21 / 46
第三章
4、怖がりな犬
しおりを挟む
道の駅の休憩所で、おばさん達のいろんな話を聞くのは結構面白い。
毎日、今日はどんな話が聞けるかと楽しみだったりする。地元の様々なニュースをいち早くキャッチできる場所でもある。新しく出来たお店の話なんかも早いのだ。
そんな中、いつも一緒に野菜売り場の仕事をしている玉木さんというおばさんが、家で犬を飼い始めたのだと話をはじめた。
「この犬の散歩が大変なんよ。すごい怖がりで、大きい車の走る音なんかにもビクビクするんだけど・・・」
どうせ犬を飼うのなら、犬の保護施設からもらったら良いのではないかという家族との話で、山の中に作られている保護犬の施設にご主人と一緒に犬を見に行ったそうだ。
そこは個人がM市から委託されて経営している施設で、おせじにも綺麗だとは言い難かったみたいだ。糞尿の匂いがきつく、施設の犬達の吠える声も荒々しい。かなり荒んだ感じの印象で。
最初は子犬が良いのではと思っていたそうだけど、見て回るうちに黒白のボーダーコリーとダルメシアンのミックスだろうという、大きいけど気の弱そうな犬が檻の隅にいるのが目に入った。
ほとんどボーダーコリーの外見だけどもっと大型で毛は短かめ、白い毛の部分に黒いぶちが入り、瞳はうすい茶色をしている。お尻を壁に押し付けて座り込み、覇気のない表情をしていたそうだ。
事情を聴けば、まだ一歳半で、ここに来て間もない犬だった。名前は力(りき)なのだという。飼い主の事情で突然飼えなくなり、施設に預けられたようだ。
ご主人がその力(りき)を気に入り、飼う事に決めた。
後日、知り合いから借りた犬のゲージを軽トラに乗せて、その犬をもらい受けに行ったのだという。
連れて帰るにあたっては、諸経費をいくらか支払わなければならなかったそうだけど、新しくペットショップで犬を買う事を思えば安い買い物だと思ったそうだ。
家の中では飼わず、物置小屋に居場所をあつらえた。
どうやら元々家の中で飼われていたらしく、犬小屋には見向きもせず、逆に大きな犬小屋を傍に置くと恐れてしまう様子だったので、敷物をしいてやるとそこに落ち着いたらしい。
家での居場所は決まったものの、困ったのは散歩だった。
犬の散歩はご主人と大学生の息子さんがする事になった。なにしろその犬は力が強く、本気で跳ね回ると玉木のおばさんは引き倒されてしまうという事が分かったのだ。
そして、問題の散歩の話になった。
玉木のおばさんの家はもともと農家が点在する場所をだんだん田んぼや畑をつぶしてそこが住宅地になったような場所にあるらしいのだが、家を出て右に回るコースと左に回るコースのどちらを行っても、ぐるりと回って家に戻るには、とある家の前を通らなければならないそうだ。
その家の手前に来ると、犬はピタリと歩みを止め、動かなくなるらしい。
無理やり引っ張って行こうとすると、手足を突っ張って座り込んでしまう。体重が三十キロある犬がそうすると、もうどうにもならないのだという。
それは右回りで行っても、左回りで行っても、どちらにしてもその家の手前で動かなくなる。
息子さんとご主人二人掛かりでも絶対に動かない。結局、ぐるりと回るのは諦めてその家の前まで行って元の道を戻るしかなかったのだという。
「でね、その家って、最近、奥さんが首つりをした家なのよ」
「「「「「ええええ~っ」」」」」
「そういえば犬とか猫とかの霊感って鋭いらしいって聞いた事があるわ」
と、誰かが言った。他の誰かも相槌を打っている。
「家の猫も家の中の何もない所をずっと見てるときあるよ。誰も居ないのに何かを追いかけて行ったりとか」
「いやあ、怖い」
「わかる、家の犬も夜中に突然家の中の一点を見つめて吠えたりするよ」
「こわ~い。やっぱり見えてるんだ」
ひとしきり騒ぎがおさまると、玉木のおばさんが話を続けた。
「何か月か前に救急車とパトカーが来てね、何かあったのかなと思ってたら、奥さんが首を吊って亡くなったらしいってお向かいさんに聞いたんよ」
