ブルーセーバーズ

天網 慶

文字の大きさ
上 下
3 / 8
ブルーセーバーズ第1幕

ナギ編1話 情報

しおりを挟む
 ここは惑星プルート。地球ではいまだ発見されていない未知の惑星である。ここには人間の10倍の身体能力を有する戦闘民族、プルート族が暮らしている。ある日、5歳のナギが郊外で親の農作業を手伝っていると、空に一筋の光が見えた。あれはなんだろう。そう思ったのも束の間、都市部が突然爆発した。

「ナギはここで待っていなさい!」ナギは親の言うことを信じて隠れて待っていた。だがいくら待っても親は帰ってこなかった。あれからどれくらい経ったかも分からない。ナギは痺れを切らして都市部に向かった。

 都市部はすでに半壊状態だった。人の気配がまったくしない。親を探し回っていると。誰かに話しかけられた。

「まだ仲間がいたか、ここは危険だ。早く立ち去りなさい。」ナギは声のする方を見ると、老人が立っていた。

「ここで何があったんですか?」ナギは恐る恐る聞いた。

「それは…。」

 老人が言い終わる前に何者かが老人を刺殺した。老人を刺したのはどこの惑星の住人かも分からない宇宙人だった。豚の顔に強靭な肉体。手には3つ又の槍を構えている。ナギはあまりの恐怖に逃げ出した。

「プルート族の子どもは美味いんだよなぁ。」そう言いながら宇宙人が迫ってくる。

 もう駄目だ。ナギがそう観念した時、誰かがナギを救った。ナギがメシアの顔を見ると、やはり見たことない宇宙人だった。顔は龍、何でも跳ね返しそうな強靭な肉体で、身長は5mは超えている。

「小僧、こんなところで何をしている?」

「お父さんとお母さんを探してるの。」ナギは泣きじゃくりながら喋った。

「…。ついてこい。」男はそう言い放ち、一人で歩き出した。ナギは他に行く当てもないので男について行くことにした。

「ここにお前の両親はいるか?」しばらく歩くとたくさんの死体が転がっている場所にたどり着いた。ナギは恐る恐る死体の顔を順番に見ていく。

 違う。違う。この人も違う。…。するとナギの足が止まる。

「父さん…。母さん…。」そこには両親がいた。ーーーー。



「少し落ち着いたか。」ナギは今まで泣き叫んでいたが、泣き止んできたところで男が話しかけた。

「俺はこの星中を見て回ったが、プルート族の生き残りはお前だけだ。お前はどこか行くあてはあるのか。」

 ナギは静かに顔を横に振る。

「なら俺と一緒に来い。お前を最高の戦士に育ててやる。」

「俺、両親を殺したやつを、この星をめちゃくちゃにしたやつを殺したい。だから俺を強くしてくれ。」

「ふっ。俺はゼータだ。よろしくな。」そう言ってゼータは異形の龍の顔から、普通の人間の顔になった。

「なんで顔を?」

「これが本当の俺の顔だ。ここに進入するために変装してたんだ。」

「俺はナギ。これからどこに?」

「どこだろうな…。」2人はともに闇に消えた…。



ー20年後ー

 俺の名前はナギ。20年前に滅ぼされたプルート族の最後の生き残りだ。両親の仇を取るためだけにこの20年間死に物狂いで修行してきた。

「おい、ナギ。次の仕事だ。」そう言ってきたのは俺のもう一人の親、ゼータだ。今俺たちは宇宙中から傭兵の依頼を受けてその報酬で生活をしている。

「次の仕事は、惑星カロンの王族の護衛だ。カロンは今ステュクスという惑星と戦争中らしい。2週間ほど護衛して欲しいらしい。」

「分かった、じゃあちょっくら行ってくるわ。」

「待て。カロンにはドラゴニア人の情報があるらしい。それも同時に探ってこい。」

(来た!!)俺は心の中でそう思った。ドラゴニア人とは俺の故郷を滅ぼした奴らのことだ。この20年間でそれしか情報がつかめず、肝心の奴らの居場所がどうしても分からなかった。今回、その情報が手に入るかもしれない。俺はさっそくカロン星に向かった。



 カロンでの任務は実に簡単だった。俺はもともと戦闘民族ということもあり、たいていはそこら辺のやつには負けない。ステュクス星の奴らも俺からしてみれば雑魚ばかりだった。2週間もここに拘束されるのは苦痛だったので、俺がカロンとステュクスの戦争を終わらせてやった。俺からすればどっちが勝とうが興味はないので、金払いが良い方を勝たせてやった。

「いや~、さすがはプルート族ですな。三大戦闘民族の名は伊達ではありませんな。」

 そう言ってカロンの王がおだててきた。この宇宙には戦闘民族と呼ばれる戦闘に優れた一族が3つ確認されている。三大戦闘民族とはその3つの一族のことで、プルート・ドラゴニア・ナキアヌの3つである。

「さて、これが今回の報酬です。本当にありがとうございました。そしてこちらの筒に我が国が有するドラゴニアの情報が入っています。」王はニコニコしながら渡してきた。

「ありがとうございます。では。」俺は無愛想に言って、城をでた。俺は一刻も早く情報が知りたかったのだ。

 城下町のカフェでゆっくり情報を見ようと筒を取り出した途端、何者かに筒が奪われた。筒を奪ったのは、奇妙なことに二足歩行で喋るネコだった。

「この筒は俺のもんだ!カカカ!」そう言ってネコ走り去った。走る時は4足歩行になるらしい。

「逃がすか!」俺はネコを追いかけた。なかなかすばっしこいネコだ。

 俺がネコを追っていると、誰かがネコを吹き飛ばした。

「離せ、汚らわしい動物が!この筒は私の物だ!」次は女が筒を持って走り出す。

「だから、それは俺のだって言ってるだろ!」俺は女にとびかかった。そこに例のネコも突っ込んでくる。殴ったり、蹴られたり、引っ掻かれたりもう滅茶苦茶だった。

「ま、待て!いったん落ち着こう。お前ら誰だ?俺はナギ。この国の王に雇われたんだよ。」

 俺がそう言うと、2人は攻撃の手を止めた。

「俺はジェット。ドラゴニアのヤツらをぶちのめすために情報がいるんだ。」

「ふん。私はカールよ。カール・メディ。私も分け合ってドラゴニアの情報が必要なの。」

「ジェット。俺もドラゴニアに故郷を奪われた。一緒に奴らをぶちのめさないか?」

「なんで俺がお前と…。」

「俺たちの利害は一致してる。どうだジェット、メディ。見返りはこの情報と今後手に入る情報、そして奴らを倒す協力だ。」

「まだお前を信用できない。まずはその情報を見せてもらってから決める。」

「私も同感だ。」

「じゃあ、俺が筒を開けるから同時に情報を見よう。」

 俺はそう言って筒を開けた。中には古い書物が入っていた。俺たちは3人で書物を読んだ。

 読んだ情報を要約すると、まずはカロン星の歴史が書かれていて、ドラゴニアと同盟関係を結んでいたこと。そしてドラゴニアの基地がカロン星のすぐ近くの惑星ケルベロスという星にあるということが書かれていた。

「お前らもう情報を持ってないんだろ。もう用済みだ。ありがとな。」ジェットがそう言ってライフルを構える。

「バカ言え。俺もドラゴニアと戦う。」俺の発言に対し、ジェットがニヤリと笑った。

「私も行く。ドラゴニアのさらなる情報のためにな。」そう言ってカールが二刀の刀を抜いた。



ー???-

「多分ナギがお前のところに行く。痛めつけていいが殺すなよ、シグマ。」とある男が誰かに電話をかける。

ーTo be continued ー
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

ダーウインズ

zaku
ファンタジー
科学vs魔法のバトル、異能力バトルのいいとこ取り、ぜひ読んで見てください

M.A.T 対魔法筋肉特殊奇襲部隊

海王星型惑星
ファンタジー
日本中のマッチョが集まるボディビル大会に挑んだ竹月 力(たけつきりき)。 しかし、竹月は最高のコンディションで挑んだにも関わらず、ライバルである内田垣内(うちだかいと)に敗れる。 自分の筋肉に自信を失った竹月だったが、大会後2人は謎の光に包まれ... 彼らは魔法が支配する世界に転送された。 見慣れない街、人々、文化、そして筋肉。 戸惑う2人は王国突如招集を受け、魔王軍の進軍に抗う為の特殊部隊に配属される。 そこには筋骨隆々のゴリ、細、ソフト、ガリ、様々なマッチョで溢れかえっていた。 部隊の名は「対魔法筋肉特殊奇襲部隊」 (anti-Magic muscle special Assault Team) 通称M.A.T。 魔力がすべてのこの世界で己の肉体のみで戦う超特殊な部隊だった。

孕ませねばならん ~イケメン執事の監禁セックス~

あさとよる
恋愛
傷モノになれば、この婚約は無くなるはずだ。 最愛のお嬢様が嫁ぐのを阻止? 過保護イケメン執事の執着H♡

めちゃくちゃ強い100歳

めかぶ
キャラ文芸
ある出来事を機にめちゃくちゃ強くなった男、長命スギル。めちゃくちゃ強くなった彼の老後は、平凡か?はたまた波乱か? ※小説家になろうでも投稿しています。

