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第一章
私の危機ですわ
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「お前は何者ですの?」
私は怠い体を引きずりながら訊いた。
「あ~?俺?俺かぁ?何者でもないなぁ。
だから気にするな。あ!今凄くいい事思いついたわ~。大人になったお前にバルトカピ様になってもらうな。18歳ぐらいがいいかぁ?お前の力なら最強のバルトカピ様になれるぞ?良かったなぁ」
全然良くありませんわ。
その、なんだかカピ?の事は諦めていなかったのですね?
「ご自分でなれば良いのでは?」
「なぁ?俺も最初はそう思ったんだけどよー。俺が器じゃ召喚した途端に体が砕け散ると思うわ。悪魔かお前ぐらい聖力がないと体が耐えられないんだわ。お前の聖力、今はそんなんだけど18歳ぐらいになったらすげ~事になってるぞ?」
「何故分かるのですか?」
まだ体が怠いのです。
ですので地面に転がったまま会話を続けていますわ。
「んー。俺にはちょいと見えるんでね」
「人の力がですか?」
「んー。色々と」
真面目に答える気ゼロですね。
私達が気怠くそんな会話をしていた頃、お母様とオレット様は激しく戦っていましたわ。
聖力と黒魔術の戦いです。
剣と剣がカシーン!カシーン!と重なり合って大きな音を立てて火花がちります。
戦っているお母様を初めて見ましたわ。
なんてお綺麗なのでしょう。
女神様がいるのならこんな感じなのでしょうか?娘ながらにうっとりしてしまいましたわ。
「さぁ~て。もうお遊びは終わりにしないとね?」
オレット様が蔓の様なモノを左手からウニョウニョと出しお母様を縛ろうとします。お母様はそのウニョウニョを剣や聖力の光でブチブチと切っていきます。
一本のウニョウニョがお母様の右手に巻きつきました!するともの凄い勢いで体中に巻きつき始めました。
「殺さないわよ?貴方は最愛の娘が目の前で居なくなるのを見てもらわないといけないから」
そう笑ってお母様を地面に転倒させて背中を剣で刺しました。
「うぐっ!」
ぎゃあぁぁぁ!
お母様が吐血しましたわ!
「お母様!」
「アイラちゃん。お母様は大丈夫よ?きちんと死なない箇所を刺しといたから。これからやる事を邪魔されないように少し大人しくしてもらっただけだ」
オレット様が微笑みながら私の側にきました。
「オレット!アイラに触らないで!!」
お母様が叫びます。
「ふふふ。リリー?あまり大声を出すと吐血するわよ~。さて、アイラちゃん、久しぶりに会ったらもの凄く綺麗で可愛くなってるわね。これは自慢の娘さんだわ」
転がっている私の前髪を鷲掴みにして顔を無理矢理上げましたわ。
痛いです!
キッと私はオレット様を睨みます。
「うーん。怒ったお顔も可愛いわねぇ。もう誰も助けに来れないから自分で頑張る?ほらあの悪魔との契約を切った時に完全に悪魔からアイラちゃんを見えなくする術も練り込んでおいたの。凄いでしょう?黒魔術ってなんでも出来るのよ?なんてたって禁断の術ですもの」
私は聖力を出そうと頑張りますが何故だか全然出せませんの。
「そう、そう。アイラちゃんの聖力もあの男に封印してもらったわ。ほら二の腕に封印マーク。後で見てみてね。覚えていたらの話だけれど」
いつの間に。
やられていましたか。
「さて......と。先程の話だけど、ほらアイラちゃんにバルトカピ様になってもらうってあれ。アイラちゃんが18歳まで生きていたらバルトカピ様を召喚してもらうといいわ。そしてこの国を、この世界を壊しなさい。ね?」
そう言ったオレット様はキラキラしていて今までで1番綺麗でしたわ。
不覚にも敵ですのに綺麗って思ってしまいました。
突然オレット様が前髪を握っていない方の手で私の顔面を鷲掴みしてきました。
前髪鷲掴みも痛いですが、こちらも痛いです!爪が頬に食い込んでます!
「痛いです!痛い!」
叫ぶ私を無視して長い呪文を唱え始めましたわ。
痛だだだだだぁぁぁ!!爪!爪ぇぇ!
