断罪された大聖女は死に戻り地味に生きていきたい

花音月雫

文字の大きさ
上 下
38 / 121
第一章

聖女認定の日が近づいてきますわ

しおりを挟む
「もう少しで聖女認定だけどアイラ嬢はもちろん行くのだよね?」

今日も私の安全地帯ダリル様と妹のユリアン様とお茶会をしていますわ。
そのお茶会の席でダリル様にそう聞かれました。

「あまり行きたくはないのですけれど。一応エバンズ家の娘なので......」

「アイラ様は今、どのくらいの聖力が使えますの?まだ調べてみないと聖力か魔力かも分からないのですものね?私は昨年の魔力鑑定で魔力持ちだと分かりましたけれど」

そうなのです。この国の貴族のご子息、ご令嬢は10歳になると魔力鑑定をするのですわ。私は血筋で聖女認定に行くことになるのですけれど稀にそこで聖力ではなく魔力持ちだと判断される人もいます。その逆で魔力鑑定に行ったら聖力持ちと認定される人もいますのよ。因みにですがご子息が聖力持ちだと聖女様ではなく神子様候補とされ更に調べられるのですわ。

お兄様も聖力持ちでしたので神子様になれる素質があるか調べてもらいましたが残念ながら素質無しでしたの。それで聖騎士の方へ路線変更いたしましたわ。
変態神子様が誕生しなくて良かったと今では心の底から思います。
変態聖騎士もどうかと思いますが変態神子様よりはどうにかなると思いますの。

「私はそんなに力は使えませんの。少しだけ火を出せるとか水を出せるとか」

「あら?エレーネ様はアイラ様が北のお屋敷で光の攻撃をされたとおしゃっていましたよ?」

あ?え?
アイツ怖さのあまり何も覚えて無いって言ってたのに!
ベラベラと話しやがって!
はっ!最近キレやすくなってしまって申し訳ないですわ。

「エレーネ様の勘違いですの。それ、助けに来てくれたアクアが出した光ですわ」

「えー?そうなのですか?最近エレーネ様が周りの人達にアイラ様が光攻撃をして助けてくれた。天使だ。女神だ。って言いまわっていますまよ?」

あの野郎......ぶち殺す。

「あら、それは勘違いですって訂正してまわらないとですわね」

ミルクティーを飲みながらため息をつきました。私、紅茶デビューしましたのよ?まだミルクを入れないと飲めないですけど。

「そうだね。噂が広まると困るよね。聖女様に無理矢理ならせられたら......
ねぇ?僕とも会えなくなってしまうし周りには聖騎士の男性ばかりウロウロするんだよ?嫌だよね?」

最近のダリル様は私の側に殿方が居るのを異常はほど嫌がります。
アクアに関しては私が小さな頃から一緒に居るとの事で嫌そうですけれど納得はしているようです。

「お兄様、それならアイラ様が聖女様になる前に婚約者してしまえばいいのですわ!」

い、いや、ちょっと待って下さいましよ?私が聖女様に認定される事が前提になっていますけれど?

「そうは言っても聖女認定は1週間後だよ?流石に無理だよ」

「それもそうですわよね」

ユリアン様はふふふと冗談ですわ的な笑いをしましたがダリル様は真剣な表情です。

そもそも、婚約って。
私達お互いに「好きです」って告白もしていないですし。
雰囲気がラブラブ、イチャイチャなだけで......。
本当に、ですわ。
ダリル様は私をどう思っているのでしょうか?「美味しそう」と言われましたが「好き」とは言われていないのですわ。
私もダリル様には「好き」とは言っておりませんが。

自分の気持ちがよく分かりませんの。
このふわふわした幸せな気持ちが「恋」と言うのなら私はダリル様が好きなのでしょう。けれどもなんせ前の人生でも恋をした事がないので「?」なのですわ。
少し疑問を残しつつお茶会は終わりました。

それから数日後ですわ。
お父様とお母様が夕食の時にオレット様についてお話をされていました。

怪しげな宗教団体の教祖様になってから全然親交はないのですが。街ではその宗教団体の噂でもちきりなんだそうですわ。

黒魔術を使っているのでは、と。
その噂は本当でしょう。
前の人生でもオレット様やシャーロットは黒魔術を使っていましたし。
因みに今、シャーロットはオレット様と疎遠になっているので黒魔術は使っていないと思われますわ。

黒魔術は小さな術なら必要ないのですが大きな術を行うのならば生贄が必要になってくるのです。なので禁断なのですわ。

生贄は人間が1番効果があると黒魔術の本には書いてあるのです。
禁断の術なので黒魔術についてはある程度の知識とその歴史ぐらいしかどの本にも載ってはいません。術の掛け方などは絶対に記載されていません。
ですのでこの国の国民は黒魔術のやり方は知りません。

しかし、私が図書館で見つけたような本が闇市などで売られている事も事実です。そういった方面から黒魔術に手を染めてしまう人もいるのですわ。

オレット様の噂はあくまでも噂なので調べには入れないとお父様がおっしゃっていました。
一体オレット様は何をしているのでしょう?今世ではお母様を狙っている様には見えませんし放っておいても大丈夫でしょうか?

明日は聖女認定です。
本日は早めに寝ますわ。
聖女認定では聖力はあるものの微量です!と、いった感じでいきますわ。
その程度の力では聖女様にはなれないですわ~作戦です。

今でも変わらない私の今世でのテーマは地味に静かに目立たなく!ですもの。
この聖女認定さえクリアしましたら大丈夫な気がしますわ!頑張れ明日の私!






しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

婚約破棄されて辺境へ追放されました。でもステータスがほぼMAXだったので平気です!スローライフを楽しむぞっ♪

naturalsoft
恋愛
シオン・スカーレット公爵令嬢は転生者であった。夢だった剣と魔法の世界に転生し、剣の鍛錬と魔法の鍛錬と勉強をずっとしており、攻略者の好感度を上げなかったため、婚約破棄されました。 「あれ?ここって乙女ゲーの世界だったの?」 まっ、いいかっ! 持ち前の能天気さとポジティブ思考で、辺境へ追放されても元気に頑張って生きてます!

追放された悪役令嬢はシングルマザー

ララ
恋愛
神様の手違いで死んでしまった主人公。第二の人生を幸せに生きてほしいと言われ転生するも何と転生先は悪役令嬢。 断罪回避に奮闘するも失敗。 国外追放先で国王の子を孕んでいることに気がつく。 この子は私の子よ!守ってみせるわ。 1人、子を育てる決心をする。 そんな彼女を暖かく見守る人たち。彼女を愛するもの。 さまざまな思惑が蠢く中彼女の掴み取る未来はいかに‥‥ ーーーー 完結確約 9話完結です。 短編のくくりですが10000字ちょっとで少し短いです。

いっとう愚かで、惨めで、哀れな末路を辿るはずだった令嬢の矜持

空月
ファンタジー
古くからの名家、貴き血を継ぐローゼンベルグ家――その末子、一人娘として生まれたカトレア・ローゼンベルグは、幼い頃からの婚約者に婚約破棄され、遠方の別荘へと療養の名目で送られた。 その道中に惨めに死ぬはずだった未来を、突然現れた『バグ』によって回避して、ただの『カトレア』として生きていく話。 ※悪役令嬢で婚約破棄物ですが、ざまぁもスッキリもありません。 ※以前投稿していた「いっとう愚かで惨めで哀れだった令嬢の果て」改稿版です。文章量が1.5倍くらいに増えています。

今日も学園食堂はゴタゴタしてますが、こっそり観賞しようとして本日も萎えてます。

柚ノ木 碧/柚木 彗
恋愛
駄目だこれ。 詰んでる。 そう悟った主人公10歳。 主人公は悟った。実家では無駄な事はしない。搾取父親の元を三男の兄と共に逃れて王都へ行き、乙女ゲームの舞台の学園の厨房に就職!これで予てより念願の世界をこっそりモブ以下らしく観賞しちゃえ!と思って居たのだけど… 何だか知ってる乙女ゲームの内容とは微妙に違う様で。あれ?何だか萎えるんだけど… なろうにも掲載しております。

そろそろ前世は忘れませんか。旦那様?

氷雨そら
恋愛
 結婚式で私のベールをめくった瞬間、旦那様は固まった。たぶん、旦那様は記憶を取り戻してしまったのだ。前世の私の名前を呼んでしまったのがその証拠。  そしておそらく旦那様は理解した。  私が前世にこっぴどく裏切った旦那様の幼馴染だってこと。  ――――でも、それだって理由はある。  前世、旦那様は15歳のあの日、魔力の才能を開花した。そして私が開花したのは、相手の魔力を奪う魔眼だった。  しかも、その魔眼を今世まで持ち越しで受け継いでしまっている。 「どれだけ俺を弄んだら気が済むの」とか「悪い女」という癖に、旦那様は私を離してくれない。  そして二人で眠った次の朝から、なぜかかつての幼馴染のように、冷酷だった旦那様は豹変した。私を溺愛する人間へと。  お願い旦那様。もう前世のことは忘れてください!  かつての幼馴染は、今度こそ絶対幸せになる。そんな幼馴染推しによる幼馴染推しのための物語。  小説家になろうにも掲載しています。

魅了が解けた貴男から私へ

砂礫レキ
ファンタジー
貴族学園に通う一人の男爵令嬢が第一王子ダレルに魅了の術をかけた。 彼女に操られたダレルは婚約者のコルネリアを憎み罵り続ける。 そして卒業パーティーでとうとう婚約破棄を宣言した。 しかし魅了の術はその場に運良く居た宮廷魔術師に見破られる。 男爵令嬢は処刑されダレルは正気に戻った。 元凶は裁かれコルネリアへの愛を取り戻したダレル。 しかしそんな彼に半年後、今度はコルネリアが婚約破棄を告げた。 三話完結です。

強制力がなくなった世界に残されたものは

りりん
ファンタジー
一人の令嬢が処刑によってこの世を去った 令嬢を虐げていた者達、処刑に狂喜乱舞した者達、そして最愛の娘であったはずの令嬢を冷たく切り捨てた家族達 世界の強制力が解けたその瞬間、その世界はどうなるのか その世界を狂わせたものは

すべてを思い出したのが、王太子と結婚した後でした

珠宮さくら
恋愛
ペチュニアが、乙女ゲームの世界に転生したと気づいた時には、すべてが終わっていた。 色々と始まらなさ過ぎて、同じ名前の令嬢が騒ぐのを見聞きして、ようやく思い出した時には王太子と結婚した後。 バグったせいか、ヒロインがヒロインらしくなかったせいか。ゲーム通りに何一ついかなかったが、ペチュニアは前世では出来なかったことをこの世界で満喫することになる。 ※全4話。

処理中です...