「なんで首吊っちゃったん?」
「う~ん、たぶんそうだろうって話。その近所の人が言ってたんだけどね。まず、こっちはご主人の里で、後家さんになっているご主人のお母さんがぼけてきて、お母さんは老人施設に入れて、その家には夫婦で戻ってきちゃったんよ。でも、夫婦でちゃんと引き上げて戻る前に、大学生だった息子さんが急死して、なんでか知らん、今まで付き合いもないのにこっちで息子さんのお葬式をあげちゃったんよ。変だなとは思ったけどね・・・同じ常会じゃけど、そんな成り行きで奥さんとの付き合いは無かったし、会った事もなくてね。じゃけど常会で連絡が回って皆近所の人はお葬式に行くっていうから私も行ったんよね。そしたら、亡くなった原因はインフルエンザだったってご主人は弔辞で言ってたんだけど・・・でもそれが、本当は自殺だったらしいんよ」
「え~そうなんじゃ~、そりゃあ母親ならきついし悲しいし・・・」
他のおばさん達も、うんうん頷いている。
「それで、奥さんはおかしくなってしまったんじゃろうって言ってた。引っ越してきてからも家の中に籠ってしまって、近所の人は誰も一度も見たこと無かったみたい。結局、奥さんのお葬式は常会ではしなかったから、家族葬だったんだろうね」
「じゃあ、今はご主人が一人で住んでるん?」
「いいや、ご主人は家をそのままにして県外に出て、全然関係ない場所にアパート借りて一人暮らししてるらしいんよね。ご主人には常会の事で何回か会ったことがあったんじゃけど、奥さんがどうこうの前から、もう、陰気いうか、暗くてね・・・」
「なんか、暗くなるような事情のある家だったんかもしれんねえ。外からじゃわからんもん。それじゃあ犬は、なんか感じてそこを通らんのんじゃね」
「そうなんよ、家の息子がビビリの力(リキ)で、ビビリキって呼んでるんよね」
「いや~、近所じゃけしょうがないけど、犬じゃなくても怖い感じする」
「そりゃそうかもしれんけど、どうしようもない事じゃけね~」
「まあそうよねえ」
家を建てて家族で住んでいる場所を、近くに自殺した人の家があるから、別の場所に変えるなんていくら嫌だと思っても経済的にも簡単な話ではない。そのまま諦めて住むしかないのだ。
隣や向かいに住んでいる人はもっと切実だろう。他人事では済まないものがある。いつ何時そんな不幸がやってくるかもしれないのだ。
玉木さんの様に自分で取り敢えずなっとくして過ごしているならまだ良いと思わなけれならない。
そんな事を考えながら外に出るとお兄さんがパン屋の所から少し手を上げたのが見えた。
「お兄さん、お先です」
この間の護符を渡してから数日経過している。お客さんがいたりして、話をする時間もなかったけど、今はお客さんがいない。
「・・・あのさ、アレありがと。なんか良いよ。身体が楽」
アレとはもちろん、護符の事だろう。
「ほんと?良かった。ずっと身に着けて持っててね」
「うん。わかった。えっと、君、これ好きかな?食べる?」
お兄さんは薄い箱の入った紙袋を私に見せる。
「あ、それ好き」
M市にある老舗の饅頭屋の紙袋だ。創業100年を越える昔ながらの饅頭屋さんだ。その素朴な味わいが私は大好きだった。
「じゃ、これ、食べて」
「うん。ありがとう、いいの?」
「君にあげようと思ったんだ。だから遠慮しないで。あ、バス来たよ」
お兄さんの細い目が笑ったような気がした。
「うん」
なんか、嬉しかった。今までで一番長く話をしたような気がする。
毎日、今日はどんな話が聞けるかと楽しみだったりする。地元の様々なニュースをいち早くキャッチできる場所でもある。新しく出来たお店の話なんかも早いのだ。
そんな中、いつも一緒に野菜売り場の仕事をしている玉木さんというおばさんが、家で犬を飼い始めたのだと話をはじめた。
「この犬の散歩が大変なんよ。すごい怖がりで、大きい車の走る音なんかにもビクビクするんだけど・・・」
どうせ犬を飼うのなら、犬の保護施設からもらったら良いのではないかという家族との話で、山の中に作られている保護犬の施設にご主人と一緒に犬を見に行ったそうだ。