あれれ?何となく頭がボ~としてきましたわ。何故でしょうか?
遠くでお母様が私の名前を叫んでいる様な気がします。
「アイラちゃん。これで誰が貴方を見ても化け物にしか見えないわ。そんな素敵な術をかけておいたわよ?でも残念がらなくて大丈夫。実際は可愛いお顔のままなの。でも皆んなには醜い化け物の様なお顔に見えるだけ。そんな姿で1人で生きていけるかしら?私ね貴方のその綺麗なお顔が大っ嫌いなのよねぇ。あの2人から貰った完璧な見目がね。知らなかったでしょう?だから私の目につかない様にここから遠く遠く寂しい場所に飛ばしてあげるわね」
そ、そ、その術は前の人生でかけられたやつ!!回避したと思ってましたわ!
油断しました!
「そしてこちらの人達には探せ出せないように術を念入りにかけとくわね。静かに暮らしたいでしょう?あぁ、アイラちゃんの記憶も消しておくから新しい人生を始めるといいわ」
オレット様の手に更に力が入ったと思ったらパチン!と私の頭の中で音がしました。その途端目の前が真っ暗になり私は深い眠りに沈んでいきました。
最後に大好きなお母様の私を呼ぶ声が聞こえた様な気がしますわ......。
*****************
いつも読んで下さりありがとうございます!
お気に入り登録して下さってる方、いいね!を押して下さっている方、しおりでマークを付け追って読んで下さっている方、毎回読みに来て下さっている方、などなどの皆様!本当に感謝しています。嬉しいです。
ありがとうございます!
この回で第一章が終わりました。
次からは第二章が始まります。
地味に静かに暮らしたいアイラちゃんですが中々その夢は叶えられないですね。
第二章でも頑張ってもらいたいです。
そして最後に。只今参加中の「ファンタジー小説大賞」の投票を私にして頂いた方々、本当にありがとうございます!まさか票が入るとは思っておりませんでしたので驚きと嬉しさでいっぱいです!
では、では皆様、またお暇な時にふらりと遊びに来て読んでもらえると嬉しいです。
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私は怠い体を引きずりながら訊いた。
「あ~?俺?俺かぁ?何者でもないなぁ。
だから気にするな。あ!今凄くいい事思いついたわ~。大人になったお前にバルトカピ様になってもらうな。18歳ぐらいがいいかぁ?お前の力なら最強のバルトカピ様になれるぞ?良かったなぁ」
全然良くありませんわ。
その、なんだかカピ?の事は諦めていなかったのですね?
「ご自分でなれば良いのでは?」
「なぁ?俺も最初はそう思ったんだけどよー。俺が器じゃ召喚した途端に体が砕け散ると思うわ。悪魔かお前ぐらい聖力がないと体が耐えられないんだわ。お前の聖力、今はそんなんだけど18歳ぐらいになったらすげ~事になってるぞ?」
「何故分かるのですか?」
まだ体が怠いのです。
ですので地面に転がったまま会話を続けていますわ。
「んー。俺にはちょいと見えるんでね」
「人の力がですか?」
「んー。色々と」
真面目に答える気ゼロですね。
私達が気怠くそんな会話をしていた頃、お母様とオレット様は激しく戦っていましたわ。
聖力と黒魔術の戦いです。
剣と剣がカシーン!カシーン!と重なり合って大きな音を立てて火花がちります。
戦っているお母様を初めて見ましたわ。
なんてお綺麗なのでしょう。
女神様がいるのならこんな感じなのでしょうか?娘ながらにうっとりしてしまいましたわ。
「さぁ~て。もうお遊びは終わりにしないとね?」
オレット様が蔓の様なモノを左手からウニョウニョと出しお母様を縛ろうとします。お母様はそのウニョウニョを剣や聖力の光でブチブチと切っていきます。
一本のウニョウニョがお母様の右手に巻きつきました!するともの凄い勢いで体中に巻きつき始めました。
「殺さないわよ?貴方は最愛の娘が目の前で居なくなるのを見てもらわないといけないから」
そう笑ってお母様を地面に転倒させて背中を剣で刺しました。
「うぐっ!」
ぎゃあぁぁぁ!
