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29..ラスタリカの侵略
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第三王子のディノレアス殿下の回復は早かった。
ユーノス様からの守護の魔道具のお陰で怪我が最小限に済んだというのが大きい。
自害した二人の騎士については、表向きは魔物の襲撃で亡くなった事になっている。
その二人は皇太子からの推薦で第三王子の近衛兵になった者で、それは公に出来る事では無かった。
あの後砦に帰って来られたユーノス様は、すぐに責任者を集めて会議が行を行われた。
やはり、ケノビル村にはラスタリカからの人間が入り込んでいた様だ。用意周到という言い方がピッタリくるようなやり方だと言える。その間者は二名程でケノビル村に入り込んだのが6年も前の話だった。
旅人を装い村に居ついた者だそうだ。
ユーノス様達が村の外の魔物が出ていた魔法陣に仕掛けをした後に、その二人がその魔法陣を操作しにやってきたのだ。国境近くの魔物の森から小者の魔物を喚び出していたのだ。
魔石に映された映像から二人を呼んで話を村長の家で聞いている途中に、歯に仕込んであった毒物で、自害した。
逃げられないと判断したからだろうけれど、その潔さが恐ろしい。
そこまでの忠誠をささげさせる国が・・・。
「ラスタリカは、王妃様の母国だ。表立って騒ぐことは出来ないが、このままには出来ない。国を守る為にはこれ以上の侵略は防がなくてはならない。もちろん国王陛下にも報告は直接申し上げている」
この展開は小説からは離れた話になる。まったく出て来なかった話だ。
ユーノス様の亡命国もラスタリカではなく西の国境に接する、アウドラゼンだった筈だ。
もちろん、話の中ではシタンが国自体を滅ぼしてしまうのだから出て来る筈も無い。
出て来なかった話が進んでいるという事は、すでに小説は抜け出て新しい話の道へと移行している。
王妃様がラスタリカの侵略に荷担されているとなると、二人の王子殿下の立場は微妙なものになるのは間違いないだろう。今回の皇太子殿下からの推薦の騎士の裏切りは、皇太子殿下が王妃様側だという証拠となる。
北の砦で、他の近衛騎士達も目撃しているのだから、もみ消す事自体難しいだろう。
その事自体を、この砦の上層部の者達は理解していたけれど、王妃側がそれ全てを消そうとするなどとは思わなかった。
何故ならば、そうする事でラスタリカとセントレナの戦争が始まる事は目に見えていたからだ。
ケノビル村の中にラスタリカの間者は紛れ込んでいた。
それは、ケノビルだけでなく、北の砦にも同じことが起きていると予想出来る。十分に注意が必要だった。
これに対し砦内で早急な対応が行われる。
魔法契約を砦内の者全てに受けさせると伝達したのだ。
それを逃れようとした者は地下の牢に入れられた。兵士よりも、荷運びや掃除夫など、民間から募った者に多くいた。
他国から侵入を図るのならばその方が入りやすいからのようだ。
次のラスタリカからの攻撃は三日後の朝早くに起きた。
前回の地鳴りの様な響きと同時に、ラスタリカから黒い大きな竜巻がやって来る。
結界にぶつかり壊そうとしているようだ。何度も繰り返しぶつかる。
北の砦はユーノス様が居る事で、皆、落ち着いていた。
向こうは何人の魔術師を使いあの竜巻を起こしているのだろうか。
「魔石による結界が壊れた時になだれ込んで来るぞ。皆、持ち場につけ」
ユーノス様からの指示で、其々が自分の守りの位置に付いていた。
砦での怪我人は全て地下に移してある。
結界が破壊され、思った通りラスタリカの兵士達が雪崩れ込んできたが、それを迎え撃つ。
内側から崩されれば手の施しようが無いが、前もって向こうのやり方が分かっていたので良かったのだ。
ラスタリカは国境の小競り合いではなく、本気で戦争を仕掛けてきている。
こちらでは密かに王都と繋ぐ魔法陣を増やし、数日の内に新たに戦える者を増やし戦闘態勢を整えていた。
その間に皇太子殿下と第二王子の二人、そして王妃様方は皆、王族で罪を犯した者を閉じ込める為の北の塔に幽閉されていた。
王妃様付きのラスタリカから来ていた侍女や侍従、旅芸人、商人もすべて捕らえられ牢に入れられた。
ラスタリカの不振な動きはセントレナでも確認してはいたが、事を甘く見ていたのだ。
今回の第三王子襲撃と国境沿いの間者の事は決定的な判断材料になった。国王陛下も重い腰を上げる事となった。
結局、ラスタリカ側の言い分は国境を接する辺境伯の勝手な判断で攻撃をしたとの一方的な話だったけれど、国交は断絶された。
王妃の輿入れやその血を引く王子の存在等、全て最初からセントレナを侵略し属国にしようとする計画の元にあったようだ。
