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おまけ・本当の友だちの、次③
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「その電柱を超えた先に、左へ曲がる狭い道があるでしょ。そこに入って」
「……わかった。あとは?」
「まっすぐ行くだけ。お店は日本家屋っぽい建物だから、すぐわかると思う。だから……手、そろそろ離しても大丈夫だよ」
最後のつぶやきは、小さすぎてかすれていた。なのに、はっきりと僕の耳に届いた。
いつの間にか、傍の道路を走る車が減っている。芽衣が「そこに入って」と指し示した狭い道に至っては、自転車もほとんど通らないようだ。
さすがにこの状況では、「周りがうるさくて聞こえない」とは言えない。
「あ、ごめん。忘れてた」
白々しく笑って、芽衣の手を離す。手のひらだけじゃなく、胸の中心まですうっと冷え込んでいった。
定食屋は、遠目にもすぐわかった。入り口の格子戸を横に引き、中へ入る。
椅子や机は暗い茶色で統一されていたけれど、奥に大きな窓があるせいか、店内はふんわりと明るかった。
その明るさと同じくらいの、まぶしすぎない朗らかさで、女性店員が声をかけてきた。
そこで僕は、芽衣より先に店へ入ったことを後悔した。
「いらっしゃいませ、何名様ですか?」
「あ……えっと、2人です」
「かしこまりました。こちらのお席へどうぞ」
すらりと背の高い女性店員は、流れるように店内を進んでいく。そのあとをついて歩きながら、僕は冷や汗をかいていた。
(しまった……飲食店に入ったことがほとんどないから、何をどうしたらいいのかわからない!)
幼稚園の頃、家族でファミリーレストランへ行った記憶はある。
──優真、どれにする?──
母がそう言って、僕にメニューを差し出した……ような気がする。そのメニューを見て、頼むものを選んだ……と思う。
何を注文したかすら、思い出せないけれど。
席に着くまでのことなんて、なおさらだ。
何か忘れていないだろうか。おかしな行動をしていたらどうしよう。
身の縮む思いで、椅子と机の隙間を歩いていく。店員が示した席へ腰を下ろし、テーブルを挟んだ向かいに芽衣も座る。
ひとまず、何事も起きなかった。だけどまだ油断はできない。次は何が始まるのだろう。立ち去る店員を凝視していると、
「……あの人がどうかした?」
と、低い声がした。
一瞬、誰の声かすぐわからなかった。これまでと比べて、声色がずいぶん暗かったからだ。
声がした方──正面を見ると、芽衣は、しおれた花のようにうなだれていた。
「ど、どうかしたって、何が?」
「優真があの店員さん、すごい見てるから」
「それは、まあ……ちょっと」
見ていた理由を知られたら、世間知らずが露呈する。恥ずかしくて言葉をにごすと、芽衣の表情はますます陰った。
「そうだよね、綺麗な人だもんね……背が高くて、髪もサラサラだし。私なんて、いまだに身長150センチないもん……」
「……? それがどうかした?」
「優真の隣に並ぶなら、身長165センチはないと釣り合わないでしょ?」
「??」
芽衣は何を言っているんだろう。それに、どうして落ち込んでいるんだろう。
わからなくて焦った。笑顔に戻ってほしくて慌てた。だから、慎重に発言を……と考えたことなどすっかり忘れて、本音が漏れた。
「身長がどうとかよくわからないけど、誰かが隣にいてくれるなら、芽衣がいい」
そう言った瞬間、ふわっと空気があたたかくなった。窓の光の白さが、ほのかに強くなる。
その光の中で、芽衣は熟しきった桃みたいに赤くなっていた。
ことん、ことん、という音で、僕らは我に返った。さっきの女性店員が、お茶の入った湯呑みを2つ、テーブルに置いたところだった。
「ご注文はお決まりでしょうか?」
どことなく楽しげな女性店員に話しかけられて、芽衣はあたふたと手を振った。
「あっ、す、すいません。まだ……」
「かしこまりました。お決まりになりましたら、お呼びください」
店員が一礼して、また去っていく。芽衣はもぞもぞとショルダーバッグを下ろし、ダッフルコートを脱いで、テーブル上のメニューを開いた。