お母様が吐血しましたわ!
「お母様!」
「アイラちゃん。お母様は大丈夫よ?きちんと死なない箇所を刺しといたから。これからやる事を邪魔されないように少し大人しくしてもらっただけだ」
オレット様が微笑みながら私の側にきました。
「オレット!アイラに触らないで!!」
お母様が叫びます。
「ふふふ。リリー?あまり大声を出すと吐血するわよ~。さて、アイラちゃん、久しぶりに会ったらもの凄く綺麗で可愛くなってるわね。これは自慢の娘さんだわ」
転がっている私の前髪を鷲掴みにして顔を無理矢理上げましたわ。
痛いです!
キッと私はオレット様を睨みます。
「うーん。怒ったお顔も可愛いわねぇ。もう誰も助けに来れないから自分で頑張る?ほらあの悪魔との契約を切った時に完全に悪魔からアイラちゃんを見えなくする術も練り込んでおいたの。凄いでしょう?黒魔術ってなんでも出来るのよ?なんてたって禁断の術ですもの」
私は聖力を出そうと頑張りますが何故だか全然出せませんの。
「そう、そう。アイラちゃんの聖力もあの男に封印してもらったわ。ほら二の腕に封印マーク。後で見てみてね。覚えていたらの話だけれど」
いつの間に。
やられていましたか。
「さて......と。先程の話だけど、ほらアイラちゃんにバルトカピ様になってもらうってあれ。アイラちゃんが18歳まで生きていたらバルトカピ様を召喚してもらうといいわ。そしてこの国を、この世界を壊しなさい。ね?」
そう言ったオレット様はキラキラしていて今までで1番綺麗でしたわ。
不覚にも敵ですのに綺麗って思ってしまいました。
突然オレット様が前髪を握っていない方の手で私の顔面を鷲掴みしてきました。
前髪鷲掴みも痛いですが、こちらも痛いです!爪が頬に食い込んでます!
「痛いです!痛い!」
叫ぶ私を無視して長い呪文を唱え始めましたわ。
痛だだだだだぁぁぁ!!爪!爪ぇぇ!
あれれ?何となく頭がボ~としてきましたわ。何故でしょうか?
遠くでお母様が私の名前を叫んでいる様な気がします。
「アイラちゃん。これで誰が貴方を見ても化け物にしか見えないわ。そんな素敵な術をかけておいたわよ?でも残念がらなくて大丈夫。実際は可愛いお顔のままなの。でも皆んなには醜い化け物の様なお顔に見えるだけ。そんな姿で1人で生きていけるかしら?私ね貴方のその綺麗なお顔が大っ嫌いなのよねぇ。あの2人から貰った完璧な見目がね。知らなかったでしょう?だから私の目につかない様にここから遠く遠く寂しい場所に飛ばしてあげるわね」
そ、そ、その術は前の人生でかけられたやつ!!回避したと思ってましたわ!
油断しました!
「そしてこちらの人達には探せ出せないように術を念入りにかけとくわね。静かに暮らしたいでしょう?あぁ、アイラちゃんの記憶も消しておくから新しい人生を始めるといいわ」
オレット様の手に更に力が入ったと思ったらパチン!と私の頭の中で音がしました。その途端目の前が真っ暗になり私は深い眠りに沈んでいきました。
最後に大好きなお母様の私を呼ぶ声が聞こえた様な気がしますわ......。
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いつも読んで下さりありがとうございます!
お気に入り登録して下さってる方、いいね!を押して下さっている方、しおりでマークを付け追って読んで下さっている方、毎回読みに来て下さっている方、などなどの皆様!本当に感謝しています。嬉しいです。
ありがとうございます!
この回で第一章が終わりました。
次からは第二章が始まります。
地味に静かに暮らしたいアイラちゃんですが中々その夢は叶えられないですね。
第二章でも頑張ってもらいたいです。
そして最後に。只今参加中の「ファンタジー小説大賞」の投票を私にして頂いた方々、本当にありがとうございます!まさか票が入るとは思っておりませんでしたので驚きと嬉しさでいっぱいです!
では、では皆様、またお暇な時にふらりと遊びに来て読んでもらえると嬉しいです。
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