捨てた騎士と拾った魔術師

吉野屋

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第一章

お仕置きしちゃった

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宿に送ってくれようとしたオジサンは、Bランクの冒険者で、いつもはパーティーを組んであちこち色んな依頼を受けて大陸を飛び回っているらしい。名前をガルパンさんと言うそうだ。

 たまたま今は出身地で奥さんの住んでいる、このバングル伯爵領のケレスの街で休暇中なので、ここで出来る簡単な商業ギルドからの依頼を受け、その周辺や商業ギルドから頼まれた人物の警護をしているらしい。

 年に一度は長期休暇でこの領に戻り、家族水入らずを楽しむのだそうだ。


 「坊主は冒険者ギルドに何しに行くんだ?」

 「冒険者ギルドの見学ですかね、後学の為にどんな所なのか見ておきたいんです」

 「変わってるなあ、だけど今は俺がいるからいいけど、荒くれ物も、強盗みたいな事を働くやつも中にはいるからな、今度から一人で行くのはやめた方がいいぞ」

 「はい、そうですね、やはり自分の身を守れるように武器とかも購入しておきたいんですが、お勧めのお店とかありますか?魔力はもっているんで物理よりも魔道具の方がいいです」


 「なるほどな、やっぱり貴族か、その血縁者なんだな。育ちが良さそうだから目立つんだよ。さっきみたいな奴らはどこにでもいるから、すぐに対応できるような武器になる魔道具があったらいいよな。よし、いい店があるから後で連れて行ってやるよ」

 「ありがとうございます。よろしくおねがいします」


 先に冒険者ギルドに立ち寄る。商業ギルドより大きく、赤レンガで作られた厳めしい出入口の上にijIJăĢġđijIJ冒険者ギルドと大きな看板が掛けられていた。


 人の出入りが多く、ガルパンさんが盾のように前に立って入ってくれたので突き飛ばされたりする事も無かったが、なかなか一人で来たら人が少なくなるまで入りにくかったと思われる。

 それでなければ、身体が当たっただどうだと言われ、いちゃもんつけられたりしそうだ。


 話に聞いた通り、ギルドの奥には受付カウンターが並び、要件によって窓口が分けられていた。

 手前の依頼の掲示版コーナーにはピンで留められた依頼の用紙がたくさん並び、人だかりがある。皆、条件の良い仕事が欲しいので、けんか腰の奪い合いの様だ。中には本当に喧嘩している者もいるしカオスだった。地下には食堂とバーが併設されていて、昼間から酒を飲んでいる人もいる。


 出来ればどんな依頼内容の仕事があるのか等、見たかったが、今の時間帯は無理そうだ。
一応見学出来たので、納得してガルパンさんに宿屋に帰る旨を伝えた。

 「よし、じゃあ魔道具屋に寄ってから宿に帰るか」

 帰る時と同じように、ガルパンさんが盾になってくれながらギルドから出た。


 帰る道すがら、王都へ行くにはどういう行き方が良いのかとか教えてもらった。
やはり、女性や子供は公共の定期馬車を使って、大きな街から大きな街へと移動する方が良いと言われたので、そうしようと思う。

 一口に王都と言っても、このゼノディクス王国は大国で、大陸の中でも大きな国だ。住んでいたノーマ子爵領とは比べるべくもないが今いるバングル伯爵領の何十倍も広い都市だ。3重の市壁に護られたお城も見て見たい。

