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第一章
お待ちかねの幽霊話しですわ
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お茶の時間になりその席にはもちろんダリル様もいらっしゃいます。
なんともお優しい雰囲気が私を癒します。
「アイラ嬢はマカロンが好きと聞いています。何の味が好きですか?」
ダリル様に話しかけられて少しフワフワしますわ。
「あ、イ、イチゴ味が好きです」
そうですかと、イチゴ味多めにお皿に取ってくれました。その取り方もお上品で完璧ですわ!手までお綺麗でうっとり見ていましたらアクアに後ろから小突かれました。
「どうぞ。召し上がれ」
あぁぁ。天使なのでは?私が会ったあの天使より天使ですわ!
「ふふ。カッコ良いでしょう?私のお兄様は」
ユリアン様が私の耳元で囁きます。
私は黙って顔を上下に振る事しか出来ません。人生初、照れてますの。
私のお兄様もそれは、それは美少年で頭も良く、優しくて最高なのですよ?変態ですけれど。少しだけお兄様を思い出してしんみりしてしまいましたわ。
ん?......おかしいですわね?思い出すのはお兄様の変態なところばかりですわ。やはり変態はインパクトが違います。
「美味しいです!」
私は気を取り直してマカロンを食べてみました。凄く美味しい!
ここにはお口にグイグイしてくる人が居ないのでゆっくり食べれますわ。
「それは良かった!我が家のシェフも喜びますよ」
ダリル様がニコニコと嬉しそうですわ。
私、少し顔が熱いです。ドキドキします。ふぅー。
もしかするとダリル様は私の新しい安全地帯なのでは?変態ではなく普通のお方ですものね?期待できます!
先程からアクアの視線が痛いですけれどダリル様には私の安全地帯で心の拠り所になって頂きましょう!決定ですわ!
夕食時にはユリアン様の従姉妹のアレイダ様もいらっしゃいました。アレイダ様は20歳で今年の秋にご結婚なさるのだとか。おめでとうございます!
美味しいお料理に楽しいお話し。時間は過ぎていきました。
そして夕食後のお茶の時間にやってまいりましたわ!王城の幽霊のお話です。
アレイダ様は昨年まで第三側室のマーレ様が住んでいる通称、北のお屋敷に侍女として働いていたそうです。
「最初はね、風の音かと思っていたのよ?風が窓を揺らしている音なんだって。北のお屋敷は随分と古い建物だから色んな所がガタていているのよ。でもその音が「ぎゃー」とかって聞こえるの。風の音ならガタガタとかでしょう?」
もう、そこからして怖くないですか?
「マーレ様がお眠りになるのを見届けてから私達も休むのだけど、休む前に一度屋敷内を見回るの。その日の当番の侍女が廊下で凄い悲鳴を上げたのね。私達残りの侍女数人で駆けつけたのだけど」
私もユリアン様もダリル様もマリルまでもが緊張しながら聞いています。
このお部屋には子供達しか居ませんの。
あ、もちろんマリルとアクアは居ますけど。
「そこには腰を抜かして座り込んでいる侍女がいて、男の子の幽霊が~!ってずっと叫んでいたわ。でも何処にもそんな幽霊は居なかったのよ。でも次の日にその場所を掃除していたら床のカーペットに赤いシミがあったのよ。血みたいな」
「ひっ!」
ユリアン様が小さく叫びました。
多分ユリアン様は怖い話は苦手ですのよね?それなのに私にお付き合いして頂いてありがとうございます。
「それからどんどん侍女達が辞めてしまって。そりゃそうよね、ただでさえあんな辛気臭いお屋敷でのお仕事なのに幽霊まで出るなんて。若い子なら辞めちゃうわ。でもね、3年前ぐらいからもう幽霊の噂はあったみたいなのよ」
エレーネ様が言っていた時期と重なりますわね。
「私も結婚が決まったので辞める事になったのだけど。その辞める1週間前ぐらいに遂に見てしまったの。男の子の幽霊を!しかも、両目が何かでくり抜かれている様に見えたわ。顔が血だらけで......」
「ぎゃぁーーん!!怖いですわぁぁぁ!」
び、びっくりしましたわ!突然に叫ぶものですから。
まさかのマリルでしたわ。号泣です。
あ、マリルも怖い話駄目でしたのね。
アクアにマリルをお部屋から連れ出してもらいましたわ。
ここからがいい所なのです!
アレイダ様が仕切り直してお話再開です。
「流石の私も驚いてしまって走って逃げましたわ」
「それは何時でしたか?」
私は質問しました。
「確か夜中の見回りだったから2時ぐらいかしら?その日はとても綺麗な満月で窓からの月明かりがその幽霊を照らし出していて怖さが倍増してたわ」
思い出して怖くなってしまったみたいでアレイダ様が小さく震えました。
満月......ですか。
「お話の最初で幽霊を見た侍女さんの時も満月だったのですか?」
「いいえ。満月ではなかったと思うけど月がどんな形だったかは覚えていないわ」
そうですわよね。
「で?その目が無かった幽霊は消えたのですか?」
ダリル様が訊いています。
「それが走って逃げちゃったから消えたのか何なのかわからなくて。でもそういえば私、怖すぎて悲鳴もあげられなかったのに後ろに騎士様が1人いつの間にか来ていたわね?」
「騎士様は何と?」
ダリル様は興味津々ですわ。
「物音がしたので駆けつけたって言ってたけど私、音もたててないのよね。驚き過ぎてストンってその場で座り込んでしまったから。ま、騎士様が部屋まで送ってくれたから安心して戻れたけどね!」
......私、もしかしたら分かってしまったかもしれませんわ。でもそうだとしたらこれはちょっと......ですわ。
なんともお優しい雰囲気が私を癒します。
「アイラ嬢はマカロンが好きと聞いています。何の味が好きですか?」
ダリル様に話しかけられて少しフワフワしますわ。
「あ、イ、イチゴ味が好きです」
そうですかと、イチゴ味多めにお皿に取ってくれました。その取り方もお上品で完璧ですわ!手までお綺麗でうっとり見ていましたらアクアに後ろから小突かれました。
「どうぞ。召し上がれ」
あぁぁ。天使なのでは?私が会ったあの天使より天使ですわ!
