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蜂は冬眠する種類がいるらしい

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蜂。
人はそれを危険視する。まあ、蜂に限らず人は虫が苦手な人が多い。

僕は虫を見つけたら、更に限定して言うと家に入って来たからと言って殺しはしない。また、何もしないのではなく家から、外に逃がす。まあ、結局は人が勝手に多くの家を作り内と外を作っている。そんな人間勝手な意見を他の生物に押し付けている。だからこそ、僕にできるのは虫の食料や住処がある、所謂外に逃がしてやるのだ。まあ、それも他の生物をいいように利用しているだけかもしれない。利用すればするほどツケは回ってくる。だからせめて僕に関わってしまった虫だけでも助けたいのだ。

そんな僕だが、たった今、虫を潰した。と言っても踏み潰した。もし、潰した虫の遺族に裁判を申し立てられても殺人、いやここは殺虫とでも言おうか。まあ、殺虫に問われる事はなくあくまで過失致死になるのではないか?そんな事を考えると同時に潰した虫の正体を見て蜂だった事に驚いた。
「 蜂を踏んでしまうなんて危ない。下手をすれば、こっちに向かって来る僕を見て刺しに来てもおかしくは無かったのではないか。」
そんな危機感を覚えながら地面に潰され、粉々になった蜂を後にしバイトに向かった。

職場のロッカー室のドアを開けると嫌な熱気が体を襲った。今日の暑さは夏を感じる。しかも、今日に限って憂鬱だ。と言うのも今日はバイトのチーフに頼まれ、チーフの代わりにいつもより2時間早くバイトを始めなければならない。チーフの仕事ぶりは誰かみても完璧だ。強いて言うならば、パワハラ気味に感じるくらいだ。まあ、そんなチーフに代わりを頼まれたのだ気合いを入れて頑張る必要がある、
しかし、熱中症の危険を暑さを感じる。
「おはようございます。お願いします。チーフ見ませんでした?今日早いですね。」
後ろから、声が聞こえた。振り向くとそこにはバイトの先輩が既に着替えていた。僕は返す。
「おはようございます、先輩。今日はちょっとチーフに少しだけ代わってと頼まれまして、早めに入ります。」
そして、ふと頭に蜂を踏んだことが過る。
「そういえば今日蜂を見かけまして、まだ4月も始まったばかりなのに暑さに加えて虫も活発に活動していますよ。」
先輩は「えっ?」と言ってロッカー室から出て行った。ロッカーの扉が開けっ放しだ。暑くて直ぐにでも冷房が効いているであろう所に行きたいのは分かるが、もう少しくらい興味を持ってくれてもいいのではないか?と思った。なんとなく不貞腐れていると、床に何か見覚えのある物が落ちていた。
蜂だ。びっくりはしたものの、今日で2回目だ。しかし、形を保っている。冷静になり、上から帽子を被せる。窓を開け逃がそうとした。そして思う。上から帽子を被せたら余計蜂を怒らせるのではないか?
今更にして気づいた。
だが、暴れる様な音がしない。怖いが、そうこうしているうちにもうすぐタイムカードをきらないといけない時間だ。仕事中先輩を呼ぶにも申し訳ないし、蜂を帽子で閉じ込め蜂は怒っているかもしれない。そんな状態で先輩を呼んで刺されでもしたら大変な事になる。冷静でありながら全く考えてなかった自分に呆れながら帽子をくるんだ。帽子の汗が蒸発したからか、ひんやりと感じる。窓の近くへ持って行き帽子を開けた瞬間蜂は落ちた。
というのも帽子を開けるタイミングをミスって室内に落ちた。足元に落ちた。後ずさり、後ずさり。
だが蜂は動かない。もしかしてもう死んでる?そう思い、近づく。後ろから想像していた羽の音が聞こえる。もう1匹いた。後ずさり、後ずさり。いや、後ろにもいるのだ。チラッと落ちた蜂を見た。




動いてる。普通に動いた。こっち飛んで来た。覚悟した。もう、逃げる余裕も無く。目がけて飛んできた。こっち目掛けてとかじゃなく《目》に向かって飛んできた。


病院で目が覚める。理解するのに時間がかかったが思い出す。ナースコールを押し、医師が来る。
医師によるとあの後、先輩が戻ってきて殺虫剤で蜂を倒したらしいが、先輩も刺されたそうだ。
 
先輩は偶然、最近同じ種類の蜂に刺されていたらしく、アナフィラキシーショックを起こして直ぐに亡くなったらしい。幸いにも僕は右目の下を1箇所刺されただけらしい。先輩と比べると、《だけ》だ。
先輩が殺虫剤で戦ってくれたからこそ蜂の注意を引いてくれて僕も助かった。


つまり、まとめとしては

先輩は殺虫剤で蜂を殺してしまい殺虫罪に蜂、
いや、神、いややはりここはリーダーによって運命られ処刑されたそうだ。












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