僕も真似して、リュックとダウンジャケットを椅子の背にかけ、もう1冊のメニューを開く。メニューに隠れて芽衣を覗き見ると、鼻の頭や目尻に桃色が残っていた。
みぞおちのあたりに、むずがゆい感覚が生まれる。その感覚に急かされて、ページを繰る手がつい早くなる。
……が、10秒もしないうちにページを閉じてしまった。おいしそうな料理の写真を見て、「どれを選んでもいいんだ」と思うと、胸が苦しくなってきたのだ。
テーブルにメニューをぽんと置き、芽衣がこっちを見ていないのをいいことに、彼女の顔を眺める。
綺麗なピンクの唇を尖らせて、一生懸命に悩んでいる姿を見ていると、胸があたたかくなる。そのあたたかさが、さっきメニューを見ていた時の苦しさを浮き彫りにした。
この和やかな時間が終われば、またあの家に帰らなくてはならない。
選択の自由など無きに等しい、祖父母の家へ。食べるものも着るものも、寝起きする時間まで綿密に決められた、あの家へ。
「決まった」
しばらくして、芽衣がパタンとメニューを閉じた。
「優真は?」
「僕も決まったよ」
これが食べたい、というより、もうこれでいいや、という投げやりな決め方だけれど。
「わかった。じゃ、店員さん呼ぶね。すいませーん!」
すぐにやってきた店員を見上げつつ、芽衣はメニューを指さした。
「私、この日替わり定食で。優真は?」
「僕は……」
変えようかと一瞬思ったものの、どうせ選ぶことができないのだから、と考え直して、
「僕も日替わり定食で」
と、店員の顔を見上げる。
「かしこまりました。日替わり定食がおふたつ。……以上でよろしいでしょうか?」
「はい」
店員がメニューを取り上げ、代わりに金額の書かれた用紙をテーブルへ乗せる。
これはどうするものなんだろう。不安に誘われるまま、その紙を指先でもてあそんでいたら、芽衣が「えへへ」と笑った。
「優真も日替わりが食べたいと思ったんだ?」
「あ、うん、まあ」
何が正しいのかわからなくて、無難そうなものを選んだだけだ。
「おいしそうだったもんねえ、あのからあげの写真」
「う、うん、そうだね」
からあげがあったのか。よく見ていなかった。これ以上、メニューの話をされるとまずい。ほかの話題はないだろうか。
ああ、そうだ。からあげと言えば。
「ムツバスーパーのからあげ弁当もおいしかったな」
何となく思い出した、というふりをしてつぶやくと、芽衣はちょっと目を丸くした。それから、おかしそうにクスクス笑った。
「芽衣、どうかした?」
「ごめん、ごめん。今でも忘れられないくらいおいしかったんだ、と思って」
そう言われて、ふつりと疑問が湧いた。最後に食べ物をおいしいと思ったのは、いつだっただろう。
(ごはんの味、わかるかな……感想とか聞かれたらどうしよう)
下を向き、ひざに置いた手を強く握ると、芽衣は焦ったように言った。
「笑ってごめん、本当に。ムツバスーパーのお弁当、おいしいもんね」
「うん……半額のやつを買おうと思ったら、焼き魚とか煮物とか、売れ残りの渋いお弁当がほとんどだったけど。そういうのも残ってない時は、食パンかじったりして──」
そこまで話して、僕は口をつぐんだ。芽衣の顔から笑みが消えている。
今度は僕が焦って、だけどそれもつかの間、芽衣はすぐにまた微笑みを浮かべた。
「そういう節約生活の経験があったら、1人暮らしとかしても、しっかり貯金できそうだね」
「どう……かな」
小さく安堵の息をついて、僕も微笑んでみせた。
「それに、1人暮らしはちょっと寂しいな」
「そうなの? じゃあ拓真くんと一緒に暮らすんだね」
「拓真?」
「うん。うちもね、お姉ちゃんが1人暮らししてるの。県外の大学に通ってて、向こうで就活するつもりみたい。『芽衣もこっちの大学受ければ? 部屋に泊まっていいよ』って言ってくれてるから、考え中なんだけど……優真もそういうつもりなんじゃないの?」
問われて、僕は気付いた。「1人暮らしは寂しい」と言った時、無意識に芽衣との生活を想像したのだ。
妄想が先走りすぎだ。図々しいにもほどがある。顔から火が出そうになって、けれどそれより先に、頭頂部から足に向かって、ざあっと血の気が引いた。
(今、僕は、拓真を見捨てようとしてた……?)
