆んな優しい。

「孤児院には島の外から捨てられた子もいるけど両親が死んでとかそういった島の子達も居るんだ」

「そうですか。私もキルジーさんと出会わなかったらその孤児院に入っていたかもしれないですね」

「ん。そうかもしれないな」

ガラガラと荷車の車輪の音がやけに大きく聞こえた。

程なくして孤児院に到着。
想像していた建物より立派だった。
門を開けてもらい中庭のような所に入って行くとわー!と子供達の声が一斉に聞こえた。

声がする方を見ると沢山の子供達がこちらに向かって走って来る。
うわっ。少し怖い。

「ルカ!今日のお菓子は何?」

「ルカお兄ちゃん!オモチャある?」

「服はある?」

皆んな一斉にルカさんに話しかけるから全然聞き取れない。
1番後ろから大人の女性が歩いて来た。

「こんにちは。ルカさん。いつもありがとうございます」

深々とルカさんにお辞儀をしてお礼を言う。歳は40歳ぐらいだろうか?
その女性は私に気が付きルカさんの方を見た。

「今回から手伝ってくれる事になったアミーさんです」

私を爽やかに紹介する。

「は、は、初めまして。アミーです。よろしくお願いします」

その女性と子供達に頭を下げて挨拶をする。するとスカーフが緩んでいたのかスルリと落ちてしまった。
しまった!と思った時にはもう遅かった。




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