20 / 46
第三章
3、蔵を壊すと、良くない?
しおりを挟む
旧家には、よく古い土蔵が残っている。
昔から、『蔵を壊すと家が没落する』なんていう謂れがあり、街なかの駐車場にポツンと蔵が取り残されていたりする事がある。
これは、そういう事を信じているその家のお年寄りが蔵を壊すことに強く反対した為だろう。
蔵を壊すと云々言われる様になった理由については、昔は蔵に財産がある事が社会的地位を表す事もあり、それを壊すということは、財産が無くなった→没落に繋がったとの説を聞いた事がある。
近代では全く気にしない人もいるので、そんな事を気にせず蔵を壊す家もある。大抵は神社の神主さんにお祓いをしてもらい蔵を壊すことが多い様だ。
これは、解体清祓というらしい。井戸祓、樹木祓というように、物によりそのお祓いがある様だ。
お金をかける事を厭う人は、崩れかけてるんだから、簡単に壊せるという事で、ちょっと知り合いを頼ってパワーショベルで崩して貰うとか、そういう事をする人もいるみたい。
けれど気をつけないと、蔵は土壁で特殊な造りなので崩すには専門知識が必要になり、無知な者が手を着けると事故の元であったりする様だ。
まあ時代の流れもあって、何が良いとか悪いとか、一概に言えないのが実際の所だと思う。
そういう話は聞くことがあったけれど、これはアルバイト先の道の駅で働くおばさん達が昼休憩に話していた話だ。
平日は午前中まで野菜売り場で働いて、12時になると帰る挨拶をしてから昼食を食べて家に帰る。
昼食は職員関係者の休憩所や人が少ない平日だと外の空いているベンチでお弁当やパンを食べて帰るのだけど、パートで昼までのおばちゃん達も休憩室で一服して帰る。
「鹿谷村の山内さんの所が、半年くらい前に蔵を壊しんさったんよ。息子が嫁さん貰うんで古い蔵を壊してそこに新居を建てるいうてね」
「やあ、そりゃあ大変じゃ、年寄りは蔵を崩すん嫌うけえね。よう崩しんさったね」
「山内さんとこは、お爺さんも、お婆さんも早うに亡くなったけえ、反対するもんがおらんかったんよ」
「じゃあ、何も無かったん?」
「ほんまよ、大丈夫だったん?」
おばさん達が口々に同じような事を言っている。実にかしましい。
「それが、大丈夫じゃ無かったんよね」
話していたおばさんの声が一段低くなり、声をひそめる。
「なんかあったん!?」
「あった言うもんじゃないんよ、半年の間に、蔵を崩すのに関わった関係者が3人も亡くなったんよー」
「「「「「「ええええーっ」」」」」
耳を押さえたくなるほどの、おばさん達の声が響いた。
「蔵を崩すのを依頼した山内さんとこのお父さん、蔵を崩す工事を請け負った工務店の社長さん。それと新居を建てるヤマタホームの担当者」
「それ、もしかして三瓶工務店!?」
「そうなんよ、社長さん近道しよう思うて山道抜けるときに、落石が車に当たったらしいよ。運転席は滅茶苦茶になっとったそうなけえ」
「やーや、急に亡くなったけ、びっくりしたんよねー」
「山内のお父さんは、夕方急に冷えて三河の橋が凍ってスリップしたらしいよ。欄干にぶつかって亡くなっとるし、ヤマタホームの人は、吊ってあった木材が強風でワイヤーが切れて頭に落ちて来たんと。……ほいで、結婚はだいぶ先に伸ばしちゃったんよね」
シーン、となった。
「ああ、わたしゃ今、さむイボが立ったわ」
「何言おるん、そりゃあ、鳥肌じゃろ」
そこで、皆んなが笑ったので、空気が緩んだ。
「やっぱり、蔵はいけんよねー、井戸も怖いけどねえ」