そこは個人がM市から委託されて経営している施設で、おせじにも綺麗だとは言い難かったみたいだ。糞尿の匂いがきつく、施設の犬達の吠える声も荒々しい。かなり荒んだ感じの印象で。
最初は子犬が良いのではと思っていたそうだけど、見て回るうちに黒白のボーダーコリーとダルメシアンのミックスだろうという、大きいけど気の弱そうな犬が檻の隅にいるのが目に入った。
ほとんどボーダーコリーの外見だけどもっと大型で毛は短かめ、白い毛の部分に黒いぶちが入り、瞳はうすい茶色をしている。お尻を壁に押し付けて座り込み、覇気のない表情をしていたそうだ。
事情を聴けば、まだ一歳半で、ここに来て間もない犬だった。名前は力(りき)なのだという。飼い主の事情で突然飼えなくなり、施設に預けられたようだ。
ご主人がその力(りき)を気に入り、飼う事に決めた。
後日、知り合いから借りた犬のゲージを軽トラに乗せて、その犬をもらい受けに行ったのだという。
連れて帰るにあたっては、諸経費をいくらか支払わなければならなかったそうだけど、新しくペットショップで犬を買う事を思えば安い買い物だと思ったそうだ。
家の中では飼わず、物置小屋に居場所をあつらえた。
どうやら元々家の中で飼われていたらしく、犬小屋には見向きもせず、逆に大きな犬小屋を傍に置くと恐れてしまう様子だったので、敷物をしいてやるとそこに落ち着いたらしい。
家での居場所は決まったものの、困ったのは散歩だった。
犬の散歩はご主人と大学生の息子さんがする事になった。なにしろその犬は力が強く、本気で跳ね回ると玉木のおばさんは引き倒されてしまうという事が分かったのだ。
そして、問題の散歩の話になった。
玉木のおばさんの家はもともと農家が点在する場所をだんだん田んぼや畑をつぶしてそこが住宅地になったような場所にあるらしいのだが、家を出て右に回るコースと左に回るコースのどちらを行っても、ぐるりと回って家に戻るには、とある家の前を通らなければならないそうだ。
その家の手前に来ると、犬はピタリと歩みを止め、動かなくなるらしい。
無理やり引っ張って行こうとすると、手足を突っ張って座り込んでしまう。体重が三十キロある犬がそうすると、もうどうにもならないのだという。
それは右回りで行っても、左回りで行っても、どちらにしてもその家の手前で動かなくなる。
息子さんとご主人二人掛かりでも絶対に動かない。結局、ぐるりと回るのは諦めてその家の前まで行って元の道を戻るしかなかったのだという。
「でね、その家って、最近、奥さんが首つりをした家なのよ」
「「「「「ええええ~っ」」」」」
「そういえば犬とか猫とかの霊感って鋭いらしいって聞いた事があるわ」
と、誰かが言った。他の誰かも相槌を打っている。
「家の猫も家の中の何もない所をずっと見てるときあるよ。誰も居ないのに何かを追いかけて行ったりとか」
「いやあ、怖い」
「わかる、家の犬も夜中に突然家の中の一点を見つめて吠えたりするよ」
「こわ~い。やっぱり見えてるんだ」
ひとしきり騒ぎがおさまると、玉木のおばさんが話を続けた。
「何か月か前に救急車とパトカーが来てね、何かあったのかなと思ってたら、奥さんが首を吊って亡くなったらしいってお向かいさんに聞いたんよ」
「なんで首吊っちゃったん?」
「う~ん、たぶんそうだろうって話。その近所の人が言ってたんだけどね。まず、こっちはご主人の里で、後家さんになっているご主人のお母さんがぼけてきて、お母さんは老人施設に入れて、その家には夫婦で戻ってきちゃったんよ。でも、夫婦でちゃんと引き上げて戻る前に、大学生だった息子さんが急死して、なんでか知らん、今まで付き合いもないのにこっちで息子さんのお葬式をあげちゃったんよ。変だなとは思ったけどね・・・同じ常会じゃけど、そんな成り行きで奥さんとの付き合いは無かったし、会った事もなくてね。じゃけど常会で連絡が回って皆近所の人はお葬式に行くっていうから私も行ったんよね。そしたら、亡くなった原因はインフルエンザだったってご主人は弔辞で言ってたんだけど・・・でもそれが、本当は自殺だったらしいんよ」