パラレル宇宙の科学全能と無敵魔法のバタリヤ

Astro MIRAIX Galaxy
SF
科学万能銀河宇宙【マシーナ・コスモス】と無敵魔法銀河宇宙【ソーサリー・コスモス】 二極並行【パラレル】宇宙の物語 https://www.amazon.co.jp/-/en/dp/B09SPGYD14 (2 キンドル電子書籍発売中!本編はこちらから…!)            【魔法コスモス】 南の灼熱トロピカル宇宙  女性型生物や女の子だけの世界  フランス スイス風YURI(GL)  ロロリン・スピカ 幼女4歳 が統率する             V.S. 【科学コスモス】 北の極寒氷河宇宙  アグレッシブな男だけの世界  ロシア エジプト風BL 統率破壊司令:マーシャル・K・エスカドレン 20歳! 最終的に謎の???に勝利するのは、 科学か、魔法か、はたまた…!??? ©MIRAIX All rights Reserved.

パラレヌ・ワールド

羽川明
ファンタジー
「……は? ……宇宙人? そんなの、――――そこらじゅうにいるじゃん」 太陽系戦争に敗北した地球は、太陽系共有の植民地となり、姿も形も区別のつかない人型エイリアンたちで溢れ返っていた―――― 〝黒い〟地球人にして高校生の主人公、カズマは人口流星群の降る日、親友にして月星人のゲンタから、〝星の力〟を持たない〝黒い異星人〟の噂を耳にし、その異星人が現れるという三つ子山にて、彗星人のトモカと出会う。それをきっかけに学内でも友達を増やしていくカズマ。 気づけば美少女異星人たちとのハーレム生活が始まっていて――――!? 「――――探せ。宇宙を統べる、緑の帝王を」  宇宙を否定した地球人と、すべてを肯定した異星人たちの物語。  七人の異星人たちが集う時、誰も予想だにしなかった真実が明かされる―――― 学園宇宙SFハーレム、ここに開幕!! ―――――――――――――――――――――――――――――――― ツイッターを開設しました。質問、小説の相談など、お気軽にどうぞ↓ http://twitter.com/@akira_zensyu

地球はヤバかったby宇宙人

音無威人
SF
数多の星を侵略した宇宙人たちは、次の標的として地球を選んだ。彼ら宇宙人はいつものように地球を侵略するつもりだった。 そう――奴らと出会うまでは! 侵略者の宇宙人に迫る絶対絶命の危機! 地球でいったい何が起こったというのか? これは宇宙人の視点から見た地球侵略の物語。 新感覚のSFパニック、ここに誕生(?) ※残虐な描写があるため、念のためR15にしています ※小説家になろう、ノベルアッププラスにも掲載しています

忘却の艦隊

KeyBow
SF
新設された超弩級砲艦を旗艦とし新造艦と老朽艦の入れ替え任務に就いていたが、駐留基地に入るには数が多く、月の1つにて物資と人員の入れ替えを行っていた。 大型輸送艦は工作艦を兼ねた。 総勢250艦の航宙艦は退役艦が110艦、入れ替え用が同数。 残り30艦は増強に伴い新規配備される艦だった。 輸送任務の最先任士官は大佐。 新造砲艦の設計にも関わり、旗艦の引き渡しのついでに他の艦の指揮も執り行っていた。 本来艦隊の指揮は少将以上だが、輸送任務の為、設計に関わった大佐が任命された。    他に星系防衛の指揮官として少将と、退役間近の大将とその副官や副長が視察の為便乗していた。 公安に近い監査だった。 しかし、この2名とその側近はこの艦隊及び駐留艦隊の指揮系統から外れている。 そんな人員の載せ替えが半分ほど行われた時に中緊急警報が鳴り、ライナン星系第3惑星より緊急の救援要請が入る。 機転を利かせ砲艦で敵の大半を仕留めるも、苦し紛れに敵は主系列星を人口ブラックホールにしてしまった。 完全にブラックホールに成長し、その重力から逃れられないようになるまで数分しか猶予が無かった。 意図しない戦闘の影響から士気はだだ下がり。そのブラックホールから逃れる為、禁止されている重力ジャンプを敢行する。 恒星から近い距離では禁止されているし、システム的にも不可だった。 なんとか制限内に解除し、重力ジャンプを敢行した。 しかし、禁止されているその理由通りの状況に陥った。 艦隊ごとセットした座標からズレ、恒星から数光年離れた所にジャンプし【ワープのような架空の移動方法】、再び重力ジャンプ可能な所まで移動するのに33年程掛かる。 そんな中忘れ去られた艦隊が33年の月日の後、本星へと帰還を目指す。 果たして彼らは帰還できるのか? 帰還出来たとして彼らに待ち受ける運命は?

処理中です...