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王太子選定の儀・一騎打ち
109 婚儀
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神官と貴族がずらりと座する、神殿の大広間。
その最奥、水奈たちが琴祭で琴を弾いた場所に、雪晴は座っていた。
彼が身につけているのは、白地に銀の龍が刺繍された袍だ。
ややうなだれた姿勢から、疲れが見て取れる。
しかし雪晴は、水奈に気付いた途端、ハッとして立ち上がる素振りを見せた。
「陛下。婚儀が終わるまでは、お立ちになる必要はありませんよ」
そばにいる空仙が、遠回しにたしなめる。雪晴は気まずそうに居ずまいを正し、目だけで水奈を追った。
水奈も、自分の裾を踏まないよう用心しつつ、雪晴と視線を合わせて歩を進める。
水奈は、貴族や神官の注目を一身に浴びていたが、人々がどんな顔をしているか、何をささやかれているか、まるで意識していなかった。
怪我を負った雪晴が、ろくに休めないまま王となり、どんな心地でいるのか気になって仕方がない。
(足は痛まないのかな。人前だから我慢なさってるのかしら。それとも、本当に大丈夫なの?)
雪晴は痛みを隠すのがうまいから、少し見ただけではわからない。
水奈の席は、雪晴のすぐ横に用意されていた。そこへ正座した途端、空仙が大広間全体へ向けて声を張る。
「これより、国王陛下と楽沙木 水奈の婚儀を始める!」
楽沙木、という名に一部がざわついたが、水奈の出自はそこそこ知れ渡っていたらしく、すぐに静けさが戻る。
空仙が祝いの言葉を唱え始める。水奈は前を見すえたまま、その言葉を他人事のように聞いていた。
周りが定めた婚儀へ、言われるままに衣装を着て、決められた席に座らされた。
あんなに会いたいと願った雪晴と、再会を喜ぶ暇も与えられずに。
『婚儀の間は、とにかく座って前を見ていればいいですから』
タカにそう言われたので、雪晴の顔を見ることもためらってしまう。
考えないように、と思ってみても、雪晴のことを考えている。
消化できない感情をごまかすため、水奈は儀式の流れを思い返した。
(たしか次は、結びの儀だったと思うけど)
どんな内容だったか、と記憶をたどり始めて間もなく、空仙が口をつぐむ。
彼は天井の銀龍像を仰ぎ、平伏すると、雪晴たちの方を向き、また頭を下げた。
そして、雪晴と水奈の顔を見ながら告げた。
「次は結びの儀でございます。雪晴陛下、水奈殿。向かい合い、両手を握り合ってください。お二人の腕で輪を作るように」
「「えっ?」」
流されるままだった水奈は、「動いてくれ」と言われるとは思っておらず、意表をつかれて声を漏らした。
雪晴も同じ声を出したということは、彼もぽかんとしているのだろう。
「お二方、向かい合ってくださいますか?」
空仙が、苦笑してくり返す。そこで、水奈と雪晴はやっと我に返った。
二人は慌てて膝をにじり、互いの方を向いた。
水奈は、ようやく雪晴の顔を間近で見た。少しやつれて見えるが、顔色は悪くない。
(ちょっとお痩せになったけど、前より日に焼けていらっしゃるわ。心配していたよりお元気そう。よかった……)
水奈がホッと息をつくと、また空仙がささやいてくる。
「お二方、互いの両手をお取りください」
水奈はうなずき、両手を雪晴へ差し出した。雪晴は、壊れ物をあつかうように水奈の手を取った。
雪晴と手を握り合う。少しひんやりとした、やわらかい肌の感触が、水奈の手に伝わってくる。
雪晴への恋しさが、急速に湧き上がってくる。すぐにでも彼の胸に飛び込みたいという衝動に駆られる。
しかし、今は神聖な儀式の最中だ。そんなことをすれば、水奈の評価は地に落ちる。雪晴にも恥をかかせてしまう。
貴族の信用を得ていない中、考えなしに行動してはならない。
水奈は自分の手を見ながら、指に少し力を入れて、衝動を抑えた。すると、雪晴はそれを上回る力で水奈の手を握りしめてきた。
水奈は驚いて視線を上げた。
雪晴は、切なげに眉を寄せ、何かをこらえるような目で水奈を見つめていた。
その目に映る水奈も、同じ表情をしている。
雪晴の手を、ぎゅっと握り返す。雪晴が、ますます手に力を込める。
繋ぎ合う両手に、空仙が銀色の布をかけた。
誰も話さず、誰も動かない静謐の中、水奈と雪晴の手だけが、狂おしいほど互いを求め合い、熱を帯びて震えている。
必要以上に固く繋がれた手に、空仙は気付いただろう。しかし、彼は何も言わず、祝福の言葉を唱え始めた。
それを聞いているうちに、水奈の意識が、やっと雪晴から外へ向かう。
