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第一章

時が戻りましたわ

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「おぎゃぁぁぁ!おぎゃぁぁぁ!」

私、アイラ・エバンズ2回目の人生スタートしました。
まさかの赤子まで戻るとは思っていませんでしたが、頑張ります。

生まれてからやっと目が開きました!
大好きな家族のお顔が見れます!
お母様だわ。お母様が生きてらっしゃる!もうそれだけで嬉しくてギャン泣きですわ!あっ、お父様が困ってます。
違うのですよ?お父様に抱っこされたから泣いているのではなくて嬉し泣きですの。

ふふふ。お父様もお母様も若いわ。
お父様のお名前はアルミス・エバンズ。お母様のお名前はリリー・エバンズ。
エバンズ家は王室の次に位の高い家柄ですのでお父様も気品があり美丈夫です。お母様は一般貴族のお生まれですが聖女でしたので気品がありその上絶世の美女なんですの。娘ながらに見惚れてしまうぐらい素敵な夫婦ですわ。

あっ!お兄様!
私より4つ上のお兄様。
この歳からもう既にお父様譲りの美しいお顔にお母様譲りの色気があります。完成されていますわ。キラキラのシルバーの髪にアメジストの様な綺麗な紫の瞳。どちらもお父様と同じお色ですのよ。だからミニお父様がいらっしゃるみたいで可愛いのですわ!最高です。くれぐれも誘拐にはお気をつけあそばせ!

ちなみに私はシルバーの髪にエメラルドグリーンの瞳です。
髪はお父様と同じで瞳はお母様と同じ。

「アイラ!僕の可愛い天使!ずっと、ずーと僕が守るよ!」

お兄様がスリスリ頬擦りしてきます。
私もお兄様を守ってみせますわ!今世はお任せあれです。私はフガフガと鼻息荒く誓いを立てます。

「まぁ。アイラはルネの事が大好きなのね。お顔が真っ赤だわ。ふふふ」

お母様、もちろんお兄様の事は大好きですがこの顔の赤いのは誓いを立てて興奮したからですの。

ですが、赤子の時間は長く感じるものなのですね。寝ても寝ても全然日にちが経っていないように感じますわ。

それならばその間に将来について考え......。
すやすや。
はっ!また眠ってしまいました!
赤子は眠るのがお仕事なのでしょうか?
あっ、また目が閉じますわ......。
すやすや。

ある日、お兄様がお友達を連れて来ました。将来一緒に聖騎士となる幼馴染のルース様です!お兄様と同じ4歳。
紅茶の様な綺麗な薄茶色の髪にサファイアの様な青い瞳ですの。
ルース様は前の人生であんな私にもとても優しく接してくれた数少ない方です。

ルース様にも私は化け物に見えていたのでしょう?それなのに。

「大きくなったら俺の嫁な」

っていつもおしゃってくれて。今思えば気を遣ってくれていたのでしょうね。
ありがとうございます。

ルース様のお家は代々騎士様を担っているのです。お兄様は将来筋肉質ながら細身なのですがルース様はゴリゴリのマッチョに。まだ4歳ですがもう既に骨太ですわ。将来は誰もが振り向く美丈夫に成長されるのですけれど......。

私が断罪された時、ルース様は22歳でしたが婚約者はいなかったですわね。あんなに素敵に成長なさるのに。

「わぁ!ルネの妹は天使みたいだな!僕もほっぺ触っていい?さっき手も洗ったし」

ふふふ。まだ俺とか言ってないのですね。子供の話し方だわ。
ルース様の小さな頃を体感出来るなんて貴重だわね。

「えー。どうしょうかな。アイラは僕の天使だからあまり他の人には触らせたくないんだ」

「え?じゃあ責任とって結婚するから!」

「もっと嫌だ。アイラはお嫁さんには行かせない。誰にも会わせないしずっとこの家で僕と居るの!」

ルース様、そのような事を軽く言わないで下さいませ。頬を触っただけで責任問題など起きるはずがありませんわ。

お兄様、嬉しいお言葉ですがそれは少し犯罪めいているように思いますわ。

私はスクスクと成長していきます。
大好きな家族との時間を1秒でも無駄にしたくないので前の人生よりも側に居る時間を長くとり沢山甘えさせてもらっていますわ。

そのせいなのかしら?家族が前の人生よりも凄く私を溺愛してきます。これはもう執着?少し怖いですけれど幸せです。

私が生まれて半年ぐらい経ったかしら?
私、その間ずっと考えていましたの。魔王の事は彼が現れてから考えるとしてそれまでの人生、ゆっくり、楽しく、実りのあるものにしたいと。

前の人生では王妃教育で学校にもまともに行けなかったのできちんと行きたいわ。結婚も本当に好きな人と、とか考えれば考えるほど色々出てきます。

でもこれ私が大聖女様になる素質があると周りにバレてしまったり、あるいは聖女様になってしまったら全て出来なくなってしまうわ。
そしてシャーロット親子に邪魔をされたらまた前の人生の様になっしまう。

私、決めましたの!今世はシャーロット親子の黒魔術を回避しながら地味に目立たなく生きていこうと。私は幸せになる。そして家族を守る為に聖女様としての力をひっそりと使う事を。

まだ少しだけあの絵本で読んだ慈悲深い大聖女様に憧れはあるのですけれど想いを断ち切ります。
だってあの天使が言うには絵本のような大聖女様はいないのですって。
代々の大聖女様は魔王や悪魔達と戦いの日々だったそう。
そんなハードな人生嫌ですわ。

もしも今世私の前に魔王が現れたら平和的な話し合いで解決する計画でございます。話は逸れましたが、そう、私は今世静かに地味にひっそりと生きていきますわ。皆さまどうか私の事はお構いなくです。

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