「ほんま、ほんま」
「怖いわー」
「そういやあ、井戸いうたら、どこかは分からんけどこっちの方で祟るいう井戸の話を聞いた事があるわ」
「だめだめ、やめんさい、私も子供の頃大人から聞いたけど、そりゃあ口にしてもよーない言われたよ」
「こわいねー。大昔の謂れでも、蔵を崩すんと同じでせんほうがいい言うことはせんのが一番よ」
※せんほうがいい(しない方がいい)
祟る井戸?それって何だろう、その時は何故だかそれが私の琴線に触れたのだった。
一瞬だったけど、頭の中に、暗く苔むした知らないはずの庭の様な風景が浮かんだのだ。
でも、ここで私が突然、「それってどんな話ですか?」なんて口をはさめる訳もない。
この辺りの人が知ってる話なら、家でお祖父ちゃんに聞くか、百家くんとこに聞けば分かるはずだ。
火事や災害に遭わない限り、神社には昔の記録が残っていると聞く。
気にはなったけど、ぐっと言葉を飲み込んだ。
百家くんには別の事も話があるし、後でメールで聞いてみよう。
「じゃあ、失礼します」
おばさん達に声をかけて休憩所を出ることにした。
「ああ、麻ちゃんお疲れ~。やっぱり若いもんはええよねえ。麻ちゃんが来てくれてからシャンシャン仕事がまわるけーええんよ」
「ありがとうございます。じゃあ、明日もよろしくお願いします」
「はいはーい」
おばちゃん達の元気な声に送られた。
「おつかれ」
パン屋の前で、お兄さんに声をかけられた。
「お先です、あの、」
ささっと周りを見回して、誰もこちらを注意している人もいなかったのでお兄さんの側に近寄った。
丁度、お客さんも居ないし、私がパンをよく買って食べているのを道の駅で働く知り合いは知っているので例え見ていたとしても気にする人はいないだろう。
「ん、パン買って帰る?」
トングとトレイを渡そうと思った様で、お兄さんはひょろりとした薄い身体で後ろを振り返る。
「じゃなくて、お兄さん、コレ、神社のお守りなんだけど。オサイフの中にでも入れて持ってて」
私は、半紙に包んだ護符をお兄さんに渡した。
「え?」
ちょっと挨拶するくらいの間柄になったからと言って、いきなりお守りもないだろうとは思ったけど、ずっと渡すチャンスを狙っていたのだ。それは今だ、今!
「お兄さん、痩せてるし……なんか、その、気になったから。えっと、変な宗教の勧誘じゃ無いよ。……百家さんの護符だから大丈夫!」
お兄さんは、呆気に取られた様になっていたけど、私がグイグイ押し付けた紙をそっと手にした。
「ありがとう……」
「う、うん。じゃ、じゃあね」
私は、丁度家の近くに停まるバスが来たのでバス停に向かった。振り返るとお兄さんがずっと見ていたので手を振った。するとお兄さんも手を少し振ってくれた。
バスに乗って、長い息をつく。これは、安堵のため息だ。
ため息を吐くと幸せが逃げる、なんていうけど、逆に身体には良いそうだ。
よし、とりあえず渡せた。
良かった……知らず入っていた肩の力を抜いて、座席の背もたれに身体を預けた。
昔から、『蔵を壊すと家が没落する』なんていう謂れがあり、街なかの駐車場にポツンと蔵が取り残されていたりする事がある。
これは、そういう事を信じているその家のお年寄りが蔵を壊すことに強く反対した為だろう。
蔵を壊すと云々言われる様になった理由については、昔は蔵に財産がある事が社会的地位を表す事もあり、それを壊すということは、財産が無くなった→没落に繋がったとの説を聞いた事がある。