今から、自分たちは結婚する。それを大勢の人々が認めてくれる。
この状況は現実だ。水奈の頭が理解していく。
(私、雪晴殿下と……いえ、陛下とずっと一緒にいていいのね)
水奈の心に、幸せが満ちていく。
夫婦という枠組みは、立場によっては呪いになるのかもしれない。
しかし、今の水奈には、雪晴との繋がりを守ってくれる砦のように思えた。
*
婚儀が終わり、控えの間へ足を踏み入れた瞬間、水奈はその場にへたり込んだ。
「王妃殿下!」
神官の一人が悲鳴を上げる。タカを含む全員が水奈に駆け寄り、倒れないよう支えてくれる。
へとへとになった水奈は、力のない声で尋ねた。
「王妃殿下が、こちらにいらっしゃるのですか……? じゃあ、座り込んでいられないですね……早くご挨拶しなくちゃ」
重い頭をなんとか動かし、水奈は周りを見回した。しかし、あのほんわかした王妃の姿はどこにもない。
どういうことか聞こうとした時、神官たちの爆笑が狭い室内にあふれた。
「え? あの……え?」
「ああ、もう。嫌だわ、もう! あなたのことですよ! 国王陛下と結婚なさったのをもう忘れたんですか?」
タカが、ヒィヒィと苦しげに息を吸いながら、水奈の肩を叩く。
水奈は「あっ」と呟くと、みるみるうちに顔を真っ赤にした。
「そうでした……ごめんなさい」
「いえ、こちらこそ。急に儀式だ何だと振り回されて、実感が湧かないのも無理はありません。笑ってはいけませんね」
そう言ったタカは笑いを噛み殺し、ほかの神官たちとともに、水奈の衣装を脱がせていく。
「それで……次は、白銀城にて初夜の儀をおこないますが」
さらりと言われた言葉に、水奈の心臓が口から飛び出しそうなほど大きく跳ねる。
「しょ、初夜、ですか」
水奈は、心臓が爆発しそうだと思いながら、騒がしい胸に手を当てて聞き返した。
タカは、淡々とした声で「ええ」と言った。
冷たいとさえ思える声は、おそらくわざとだ。水奈を追い詰めないようにと、気を遣ってくれているのだろう。
「白銀城へ移ることは決定していますが、初夜の儀は先へ延ばせます。いかがなさいますか?」
「延ばす……延期する、ということですか?」
「そうです。ただしその場合、本日は国王陛下とお会いになれません。婚儀のあと、夫婦が初めて対面するのは初夜の儀をおこなう時だ、と決まっておりますから」
「そんな……」
水奈の中で、たくさんの気持ちがぶつかり合う。
心の準備をしたい。今日は休みたい。
しかし、雪晴のことも気になる。怪我の具合はどうか。ほかに痛むところはないか。会ってちゃんと確かめたい。
弱っているだろう彼を、労わってあげたい。家族になれた幸せを分かち合いながら。
けれど……。
「国王陛下は、初夜の儀について何とおっしゃっているのですか?」
雪晴は、それを望んでいるのだろうか。水奈の問いに対して、タカはいたずらっぽい笑みを返してくる。
「『王妃の体調次第』だそうです」
つまり、儀式を延ばすかどうかは、水奈が決めるしかないのだ。
それなら。
「では、延期はしません」
水奈はきっぱりと言った。もっと悩むと思っていたのか、タカやほかの神官たちが、揃って目を丸くする。
「……わかりました。それでは、城の迎えが待っていますから、そのようにお伝えください」
「はい」
水奈は力を込めて答えた。雪晴が望んでいるのなら、断る理由はない。
(早くおそばに行って、陛下をお支えしなくちゃ。知らない人だらけの慣れない場所で、一人で過ごすなんて、安らげるはずないもの)
初夜に何をするか、知っている。心の準備はできていない。
それでも雪晴の顔が見たい。言葉を交わしたい。
水奈は元の着物に着替えると、体が緊張していくのを感じながら、タカと控えの間を出た。
その最奥、水奈たちが琴祭で琴を弾いた場所に、雪晴は座っていた。
彼が身につけているのは、白地に銀の龍が刺繍された袍だ。
ややうなだれた姿勢から、疲れが見て取れる。
しかし雪晴は、水奈に気付いた途端、ハッとして立ち上がる素振りを見せた。
「陛下。婚儀が終わるまでは、お立ちになる必要はありませんよ」
そばにいる空仙が、遠回しにたしなめる。雪晴は気まずそうに居ずまいを正し、目だけで水奈を追った。
水奈も、自分の裾を踏まないよう用心しつつ、雪晴と視線を合わせて歩を進める。
水奈は、貴族や神官の注目を一身に浴びていたが、人々がどんな顔をしているか、何をささやかれているか、まるで意識していなかった。
怪我を負った雪晴が、ろくに休めないまま王となり、どんな心地でいるのか気になって仕方がない。
(足は痛まないのかな。人前だから我慢なさってるのかしら。それとも、本当に大丈夫なの?)