「ふふ。カッコ良いでしょう?私のお兄様は」
ユリアン様が私の耳元で囁きます。
私は黙って顔を上下に振る事しか出来ません。人生初、照れてますの。
私のお兄様もそれは、それは美少年で頭も良く、優しくて最高なのですよ?変態ですけれど。少しだけお兄様を思い出してしんみりしてしまいましたわ。
ん?......おかしいですわね?思い出すのはお兄様の変態なところばかりですわ。やはり変態はインパクトが違います。
「美味しいです!」
私は気を取り直してマカロンを食べてみました。凄く美味しい!
ここにはお口にグイグイしてくる人が居ないのでゆっくり食べれますわ。
「それは良かった!我が家のシェフも喜びますよ」
ダリル様がニコニコと嬉しそうですわ。
私、少し顔が熱いです。ドキドキします。ふぅー。
もしかするとダリル様は私の新しい安全地帯なのでは?変態ではなく普通のお方ですものね?期待できます!
先程からアクアの視線が痛いですけれどダリル様には私の安全地帯で心の拠り所になって頂きましょう!決定ですわ!
夕食時にはユリアン様の従姉妹のアレイダ様もいらっしゃいました。アレイダ様は20歳で今年の秋にご結婚なさるのだとか。おめでとうございます!
美味しいお料理に楽しいお話し。時間は過ぎていきました。
そして夕食後のお茶の時間にやってまいりましたわ!王城の幽霊のお話です。
アレイダ様は昨年まで第三側室のマーレ様が住んでいる通称、北のお屋敷に侍女として働いていたそうです。
「最初はね、風の音かと思っていたのよ?風が窓を揺らしている音なんだって。北のお屋敷は随分と古い建物だから色んな所がガタていているのよ。でもその音が「ぎゃー」とかって聞こえるの。風の音ならガタガタとかでしょう?」
もう、そこからして怖くないですか?
「マーレ様がお眠りになるのを見届けてから私達も休むのだけど、休む前に一度屋敷内を見回るの。その日の当番の侍女が廊下で凄い悲鳴を上げたのね。私達残りの侍女数人で駆けつけたのだけど」
私もユリアン様もダリル様もマリルまでもが緊張しながら聞いています。
このお部屋には子供達しか居ませんの。
あ、もちろんマリルとアクアは居ますけど。
「そこには腰を抜かして座り込んでいる侍女がいて、男の子の幽霊が~!ってずっと叫んでいたわ。でも何処にもそんな幽霊は居なかったのよ。でも次の日にその場所を掃除していたら床のカーペットに赤いシミがあったのよ。血みたいな」
「ひっ!」
ユリアン様が小さく叫びました。
多分ユリアン様は怖い話は苦手ですのよね?それなのに私にお付き合いして頂いてありがとうございます。
「それからどんどん侍女達が辞めてしまって。そりゃそうよね、ただでさえあんな辛気臭いお屋敷でのお仕事なのに幽霊まで出るなんて。若い子なら辞めちゃうわ。でもね、3年前ぐらいからもう幽霊の噂はあったみたいなのよ」
エレーネ様が言っていた時期と重なりますわね。
「私も結婚が決まったので辞める事になったのだけど。その辞める1週間前ぐらいに遂に見てしまったの。男の子の幽霊を!しかも、両目が何かでくり抜かれている様に見えたわ。顔が血だらけで......」
「ぎゃぁーーん!!怖いですわぁぁぁ!」
び、びっくりしましたわ!突然に叫ぶものですから。
まさかのマリルでしたわ。号泣です。
あ、マリルも怖い話駄目でしたのね。
アクアにマリルをお部屋から連れ出してもらいましたわ。
ここからがいい所なのです!
アレイダ様が仕切り直してお話再開です。
「流石の私も驚いてしまって走って逃げましたわ」
「それは何時でしたか?」
私は質問しました。
「確か夜中の見回りだったから2時ぐらいかしら?その日はとても綺麗な満月で窓からの月明かりがその幽霊を照らし出していて怖さが倍増してたわ」
思い出して怖くなってしまったみたいでアレイダ様が小さく震えました。
満月......ですか。
「お話の最初で幽霊を見た侍女さんの時も満月だったのですか?」
「いいえ。満月ではなかったと思うけど月がどんな形だったかは覚えていないわ」
そうですわよね。
「で?その目が無かった幽霊は消えたのですか?」
ダリル様が訊いています。
「それが走って逃げちゃったから消えたのか何なのかわからなくて。でもそういえば私、怖すぎて悲鳴もあげられなかったのに後ろに騎士様が1人いつの間にか来ていたわね?」
「騎士様は何と?」
ダリル様は興味津々ですわ。
「物音がしたので駆けつけたって言ってたけど私、音もたててないのよね。驚き過ぎてストンってその場で座り込んでしまったから。ま、騎士様が部屋まで送ってくれたから安心して戻れたけどね!」
......私、もしかしたら分かってしまったかもしれませんわ。でもそうだとしたらこれはちょっと......ですわ。
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