芽衣と2人でどこかに住む。その妄想の中に、拓真はいなかった。
祖父母の家へ帰るつもりでいた。拓真のもとへ戻るつもりでいた。
けれど僕の本心は、祖父も祖母も、守るべき拓真をも捨てて逃げたいと思っていたのか。
両親に共感はしても、同じにはなるまいと決めていたのに。
「優真、どうかした?」
芽衣が、心配そうに僕の顔を覗きこんできた。
「……わかった。あとは?」
「まっすぐ行くだけ。お店は日本家屋っぽい建物だから、すぐわかると思う。だから……手、そろそろ離しても大丈夫だよ」
最後のつぶやきは、小さすぎてかすれていた。なのに、はっきりと僕の耳に届いた。
いつの間にか、傍の道路を走る車が減っている。芽衣が「そこに入って」と指し示した狭い道に至っては、自転車もほとんど通らないようだ。
さすがにこの状況では、「周りがうるさくて聞こえない」とは言えない。
「あ、ごめん。忘れてた」
白々しく笑って、芽衣の手を離す。手のひらだけじゃなく、胸の中心まですうっと冷え込んでいった。
定食屋は、遠目にもすぐわかった。入り口の格子戸を横に引き、中へ入る。
椅子や机は暗い茶色で統一されていたけれど、奥に大きな窓があるせいか、店内はふんわりと明るかった。
その明るさと同じくらいの、まぶしすぎない朗らかさで、女性店員が声をかけてきた。
そこで僕は、芽衣より先に店へ入ったことを後悔した。
「いらっしゃいませ、何名様ですか?」
「あ……えっと、2人です」
「かしこまりました。こちらのお席へどうぞ」
すらりと背の高い女性店員は、流れるように店内を進んでいく。そのあとをついて歩きながら、僕は冷や汗をかいていた。
(しまった……飲食店に入ったことがほとんどないから、何をどうしたらいいのかわからない!)
幼稚園の頃、家族でファミリーレストランへ行った記憶はある。
──優真、どれにする?──
母がそう言って、僕にメニューを差し出した……ような気がする。そのメニューを見て、頼むものを選んだ……と思う。
何を注文したかすら、思い出せないけれど。
席に着くまでのことなんて、なおさらだ。
何か忘れていないだろうか。おかしな行動をしていたらどうしよう。
身の縮む思いで、椅子と机の隙間を歩いていく。店員が示した席へ腰を下ろし、テーブルを挟んだ向かいに芽衣も座る。
ひとまず、何事も起きなかった。だけどまだ油断はできない。次は何が始まるのだろう。立ち去る店員を凝視していると、
「……あの人がどうかした?」
と、低い声がした。
一瞬、誰の声かすぐわからなかった。これまでと比べて、声色がずいぶん暗かったからだ。
声がした方──正面を見ると、芽衣は、しおれた花のようにうなだれていた。
「ど、どうかしたって、何が?」
「優真があの店員さん、すごい見てるから」
「それは、まあ……ちょっと」
見ていた理由を知られたら、世間知らずが露呈する。恥ずかしくて言葉をにごすと、芽衣の表情はますます陰った。
「そうだよね、綺麗な人だもんね……背が高くて、髪もサラサラだし。私なんて、いまだに身長150センチないもん……」
「……? それがどうかした?」
「優真の隣に並ぶなら、身長165センチはないと釣り合わないでしょ?」
「??」
芽衣は何を言っているんだろう。それに、どうして落ち込んでいるんだろう。
わからなくて焦った。笑顔に戻ってほしくて慌てた。だから、慎重に発言を……と考えたことなどすっかり忘れて、本音が漏れた。
「身長がどうとかよくわからないけど、誰かが隣にいてくれるなら、芽衣がいい」
そう言った瞬間、ふわっと空気があたたかくなった。窓の光の白さが、ほのかに強くなる。
その光の中で、芽衣は熟しきった桃みたいに赤くなっていた。
ことん、ことん、という音で、僕らは我に返った。さっきの女性店員が、お茶の入った湯呑みを2つ、テーブルに置いたところだった。
「ご注文はお決まりでしょうか?」
どことなく楽しげな女性店員に話しかけられて、芽衣はあたふたと手を振った。
「あっ、す、すいません。まだ……」
「かしこまりました。お決まりになりましたら、お呼びください」
店員が一礼して、また去っていく。芽衣はもぞもぞとショルダーバッグを下ろし、ダッフルコートを脱いで、テーブル上のメニューを開いた。
僕も真似して、リュックとダウンジャケットを椅子の背にかけ、もう1冊のメニューを開く。メニューに隠れて芽衣を覗き見ると、鼻の頭や目尻に桃色が残っていた。
