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番外編 ふたりの子どもは横着者

4月2日 晴れ

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今日は学校が休みだったから、ずっと家にいた。

朝は空気が重かったけど、「今からニニが帰ってくるよ。ジェフローラ様から連絡があった」って、父さんが言ってからは、みんなに元気が戻った。

昼頃、母さんがうちに帰ってきた。ジェフローラ様に付き添われて。
父さんとラウル、それからぼくらふたりが、玄関で出迎えた。
フラフラしてる母さんを支えながら、ジェフローラ様は馬車から降りてきて、まずは「お待たせ」。それから「おめでとう」。

何のことやら訳がわからなくて、父さんたちと顔を見合わせた。そうしたら、母さんとジェフローラ様がいたずらっぽく笑った。

「もう一人、家族が増えるのよ」

つまり、今までの母さんの不調は、お腹に赤ちゃんがいたから。

貧血気味でめまいがしたり、つわりで食欲がなかったり。
魔術の練習を見に来なかったのも、本当は眠すぎて寝てたんだって。ぼくらに心配させないよう、ウソをついたみたい。

最近、妙だと思ってたけど、やっと謎が解けたよ。
「あなたたちの妊娠中は、もっと元気だったのに」って、母さんは口を尖らせてた。

まあ、変な病気じゃなくてよかった。とはいえ、あんまり動き回ると危ないらしいから、母さんが廊下を走ったりしないよう、注意しなくちゃ。
安心して泣きそうになったけど、父さんが母さんに抱きついて号泣するもんだから、涙が引っ込んじゃったよ。

それにしても……ポルクローズのやつ! うかつなことを書きやがって。
昨日も日記を見せ合えばよかった。そうしたら、あいつのうっかりを阻止できたのに。
というか、あいつ律儀だよな。ぼくは日記を書く気になんてならなかったよ。

母さんも母さんで、帰ってきて落ち着くなり「昨日は日記を書いたの? 書けてたら見せて」。そんなこと、よく覚えてたね。
ポルは、意気揚々と日記を見せてた。その勝ち誇ったような顔は、「ズルって何?」っていう母さんの一言で、瞬時に青ざめた。

「昨日はエイプリルフールなんだよ」とかなんとか、モゴモゴ言い逃れしようとしてたけど、そんなので逃げられるわけないじゃないか。

あーあ、ポルがあんなことを書かなきゃ、今でも日記が一日おきで済んだのに。
これからは毎日書かなきゃならない。面倒くさいなあ。

「おれたち双子で、いつも一緒にいるから、交代で日記を書いて、もう一人がそれを写せば楽だよ」って、提案してきたのはあっちじゃないか。
ぼくの日記は父さんが、ポルのは母さんが見るから、バレないと思ったのに。
ポルがうっかり「ぼく」って写さないよう、一人称を書かないようにしてたけど、工夫がぜんぶ水の泡だよ。

明日も学校は休み。なるべく書くことが少なくて済むように、大人しくしておこう。

今日の嬉しかったことは、母さんが帰ってきたことと、家族が増えるってわかったこと。
「弟がいい? 妹がいい?」って母さんに聞かれたけど、どっちでもいいかな。

ポルのうっかりをフォローしてくれる賢い子なら、男でも女でも大歓迎だよ。
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