ラスタリカの血を引く王子二人と、ラスタリカからの輿入れだった王妃はそのまま塔に幽閉となり、セントレナは新たな局面を迎える事になった。
ユーノス様からの守護の魔道具のお陰で怪我が最小限に済んだというのが大きい。
自害した二人の騎士については、表向きは魔物の襲撃で亡くなった事になっている。
その二人は皇太子からの推薦で第三王子の近衛兵になった者で、それは公に出来る事では無かった。
あの後砦に帰って来られたユーノス様は、すぐに責任者を集めて会議が行を行われた。
やはり、ケノビル村にはラスタリカからの人間が入り込んでいた様だ。用意周到という言い方がピッタリくるようなやり方だと言える。その間者は二名程でケノビル村に入り込んだのが6年も前の話だった。
旅人を装い村に居ついた者だそうだ。
ユーノス様達が村の外の魔物が出ていた魔法陣に仕掛けをした後に、その二人がその魔法陣を操作しにやってきたのだ。国境近くの魔物の森から小者の魔物を喚び出していたのだ。
魔石に映された映像から二人を呼んで話を村長の家で聞いている途中に、歯に仕込んであった毒物で、自害した。
逃げられないと判断したからだろうけれど、その潔さが恐ろしい。
そこまでの忠誠をささげさせる国が・・・。
「ラスタリカは、王妃様の母国だ。表立って騒ぐことは出来ないが、このままには出来ない。国を守る為にはこれ以上の侵略は防がなくてはならない。もちろん国王陛下にも報告は直接申し上げている」
この展開は小説からは離れた話になる。まったく出て来なかった話だ。
ユーノス様の亡命国もラスタリカではなく西の国境に接する、アウドラゼンだった筈だ。
もちろん、話の中ではシタンが国自体を滅ぼしてしまうのだから出て来る筈も無い。
出て来なかった話が進んでいるという事は、すでに小説は抜け出て新しい話の道へと移行している。
王妃様がラスタリカの侵略に荷担されているとなると、二人の王子殿下の立場は微妙なものになるのは間違いないだろう。今回の皇太子殿下からの推薦の騎士の裏切りは、皇太子殿下が王妃様側だという証拠となる。
北の砦で、他の近衛騎士達も目撃しているのだから、もみ消す事自体難しいだろう。
その事自体を、この砦の上層部の者達は理解していたけれど、王妃側がそれ全てを消そうとするなどとは思わなかった。
何故ならば、そうする事でラスタリカとセントレナの戦争が始まる事は目に見えていたからだ。
ケノビル村の中にラスタリカの間者は紛れ込んでいた。
それは、ケノビルだけでなく、北の砦にも同じことが起きていると予想出来る。十分に注意が必要だった。
これに対し砦内で早急な対応が行われる。
魔法契約を砦内の者全てに受けさせると伝達したのだ。
それを逃れようとした者は地下の牢に入れられた。兵士よりも、荷運びや掃除夫など、民間から募った者に多くいた。
他国から侵入を図るのならばその方が入りやすいからのようだ。
次のラスタリカからの攻撃は三日後の朝早くに起きた。
前回の地鳴りの様な響きと同時に、ラスタリカから黒い大きな竜巻がやって来る。
結界にぶつかり壊そうとしているようだ。何度も繰り返しぶつかる。
北の砦はユーノス様が居る事で、皆、落ち着いていた。
向こうは何人の魔術師を使いあの竜巻を起こしているのだろうか。
「魔石による結界が壊れた時になだれ込んで来るぞ。皆、持ち場につけ」
ユーノス様からの指示で、其々が自分の守りの位置に付いていた。
砦での怪我人は全て地下に移してある。
結界が破壊され、思った通りラスタリカの兵士達が雪崩れ込んできたが、それを迎え撃つ。
内側から崩されれば手の施しようが無いが、前もって向こうのやり方が分かっていたので良かったのだ。
ラスタリカは国境の小競り合いではなく、本気で戦争を仕掛けてきている。
こちらでは密かに王都と繋ぐ魔法陣を増やし、数日の内に新たに戦える者を増やし戦闘態勢を整えていた。
その間に皇太子殿下と第二王子の二人、そして王妃様方は皆、王族で罪を犯した者を閉じ込める為の北の塔に幽閉されていた。
王妃様付きのラスタリカから来ていた侍女や侍従、旅芸人、商人もすべて捕らえられ牢に入れられた。
ラスタリカの不振な動きはセントレナでも確認してはいたが、事を甘く見ていたのだ。
今回の第三王子襲撃と国境沿いの間者の事は決定的な判断材料になった。国王陛下も重い腰を上げる事となった。
結局、ラスタリカ側の言い分は国境を接する辺境伯の勝手な判断で攻撃をしたとの一方的な話だったけれど、国交は断絶された。
王妃の輿入れやその血を引く王子の存在等、全て最初からセントレナを侵略し属国にしようとする計画の元にあったようだ。
ラスタリカの血を引く王子二人と、ラスタリカからの輿入れだった王妃はそのまま塔に幽閉となり、セントレナは新たな局面を迎える事になった。
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