みぞおちのあたりに、むずがゆい感覚が生まれる。その感覚に急かされて、ページを繰る手がつい早くなる。
……が、10秒もしないうちにページを閉じてしまった。おいしそうな料理の写真を見て、「どれを選んでもいいんだ」と思うと、胸が苦しくなってきたのだ。
テーブルにメニューをぽんと置き、芽衣がこっちを見ていないのをいいことに、彼女の顔を眺める。
綺麗なピンクの唇を尖らせて、一生懸命に悩んでいる姿を見ていると、胸があたたかくなる。そのあたたかさが、さっきメニューを見ていた時の苦しさを浮き彫りにした。
この和やかな時間が終われば、またあの家に帰らなくてはならない。
選択の自由など無きに等しい、祖父母の家へ。食べるものも着るものも、寝起きする時間まで綿密に決められた、あの家へ。
「決まった」
しばらくして、芽衣がパタンとメニューを閉じた。
「優真は?」
「僕も決まったよ」
これが食べたい、というより、もうこれでいいや、という投げやりな決め方だけれど。
「わかった。じゃ、店員さん呼ぶね。すいませーん!」
すぐにやってきた店員を見上げつつ、芽衣はメニューを指さした。
「私、この日替わり定食で。優真は?」
「僕は……」
変えようかと一瞬思ったものの、どうせ選ぶことができないのだから、と考え直して、
「僕も日替わり定食で」
と、店員の顔を見上げる。
「かしこまりました。日替わり定食がおふたつ。……以上でよろしいでしょうか?」
「はい」
店員がメニューを取り上げ、代わりに金額の書かれた用紙をテーブルへ乗せる。
これはどうするものなんだろう。不安に誘われるまま、その紙を指先でもてあそんでいたら、芽衣が「えへへ」と笑った。
「優真も日替わりが食べたいと思ったんだ?」
「あ、うん、まあ」
何が正しいのかわからなくて、無難そうなものを選んだだけだ。
「おいしそうだったもんねえ、あのからあげの写真」
「う、うん、そうだね」
からあげがあったのか。よく見ていなかった。これ以上、メニューの話をされるとまずい。ほかの話題はないだろうか。
ああ、そうだ。からあげと言えば。
「ムツバスーパーのからあげ弁当もおいしかったな」
何となく思い出した、というふりをしてつぶやくと、芽衣はちょっと目を丸くした。それから、おかしそうにクスクス笑った。
「芽衣、どうかした?」
「ごめん、ごめん。今でも忘れられないくらいおいしかったんだ、と思って」
そう言われて、ふつりと疑問が湧いた。最後に食べ物をおいしいと思ったのは、いつだっただろう。
(ごはんの味、わかるかな……感想とか聞かれたらどうしよう)
下を向き、ひざに置いた手を強く握ると、芽衣は焦ったように言った。
「笑ってごめん、本当に。ムツバスーパーのお弁当、おいしいもんね」
「うん……半額のやつを買おうと思ったら、焼き魚とか煮物とか、売れ残りの渋いお弁当がほとんどだったけど。そういうのも残ってない時は、食パンかじったりして──」
そこまで話して、僕は口をつぐんだ。芽衣の顔から笑みが消えている。
今度は僕が焦って、だけどそれもつかの間、芽衣はすぐにまた微笑みを浮かべた。
「そういう節約生活の経験があったら、1人暮らしとかしても、しっかり貯金できそうだね」
「どう……かな」
小さく安堵の息をついて、僕も微笑んでみせた。
「それに、1人暮らしはちょっと寂しいな」
「そうなの? じゃあ拓真くんと一緒に暮らすんだね」
「拓真?」
「うん。うちもね、お姉ちゃんが1人暮らししてるの。県外の大学に通ってて、向こうで就活するつもりみたい。『芽衣もこっちの大学受ければ? 部屋に泊まっていいよ』って言ってくれてるから、考え中なんだけど……優真もそういうつもりなんじゃないの?」
問われて、僕は気付いた。「1人暮らしは寂しい」と言った時、無意識に芽衣との生活を想像したのだ。
妄想が先走りすぎだ。図々しいにもほどがある。顔から火が出そうになって、けれどそれより先に、頭頂部から足に向かって、ざあっと血の気が引いた。
(今、僕は、拓真を見捨てようとしてた……?)
芽衣と2人でどこかに住む。その妄想の中に、拓真はいなかった。
祖父母の家へ帰るつもりでいた。拓真のもとへ戻るつもりでいた。
けれど僕の本心は、祖父も祖母も、守るべき拓真をも捨てて逃げたいと思っていたのか。
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