 住むかどうかは、とりあえず王都を見てから決めるつもりだ。

  ガルパンさんが連れて行ってくれた店で、護身用の魔道具を購入した。

  見た目は金の腕輪で、魔力を流すと突然メイスになる。
  メイスって、よくRPGなんかで僧侶が持っていたオサレな棍棒だ。

  僧侶が持って立ってるってだけで、なんか魔法の杖かタダのステッキみたいに思えるけど、本当は打撃武器で凶悪だったりする。しかも雷落とせたりしたら最凶だよねえ。

  棒部分は如意棒みたいに伸ばせたり縮めたり出来る。

  金貨200枚だったけど、懐はあったかかったのでコレだ!と思い購入した。ギルドの登録加盟店だったのでカード払い出来たのでラッキー。

  ガルパンさんは、顎が落ちそうな程驚いていた。ダヨネ。
  ようくお礼を言って宿の前で別れた。



  その次の日、朝食を済ませ、女将さんに定期馬車の乗り場を教えてもらって歩いて向かう途中、後ろからつけて来る男達がいた。商業ギルドからつけていた三人組の男達だ。昨日も諦めずにだいぶ離れてついて来ていたのは知っているので、来るだろうとは思っていた。

  少し道を外れ、人気のない場所に入ってやると、直ぐに向こうから声をかけて来た。

  「こら待て、くそガキ!待たねえと殴り倒すぞ!」

  黙って振り返ると近くに誰も居ないのを確認して、三人で取り囲む。

  「荷物全部置いていけ、ついでに身に付けて居る服も脱いで置け」

  「殺されないだけでも有り難いと思いな」

  追い剥ぎかよ、相当切羽詰まってるのか、目をギョロギョロさせて今にも掴みかかって来そうだ。

  着ている服も汚いし、臭い。あんまり強く無さそうだから三人で組んで弱そうな子供を狙ってるんだな。そんな事する前に、地道に働けよ。

  「おじさん達、いつもこんな事してるんだ」

  「だから、どうしたってんだよ!早くしろ、くそガキ!ガキのくせにいい宿泊まって、いい服着て、商業ギルドじゃ特別待遇、見てるだけで腹たつんだよ!」

  「え、嫌だよ、自分の面倒は自分で見なよ、子供にたかるのやめな」

  「こぉんのくっそガキが!」

  「ヤっちまえばいいぜ!、身ぐるみ剥がして売り飛ばしちまえばいい!」

  「誰にも分かりゃあしねえさ」

  口々に叫んで襲いかかって来たが、次の瞬間、いつの間にか子供の手にしていた金色の棒で殴り倒されていた。

  三人組とも吹っ飛び、顔から流血していた。頬骨や鼻や歯が折れている。

  身体強化して目にも止まらない速さでダメージの大きい顔をメイスのヘッドの飾り部分で殴り倒したのだ。

  大丈夫、自動クリーニング装置付きだから…

  「だ、だんだ?だにがおごっだ?」

  訳もわからず、誰だか分からなくなったお互いの顔を見合い、ヒイヒイ言っている。

  「おじさん達が悪い子だからお仕置きしちゃったよ」

  ついでにお試しで小さな雷を足元に落としてやる、足元の土が弾け飛び、バチバチという音と光を見て、やっと男達は相手が魔力持ちで、自分たちが凹られたのが分かった様だ。

  ミリアムは前世でお一人様生活が長かった為、護身術も習っていた事がある。

その時先生に聞いた事があるのだが、襲われたとき一番相手にダメージを与えるにはどうするのが一番良いかと。

『やっぱり顔だね、鼻や目を狙うとイイよ。後はやっぱり男は金的きんてきが一番』



  「ご、ゴベンダザイィ!ゆどじでぐだざい」

  「ごべんじゃじゃい!」

  「ぼうじばじぇん、だずげじぇぐじゃじゃい!!」

  何言ってんのかよく分からなかったけれど、お漏らしして地面を這いずり回っている。
  
   「本当だったら、手か足潰して、もう悪いこと出来ない様にした方が良いんだろうけど、一応チャンスをあげるよ。まだ悪い事する様だったら次は無いからね」
  
  泣き叫んで赦しを請う三人を路地に残して、ミリアムは定期馬車の乗り場に急いだ。

  アジスレーゼ行きだ。朝早く乗って、到着するのに丸一日かかるので、一日一便しかない。
昼休憩に小さな町でトイレ休憩と食事を摂る時間があるそうだが、それ以外は基本走らせっ放しだそうで、馬車は10人乗りだ。料金は銀貨6枚。



  







 

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