雪晴は痛みを隠すのがうまいから、少し見ただけではわからない。
水奈の席は、雪晴のすぐ横に用意されていた。そこへ正座した途端、空仙が大広間全体へ向けて声を張る。
「これより、国王陛下と楽沙木 水奈の婚儀を始める!」
楽沙木、という名に一部がざわついたが、水奈の出自はそこそこ知れ渡っていたらしく、すぐに静けさが戻る。
空仙が祝いの言葉を唱え始める。水奈は前を見すえたまま、その言葉を他人事のように聞いていた。
周りが定めた婚儀へ、言われるままに衣装を着て、決められた席に座らされた。
あんなに会いたいと願った雪晴と、再会を喜ぶ暇も与えられずに。
『婚儀の間は、とにかく座って前を見ていればいいですから』
タカにそう言われたので、雪晴の顔を見ることもためらってしまう。
考えないように、と思ってみても、雪晴のことを考えている。
消化できない感情をごまかすため、水奈は儀式の流れを思い返した。
(たしか次は、結びの儀だったと思うけど)
どんな内容だったか、と記憶をたどり始めて間もなく、空仙が口をつぐむ。
彼は天井の銀龍像を仰ぎ、平伏すると、雪晴たちの方を向き、また頭を下げた。
そして、雪晴と水奈の顔を見ながら告げた。
「次は結びの儀でございます。雪晴陛下、水奈殿。向かい合い、両手を握り合ってください。お二人の腕で輪を作るように」
「「えっ?」」
流されるままだった水奈は、「動いてくれ」と言われるとは思っておらず、意表をつかれて声を漏らした。
雪晴も同じ声を出したということは、彼もぽかんとしているのだろう。
「お二方、向かい合ってくださいますか?」
空仙が、苦笑してくり返す。そこで、水奈と雪晴はやっと我に返った。
二人は慌てて膝をにじり、互いの方を向いた。
水奈は、ようやく雪晴の顔を間近で見た。少しやつれて見えるが、顔色は悪くない。
(ちょっとお痩せになったけど、前より日に焼けていらっしゃるわ。心配していたよりお元気そう。よかった……)
水奈がホッと息をつくと、また空仙がささやいてくる。
「お二方、互いの両手をお取りください」
水奈はうなずき、両手を雪晴へ差し出した。雪晴は、壊れ物をあつかうように水奈の手を取った。
雪晴と手を握り合う。少しひんやりとした、やわらかい肌の感触が、水奈の手に伝わってくる。
雪晴への恋しさが、急速に湧き上がってくる。すぐにでも彼の胸に飛び込みたいという衝動に駆られる。
しかし、今は神聖な儀式の最中だ。そんなことをすれば、水奈の評価は地に落ちる。雪晴にも恥をかかせてしまう。
貴族の信用を得ていない中、考えなしに行動してはならない。
水奈は自分の手を見ながら、指に少し力を入れて、衝動を抑えた。すると、雪晴はそれを上回る力で水奈の手を握りしめてきた。
水奈は驚いて視線を上げた。
雪晴は、切なげに眉を寄せ、何かをこらえるような目で水奈を見つめていた。
その目に映る水奈も、同じ表情をしている。
雪晴の手を、ぎゅっと握り返す。雪晴が、ますます手に力を込める。
繋ぎ合う両手に、空仙が銀色の布をかけた。
誰も話さず、誰も動かない静謐の中、水奈と雪晴の手だけが、狂おしいほど互いを求め合い、熱を帯びて震えている。
必要以上に固く繋がれた手に、空仙は気付いただろう。しかし、彼は何も言わず、祝福の言葉を唱え始めた。
それを聞いているうちに、水奈の意識が、やっと雪晴から外へ向かう。
今から、自分たちは結婚する。それを大勢の人々が認めてくれる。
この状況は現実だ。水奈の頭が理解していく。
(私、雪晴殿下と……いえ、陛下とずっと一緒にいていいのね)
水奈の心に、幸せが満ちていく。
夫婦という枠組みは、立場によっては呪いになるのかもしれない。
しかし、今の水奈には、雪晴との繋がりを守ってくれる砦のように思えた。
*
婚儀が終わり、控えの間へ足を踏み入れた瞬間、水奈はその場にへたり込んだ。
「王妃殿下!」
神官の一人が悲鳴を上げる。タカを含む全員が水奈に駆け寄り、倒れないよう支えてくれる。
へとへとになった水奈は、力のない声で尋ねた。
「王妃殿下が、こちらにいらっしゃるのですか……? じゃあ、座り込んでいられないですね……早くご挨拶しなくちゃ」
重い頭をなんとか動かし、水奈は周りを見回した。しかし、あのほんわかした王妃の姿はどこにもない。
どういうことか聞こうとした時、神官たちの爆笑が狭い室内にあふれた。
「え? あの……え?」
「ああ、もう。嫌だわ、もう! あなたのことですよ! 国王陛下と結婚なさったのをもう忘れたんですか?」
タカが、ヒィヒィと苦しげに息を吸いながら、水奈の肩を叩く。
水奈は「あっ」と呟くと、みるみるうちに顔を真っ赤にした。
「そうでした……ごめんなさい」
「いえ、こちらこそ。急に儀式だ何だと振り回されて、実感が湧かないのも無理はありません。笑ってはいけませんね」
そう言ったタカは笑いを噛み殺し、ほかの神官たちとともに、水奈の衣装を脱がせていく。
「それで……次は、白銀城にて初夜の儀をおこないますが」
さらりと言われた言葉に、水奈の心臓が口から飛び出しそうなほど大きく跳ねる。
「しょ、初夜、ですか」
水奈は、心臓が爆発しそうだと思いながら、騒がしい胸に手を当てて聞き返した。
タカは、淡々とした声で「ええ」と言った。
冷たいとさえ思える声は、おそらくわざとだ。水奈を追い詰めないようにと、気を遣ってくれているのだろう。
「白銀城へ移ることは決定していますが、初夜の儀は先へ延ばせます。いかがなさいますか?」
「延ばす……延期する、ということですか?」
「そうです。ただしその場合、本日は国王陛下とお会いになれません。婚儀のあと、夫婦が初めて対面するのは初夜の儀をおこなう時だ、と決まっておりますから」
「そんな……」
水奈の中で、たくさんの気持ちがぶつかり合う。
心の準備をしたい。今日は休みたい。
しかし、雪晴のことも気になる。怪我の具合はどうか。ほかに痛むところはないか。会ってちゃんと確かめたい。
弱っているだろう彼を、労わってあげたい。家族になれた幸せを分かち合いながら。
けれど……。
「国王陛下は、初夜の儀について何とおっしゃっているのですか?」
雪晴は、それを望んでいるのだろうか。水奈の問いに対して、タカはいたずらっぽい笑みを返してくる。
「『王妃の体調次第』だそうです」
つまり、儀式を延ばすかどうかは、水奈が決めるしかないのだ。
それなら。
「では、延期はしません」
水奈はきっぱりと言った。もっと悩むと思っていたのか、タカやほかの神官たちが、揃って目を丸くする。
「……わかりました。それでは、城の迎えが待っていますから、そのようにお伝えください」
「はい」
水奈は力を込めて答えた。雪晴が望んでいるのなら、断る理由はない。
(早くおそばに行って、陛下をお支えしなくちゃ。知らない人だらけの慣れない場所で、一人で過ごすなんて、安らげるはずないもの)
初夜に何をするか、知っている。心の準備はできていない。
それでも雪晴の顔が見たい。言葉を交わしたい。
水奈は元の着物に着替えると、体が緊張していくのを感じながら、タカと控えの間を出た。
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