近代では全く気にしない人もいるので、そんな事を気にせず蔵を壊す家もある。大抵は神社の神主さんにお祓いをしてもらい蔵を壊すことが多い様だ。
これは、解体清祓というらしい。井戸祓、樹木祓というように、物によりそのお祓いがある様だ。
お金をかける事を厭う人は、崩れかけてるんだから、簡単に壊せるという事で、ちょっと知り合いを頼ってパワーショベルで崩して貰うとか、そういう事をする人もいるみたい。
けれど気をつけないと、蔵は土壁で特殊な造りなので崩すには専門知識が必要になり、無知な者が手を着けると事故の元であったりする様だ。
まあ時代の流れもあって、何が良いとか悪いとか、一概に言えないのが実際の所だと思う。
そういう話は聞くことがあったけれど、これはアルバイト先の道の駅で働くおばさん達が昼休憩に話していた話だ。
平日は午前中まで野菜売り場で働いて、12時になると帰る挨拶をしてから昼食を食べて家に帰る。
昼食は職員関係者の休憩所や人が少ない平日だと外の空いているベンチでお弁当やパンを食べて帰るのだけど、パートで昼までのおばちゃん達も休憩室で一服して帰る。
「鹿谷村の山内さんの所が、半年くらい前に蔵を壊しんさったんよ。息子が嫁さん貰うんで古い蔵を壊してそこに新居を建てるいうてね」
「やあ、そりゃあ大変じゃ、年寄りは蔵を崩すん嫌うけえね。よう崩しんさったね」
「山内さんとこは、お爺さんも、お婆さんも早うに亡くなったけえ、反対するもんがおらんかったんよ」
「じゃあ、何も無かったん?」
「ほんまよ、大丈夫だったん?」
おばさん達が口々に同じような事を言っている。実にかしましい。
「それが、大丈夫じゃ無かったんよね」
話していたおばさんの声が一段低くなり、声をひそめる。
「なんかあったん!?」
「あった言うもんじゃないんよ、半年の間に、蔵を崩すのに関わった関係者が3人も亡くなったんよー」
「「「「「「ええええーっ」」」」」
耳を押さえたくなるほどの、おばさん達の声が響いた。
「蔵を崩すのを依頼した山内さんとこのお父さん、蔵を崩す工事を請け負った工務店の社長さん。それと新居を建てるヤマタホームの担当者」
「それ、もしかして三瓶工務店!?」
「そうなんよ、社長さん近道しよう思うて山道抜けるときに、落石が車に当たったらしいよ。運転席は滅茶苦茶になっとったそうなけえ」
「やーや、急に亡くなったけ、びっくりしたんよねー」
「山内のお父さんは、夕方急に冷えて三河の橋が凍ってスリップしたらしいよ。欄干にぶつかって亡くなっとるし、ヤマタホームの人は、吊ってあった木材が強風でワイヤーが切れて頭に落ちて来たんと。……ほいで、結婚はだいぶ先に伸ばしちゃったんよね」
シーン、となった。
「ああ、わたしゃ今、さむイボが立ったわ」
「何言おるん、そりゃあ、鳥肌じゃろ」
そこで、皆んなが笑ったので、空気が緩んだ。
「やっぱり、蔵はいけんよねー、井戸も怖いけどねえ」
「ほんま、ほんま」
「怖いわー」
「そういやあ、井戸いうたら、どこかは分からんけどこっちの方で祟るいう井戸の話を聞いた事があるわ」
「だめだめ、やめんさい、私も子供の頃大人から聞いたけど、そりゃあ口にしてもよーない言われたよ」
「こわいねー。大昔の謂れでも、蔵を崩すんと同じでせんほうがいい言うことはせんのが一番よ」
※せんほうがいい(しない方がいい)
祟る井戸?それって何だろう、その時は何故だかそれが私の琴線に触れたのだった。
一瞬だったけど、頭の中に、暗く苔むした知らないはずの庭の様な風景が浮かんだのだ。
