「君とは契りを結ばない」と言った夫は、悲しい秘密を持っていた

 貧乏貴族の家に生まれたアリスは、結婚初夜、富豪の夫オスカーに告げられる。

「僕は、君のほかに愛する人がいるんだ。だから、君とは夫婦の契りを結ぶつもりはない」

 しかしオスカーは、そっけない態度とは裏腹に、遠回しの思いやりを示してくる。

 本当は優しい人なんだ──安心するアリスだったが、毎晩、アレンという少年が夢へ現れるように。アレンは言う。

「オスカーには、近づかない方がいいよ」

 夫を信じなくては、と思いながらも、アレンの言葉も無視できない。
 オスカーは、本当はどんな人間なのか。あらゆる情報を手がかりに、考えをめぐらせるアリスは、思いもよらない真実にたどり着く。


★シリアス:コミカル=7:3

★若干ですが、後半に火災や焼死の描写があります。(メインの登場人物は死にません)
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