「え~そうなんじゃ~、そりゃあ母親ならきついし悲しいし・・・」
他のおばさん達も、うんうん頷いている。
「それで、奥さんはおかしくなってしまったんじゃろうって言ってた。引っ越してきてからも家の中に籠ってしまって、近所の人は誰も一度も見たこと無かったみたい。結局、奥さんのお葬式は常会ではしなかったから、家族葬だったんだろうね」
「じゃあ、今はご主人が一人で住んでるん?」
「いいや、ご主人は家をそのままにして県外に出て、全然関係ない場所にアパート借りて一人暮らししてるらしいんよね。ご主人には常会の事で何回か会ったことがあったんじゃけど、奥さんがどうこうの前から、もう、陰気いうか、暗くてね・・・」
「なんか、暗くなるような事情のある家だったんかもしれんねえ。外からじゃわからんもん。それじゃあ犬は、なんか感じてそこを通らんのんじゃね」
「そうなんよ、家の息子がビビリの力(リキ)で、ビビリキって呼んでるんよね」
「いや~、近所じゃけしょうがないけど、犬じゃなくても怖い感じする」
「そりゃそうかもしれんけど、どうしようもない事じゃけね~」
「まあそうよねえ」
家を建てて家族で住んでいる場所を、近くに自殺した人の家があるから、別の場所に変えるなんていくら嫌だと思っても経済的にも簡単な話ではない。そのまま諦めて住むしかないのだ。
隣や向かいに住んでいる人はもっと切実だろう。他人事では済まないものがある。いつ何時そんな不幸がやってくるかもしれないのだ。
玉木さんの様に自分で取り敢えずなっとくして過ごしているならまだ良いと思わなけれならない。
そんな事を考えながら外に出るとお兄さんがパン屋の所から少し手を上げたのが見えた。
「お兄さん、お先です」
この間の護符を渡してから数日経過している。お客さんがいたりして、話をする時間もなかったけど、今はお客さんがいない。
「・・・あのさ、アレありがと。なんか良いよ。身体が楽」
アレとはもちろん、護符の事だろう。
「ほんと?良かった。ずっと身に着けて持っててね」
「うん。わかった。えっと、君、これ好きかな?食べる?」
お兄さんは薄い箱の入った紙袋を私に見せる。
「あ、それ好き」
M市にある老舗の饅頭屋の紙袋だ。創業100年を越える昔ながらの饅頭屋さんだ。その素朴な味わいが私は大好きだった。
「じゃ、これ、食べて」
「うん。ありがとう、いいの?」
「君にあげようと思ったんだ。だから遠慮しないで。あ、バス来たよ」
お兄さんの細い目が笑ったような気がした。
「うん」
なんか、嬉しかった。今までで一番長く話をしたような気がする。
8
お気に入りに追加
116
あなたにおすすめの小説
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
私のドレスを奪った異母妹に、もう大事なものは奪わせない
文野多咲
恋愛
優月(ゆづき)が自宅屋敷に帰ると、異母妹が優月のウェディングドレスを試着していた。その日縫い上がったばかりで、優月もまだ袖を通していなかった。
使用人たちが「まるで、異母妹のためにあつらえたドレスのよう」と褒め称えており、優月の婚約者まで「異母妹の方が似合う」と褒めている。
優月が異母妹に「どうして勝手に着たの?」と訊けば「ちょっと着てみただけよ」と言う。
婚約者は「異母妹なんだから、ちょっとくらいいじゃないか」と言う。
「ちょっとじゃないわ。私はドレスを盗られたも同じよ!」と言えば、父の後妻は「悪気があったわけじゃないのに、心が狭い」と優月の頬をぶった。
優月は父親に婚約解消を願い出た。婚約者は父親が決めた相手で、優月にはもう彼を信頼できない。
父親に事情を説明すると、「大げさだなあ」と取り合わず、「優月は異母妹に嫉妬しているだけだ、婚約者には異母妹を褒めないように言っておく」と言われる。
嫉妬じゃないのに、どうしてわかってくれないの?