でも、ここで私が突然、「それってどんな話ですか?」なんて口をはさめる訳もない。
この辺りの人が知ってる話なら、家でお祖父ちゃんに聞くか、百家くんとこに聞けば分かるはずだ。
火事や災害に遭わない限り、神社には昔の記録が残っていると聞く。
気にはなったけど、ぐっと言葉を飲み込んだ。
百家くんには別の事も話があるし、後でメールで聞いてみよう。
「じゃあ、失礼します」
おばさん達に声をかけて休憩所を出ることにした。
「ああ、麻ちゃんお疲れ~。やっぱり若いもんはええよねえ。麻ちゃんが来てくれてからシャンシャン仕事がまわるけーええんよ」
「ありがとうございます。じゃあ、明日もよろしくお願いします」
「はいはーい」
おばちゃん達の元気な声に送られた。
「おつかれ」
パン屋の前で、お兄さんに声をかけられた。
「お先です、あの、」
ささっと周りを見回して、誰もこちらを注意している人もいなかったのでお兄さんの側に近寄った。
丁度、お客さんも居ないし、私がパンをよく買って食べているのを道の駅で働く知り合いは知っているので例え見ていたとしても気にする人はいないだろう。
「ん、パン買って帰る?」
トングとトレイを渡そうと思った様で、お兄さんはひょろりとした薄い身体で後ろを振り返る。
「じゃなくて、お兄さん、コレ、神社のお守りなんだけど。オサイフの中にでも入れて持ってて」
私は、半紙に包んだ護符をお兄さんに渡した。
「え?」
ちょっと挨拶するくらいの間柄になったからと言って、いきなりお守りもないだろうとは思ったけど、ずっと渡すチャンスを狙っていたのだ。それは今だ、今!
「お兄さん、痩せてるし……なんか、その、気になったから。えっと、変な宗教の勧誘じゃ無いよ。……百家さんの護符だから大丈夫!」
お兄さんは、呆気に取られた様になっていたけど、私がグイグイ押し付けた紙をそっと手にした。
「ありがとう……」
「う、うん。じゃ、じゃあね」
私は、丁度家の近くに停まるバスが来たのでバス停に向かった。振り返るとお兄さんがずっと見ていたので手を振った。するとお兄さんも手を少し振ってくれた。
バスに乗って、長い息をつく。これは、安堵のため息だ。
ため息を吐くと幸せが逃げる、なんていうけど、逆に身体には良いそうだ。
よし、とりあえず渡せた。
良かった……知らず入っていた肩の力を抜いて、座席の背もたれに身体を預けた。
8
お気に入りに追加
116
あなたにおすすめの小説
私のドレスを奪った異母妹に、もう大事なものは奪わせない
文野多咲
恋愛
優月(ゆづき)が自宅屋敷に帰ると、異母妹が優月のウェディングドレスを試着していた。その日縫い上がったばかりで、優月もまだ袖を通していなかった。
使用人たちが「まるで、異母妹のためにあつらえたドレスのよう」と褒め称えており、優月の婚約者まで「異母妹の方が似合う」と褒めている。
優月が異母妹に「どうして勝手に着たの?」と訊けば「ちょっと着てみただけよ」と言う。
婚約者は「異母妹なんだから、ちょっとくらいいじゃないか」と言う。
「ちょっとじゃないわ。私はドレスを盗られたも同じよ!」と言えば、父の後妻は「悪気があったわけじゃないのに、心が狭い」と優月の頬をぶった。
優月は父親に婚約解消を願い出た。婚約者は父親が決めた相手で、優月にはもう彼を信頼できない。
父親に事情を説明すると、「大げさだなあ」と取り合わず、「優月は異母妹に嫉妬しているだけだ、婚約者には異母妹を褒めないように言っておく」と言われる。
嫉妬じゃないのに、どうしてわかってくれないの?
優月は父親をも信頼できなくなる。
婚約者は優月を手に入れるために、優月を襲おうとした。絶体絶命の優月の前に現れたのは、叔父だった。

【一話完結】断罪が予定されている卒業パーティーに欠席したら、みんな死んでしまいました
ツカノ
ファンタジー
とある国の王太子が、卒業パーティーの日に最愛のスワロー・アーチェリー男爵令嬢を虐げた婚約者のロビン・クック公爵令嬢を断罪し婚約破棄をしようとしたが、何故か公爵令嬢は現れない。これでは断罪どころか婚約破棄ができないと王太子が焦り始めた時、招かれざる客が現れる。そして、招かれざる客の登場により、彼らの運命は転がる石のように急転直下し、恐怖が始まったのだった。さて彼らの運命は、如何。

廃妃の再婚
束原ミヤコ
恋愛
伯爵家の令嬢としてうまれたフィアナは、母を亡くしてからというもの
父にも第二夫人にも、そして腹違いの妹にも邪険に扱われていた。
ある日フィアナは、川で倒れている青年を助ける。
それから四年後、フィアナの元に国王から結婚の申し込みがくる。
身分差を気にしながらも断ることができず、フィアナは王妃となった。
あの時助けた青年は、国王になっていたのである。
「君を永遠に愛する」と約束をした国王カトル・エスタニアは
結婚してすぐに辺境にて部族の反乱が起こり、平定戦に向かう。
帰還したカトルは、族長の娘であり『精霊の愛し子』と呼ばれている美しい女性イルサナを連れていた。
カトルはイルサナを寵愛しはじめる。
王城にて居場所を失ったフィアナは、聖騎士ユリシアスに下賜されることになる。
ユリシアスは先の戦いで怪我を負い、顔の半分を包帯で覆っている寡黙な男だった。
引け目を感じながらフィアナはユリシアスと過ごすことになる。
ユリシアスと過ごすうち、フィアナは彼と惹かれ合っていく。
だがユリシアスは何かを隠しているようだ。
それはカトルの抱える、真実だった──。

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

今日も学園食堂はゴタゴタしてますが、こっそり観賞しようとして本日も萎えてます。
柚ノ木 碧/柚木 彗
恋愛
駄目だこれ。
詰んでる。
そう悟った主人公10歳。
主人公は悟った。実家では無駄な事はしない。搾取父親の元を三男の兄と共に逃れて王都へ行き、乙女ゲームの舞台の学園の厨房に就職!これで予てより念願の世界をこっそりモブ以下らしく観賞しちゃえ!と思って居たのだけど…
何だか知ってる乙女ゲームの内容とは微妙に違う様で。あれ?何だか萎えるんだけど…
なろうにも掲載しております。

甘すぎるドクターへ。どうか手加減して下さい。
海咲雪
恋愛
その日、新幹線の隣の席に疲れて寝ている男性がいた。
ただそれだけのはずだったのに……その日、私の世界に甘さが加わった。
「案外、本当に君以外いないかも」
「いいの? こんな可愛いことされたら、本当にもう逃してあげられないけど」
「もう奏葉の許可なしに近づいたりしない。だから……近づく前に奏葉に聞くから、ちゃんと許可を出してね」
そのドクターの甘さは手加減を知らない。
【登場人物】
末永 奏葉[すえなが かなは]・・・25歳。普通の会社員。気を遣い過ぎてしまう性格。
恩田 時哉[おんだ ときや]・・・27歳。医者。奏葉をからかう時もあるのに、甘すぎる?
田代 有我[たしろ ゆうが]・・・25歳。奏葉の同期。テキトーな性格だが、奏葉の変化には鋭い?
【作者に医療知識はありません。恋愛小説として楽しんで頂ければ幸いです!】
ヤクザに医官はおりません
ユーリ(佐伯瑠璃)
ライト文芸
彼は私の知らない組織の人間でした
会社の飲み会の隣の席のグループが怪しい。
シャバだの、残弾なしだの、会話が物騒すぎる。刈り上げ、角刈り、丸刈り、眉毛シャキーン。
無駄にムキムキした体に、堅い言葉遣い。
反社会組織の集まりか!
ヤ◯ザに見初められたら逃げられない?
勘違いから始まる異文化交流のお話です。
※もちろんフィクションです。
小説家になろう、カクヨムに投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる