上 下
12 / 61
2章 破れた日記

1月17?日 晴れ

しおりを挟む
何これ、どういうこと? 日記のページが破れてる。しかも、まとめて何枚も。
私、そんなことしてないのに。

誰か部屋に入った? マスターキーはラウルさんが管理してるけど、借りようと思えば誰でも借りられるし……でも、誰が何のために、こんなことするの?

そもそも、今日は朝からおかしなことが多すぎた。
ウィルブローズ様の行動を調べようと思ってたのに、いなかったのよ。私が起きる前に、朝食を済ませて家を出たみたい。
マリさんは「一昨日から決まっていたお仕事だそうです」って言ってたけど、今日はお休みなんじゃなかったの?

それから花壇が変だった。今日は快晴も快晴、雲ひとつないお天気だから、青空を背景にお花がよく映えるはず! ……と思ったら、一部がただの土に戻ってた。
クロップさんは、「花壇を野良ネコに掘り返されちまったんです」って嘆いてたけど、掘り返してすぐって感じじゃなかったわ。妙に馴染んでるというか。

変なのは花壇だけじゃない。地面が全然濡れてなかった。
昨日は土砂降りの音を聞きながら眠ったから、水たまりが残っていてもおかしくないのに。

もしかして、最近の記憶が消えてる?

って、カレンダーがなくなってるじゃない! 捨てた覚えなんかない……というか、あんな上質な紙に箔押しされたカレンダー、年が変わったって捨てられないわ!

まさか、頭の病気? いやいや、記憶は確かよ。昨日(?)の朝ごはんまで思い出せるし。
焼きたてパンとベリーのジャム。玉ねぎのスープ。かぶとハムのマリネ。紅茶は3杯おかわりして、最後の1杯にはハチミツとミルク。

合ってるかな……うん、合ってる。頭の方は大丈夫そう。
じゃあ、どういうことなのかしら。
もしかして、ウィルブローズ様が魔術で何かした? でも、それこそ何のために?

ひょっとして私、ここ数日、ウィルブローズ様の行動を調べてたのかも。それで、ウィルブローズ様にとって都合の悪いことを知ってしまったとか。
そのせいで記憶を消されたなら……まさか、とんでもないものを発見したのかしら。

いや、消したとは限らないか。第一、いつの間にか日が経ってるだなんて、私の思い過ごしかもしれない。
まずは明日、それを確認しなくちゃ。ウィルブローズ様に聞いても逃げちゃうだろうし、狙うとしたら嘘をつけないあの人ね。

そうそう。今日の嬉しかったことは、みんながすごく優しかったこと。
街へ出かけようとしたら、お天気だっていうのに、マリさんにラウルさん、クロップさんまでついて来ようとしてきたわ。
なんだか申し訳ないから家にいたら、ミュトスがチーズケーキを焼いてくれた。
そのあとも、誰かが常にそばにいた。クロップさんなんて、妙に体調を気遣ってくれたわね。特に頭……って喜んでいいのかしら、これ。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?

すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。 「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」 家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。 「私は母親じゃない・・・!」 そう言って家を飛び出した。 夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。 「何があった?送ってく。」 それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。 「俺と・・・結婚してほしい。」 「!?」 突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。 かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。 そんな彼に、私は想いを返したい。 「俺に・・・全てを見せて。」 苦手意識の強かった『営み』。 彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。 「いあぁぁぁっ・・!!」 「感じやすいんだな・・・。」 ※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。 ※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。 ※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。 ※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。 それではお楽しみください。すずなり。

『別れても好きな人』 

設樂理沙
ライト文芸
 大好きな夫から好きな女性ができたから別れて欲しいと言われ、離婚した。  夫の想い人はとても美しく、自分など到底敵わないと思ったから。  ほんとうは別れたくなどなかった。  この先もずっと夫と一緒にいたかった……だけど世の中には  どうしようもないことがあるのだ。  自分で選択できないことがある。  悲しいけれど……。   ―――――――――――――――――――――――――――――――――  登場人物紹介 戸田貴理子   40才 戸田正義    44才 青木誠二    28才 嘉島優子    33才  小田聖也    35才 2024.4.11 ―― プロット作成日 💛イラストはAI生成自作画像

どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします

文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。 夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。 エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。 「ゲルハルトさま、愛しています」 ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。 「エレーヌ、俺はあなたが憎い」 エレーヌは凍り付いた。

極上の一夜で懐妊したらエリートパイロットの溺愛新婚生活がはじまりました

白妙スイ@書籍&電子書籍発刊!
恋愛
早瀬 果歩はごく普通のOL。 あるとき、元カレに酷く振られて、1人でハワイへ傷心旅行をすることに。 そこで逢見 翔というパイロットと知り合った。 翔は果歩に素敵な時間をくれて、やがて2人は一夜を過ごす。 しかし翌朝、翔は果歩の前から消えてしまって……。 ********** ●早瀬 果歩(はやせ かほ) 25歳、OL 元カレに酷く振られた傷心旅行先のハワイで、翔と運命的に出会う。 ●逢見 翔(おうみ しょう) 28歳、パイロット 世界を飛び回るエリートパイロット。 ハワイへのフライト後、果歩と出会い、一夜を過ごすがその後、消えてしまう。 翌朝いなくなってしまったことには、なにか理由があるようで……? ●航(わたる) 1歳半 果歩と翔の息子。飛行機が好き。 ※表記年齢は初登場です ********** webコンテンツ大賞【恋愛小説大賞】にエントリー中です! 完結しました!

夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました

氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。 ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。 小説家になろう様にも掲載中です

選ばれたのは美人の親友

杉本凪咲
恋愛
侯爵令息ルドガーの妻となったエルは、良き妻になろうと奮闘していた。しかし突然にルドガーはエルに離婚を宣言し、あろうことかエルの親友であるレベッカと関係を持った。悔しさと怒りで泣き叫ぶエルだが、最後には離婚を決意して縁を切る。程なくして、そんな彼女に新しい縁談が舞い込んできたが、縁を切ったはずのレベッカが現れる。

慰み者の姫は新皇帝に溺愛される

苺野 あん
恋愛
小国の王女フォセットは、貢物として帝国の皇帝に差し出された。 皇帝は齢六十の老人で、十八歳になったばかりのフォセットは慰み者として弄ばれるはずだった。 ところが呼ばれた寝室にいたのは若き新皇帝で、フォセットは花嫁として迎えられることになる。 早速、二人の初夜が始まった。

愛しき夫は、男装の姫君と恋仲らしい。

星空 金平糖
恋愛
シエラは、政略結婚で夫婦となった公爵──グレイのことを深く愛していた。 グレイは優しく、とても親しみやすい人柄でその甘いルックスから、結婚してからも数多の女性達と浮名を流していた。 それでもシエラは、グレイが囁いてくれる「私が愛しているのは、あなただけだよ」その言葉を信じ、彼と夫婦であれることに幸福を感じていた。 しかし。ある日。 シエラは、グレイが美貌の少年と親密な様子で、王宮の庭を散策している場面を目撃してしまう。当初はどこかの令息に王宮案内をしているだけだと考えていたシエラだったが、実はその少年が王女─ディアナであると判明する。 聞くところによるとディアナとグレイは昔から想い会っていた。 ディアナはグレイが結婚してからも、健気に男装までしてグレイに会いに来ては逢瀬を重ねているという。 ──……私は、ただの邪魔者だったの? 衝撃を受けるシエラは「これ以上、グレイとはいられない」と絶望する……。

処理中です...