優月は父親をも信頼できなくなる。
婚約者は優月を手に入れるために、優月を襲おうとした。絶体絶命の優月の前に現れたのは、叔父だった。

少し冷めた村人少年の冒険記
mizuno sei
ファンタジー
辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。
トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。
優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。

【一話完結】断罪が予定されている卒業パーティーに欠席したら、みんな死んでしまいました
ツカノ
ファンタジー
とある国の王太子が、卒業パーティーの日に最愛のスワロー・アーチェリー男爵令嬢を虐げた婚約者のロビン・クック公爵令嬢を断罪し婚約破棄をしようとしたが、何故か公爵令嬢は現れない。これでは断罪どころか婚約破棄ができないと王太子が焦り始めた時、招かれざる客が現れる。そして、招かれざる客の登場により、彼らの運命は転がる石のように急転直下し、恐怖が始まったのだった。さて彼らの運命は、如何。
独身寮のふるさとごはん まかないさんの美味しい献立
水縞しま
ライト文芸
旧題:独身寮のまかないさん ~おいしい故郷の味こしらえます~
第7回ライト文芸大賞【料理・グルメ賞】作品です。
◇◇◇◇
飛騨高山に本社を置く株式会社ワカミヤの独身寮『杉野館』。まかない担当として働く有村千影(ありむらちかげ)は、決まった予算の中で献立を考え、食材を調達し、調理してと日々奮闘していた。そんなある日、社員のひとりが失恋して落ち込んでしまう。食欲もないらしい。千影は彼の出身地、富山の郷土料理「ほたるいかの酢味噌和え」をこしらえて励まそうとする。
仕事に追われる社員には、熱々がおいしい「味噌煮込みうどん(愛知)」。
退職しようか思い悩む社員には、じんわりと出汁が沁みる「聖護院かぶと鯛の煮物(京都)」。
他にも飛騨高山の「赤かぶ漬け」「みだらしだんご」、大阪の「モダン焼き」など、故郷の味が盛りだくさん。
おいしい故郷の味に励まされたり、癒されたり、背中を押されたりするお話です。
よんよんまる
如月芳美
キャラ文芸
東のプリンス・大路詩音。西のウルフ・大神響。
音楽界に燦然と輝く若きピアニストと作曲家。
見た目爽やか王子様(実は負けず嫌い)と、
クールなヴィジュアルの一匹狼(実は超弱気)、
イメージ正反対(中身も正反対)の二人で構成するユニット『よんよんまる』。
だが、これからという時に、二人の前にある男が現われる。
お互いやっと見つけた『欠けたピース』を手放さなければならないのか。
※作中に登場する団体、ホール、店、コンペなどは、全て架空のものです。
※音楽モノではありますが、音楽はただのスパイスでしかないので音楽知らない人でも大丈夫です!
(医者でもないのに医療モノのドラマを見て理解するのと同じ感覚です)
飯屋の娘は魔法を使いたくない?
秋野 木星
ファンタジー
3歳の時に川で溺れた時に前世の記憶人格がよみがえったセリカ。
魔法が使えることをひた隠しにしてきたが、ある日馬車に轢かれそうになった男の子を助けるために思わず魔法を使ってしまう。
それを見ていた貴族の青年が…。
異世界転生の話です。
のんびりとしたセリカの日常を追っていきます。
※ 表紙は星影さんの作品です。
※ 「小説家になろう」から改稿転記しています。
子持ちの私は、夫に駆け落ちされました
月山 歩
恋愛
産まれたばかりの赤子を抱いた私は、砦に働きに行ったきり、帰って来ない夫を心配して、鍛錬場を訪れた。すると、夫の上司は夫が仕事中に駆け落ちしていなくなったことを教えてくれた。食べる物がなく、フラフラだった私は、その場で意識を失った。赤子を抱いた私を気の毒に思った公爵家でお世話になることに。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる