例え何度戻ろうとも僕は悪役だ…

東間

文字の大きさ
上 下
39 / 67
留木原 夜という人間

【快楽】

しおりを挟む
「る、い…?」

「…ろき、さま」

震えた声で答える。
今のロキ様は"別の人"かもしれない。

「…………よ、る?」

「ッ」

ロキ様が僕の前世の名前を呼ぶと同時に微笑む。
それが怖くてしかたない。

(反応してはダメだ反応してはダメだ)

「だ、れですか?」

僕はいつも通り微笑んだ。
恐怖で震えながらも。

「……?る…い?よ…る、る?……こ、こっちきてて?」

ロキ様は変わらず微笑んでいる。
だけどおかしい。怖い。

「どうした?」

キリエ様が様子を伺いに僕達を見る。

(ダメだ…零ならキリエ様が危ないっ!)

「だ、大丈夫で…す。」

どうにかして捻り出した声は自分でも驚くほど小さかった。

今までルイ・カロアスをしてきて怖い経験は数えきれないほどしてきた。
でも、殺された時の事が…いつまでもいつまでもいつまでもっ…忘れられない。

「……ロキ様。ルイ・カロアスの魔力が乱れています。
危険ですので下がらせます。」

「だ、だめだ。ゆゆるさない。」

「………ロキ様。ルイ・カロアスは危険ですので下がらせます。」

キリエ様が険しい顔をする。その位今の状態は変だ。

「キリエさ…おい、どうしてあぁなった」

「…スクエア公爵に誘われ神殿へ向かっている最中にロキ様が倒れられました。」

「…神殿」
    
まさか…神の介入…?

「ロ…キ、さま」

僕はロキ様に近づく。
恐らく今のロキ様は記憶が混濁しているのだ。

僕もルイ・カロアスになった時、元の人格と混濁していた様な事があった。
だが暫くしてルイ・カロアスの人格が消え、僕が体の主となっていた。
このままいけばロキ様は消え、零が現れるだろう。

ロキ様を零にあげる訳にはいかない。

「ロキ様」

「よ、るる、る?る、る?い?」

「私の名はルイ・カロアス。
公爵爵位を授かりしカロアス家嫡男、ルイ・カロアスです。
そして貴方は同じく公爵爵位を授かりしスクエア家嫡男、ロキ・スクエア様でございます。」

「??ろ、きき??お、れ?は?」

僕は震えた手でロキ様の顔を包む。

「起きてくださいロキ様…早く遊びましょう」

「ろ、れ?」

「ロキ様」

僕はロキ様に語り続ける。

(…これ以上僕から奪わないで…零)

「る、い。ル…イ」

ロキ様が僕を抱き締める。

このままいけばロキ様が戻ってくるかもしれない。

「何をしている。スクエア」

「!?ロイス!?」

僕はロイスに引っ張られロイスの腕の中にいた。

(なぜロイスがここに?いや、それより…)

「る…い…」

ロキ様が僕に手を伸ばすので僕も伸ばす。

「離れろ…命令だ、スクエア公爵」

「すく、えあ?」

「貴方はロキ・スクエアです。」

「ロ、キ…すく、えあ」

ロキ様の瞳が以前の様な美しく残酷な赤に戻ってきている。

後一押し!

「…ルイ」

「はい?」

僕はロイスに呼ばれたので条件反射で返事をする。

「!?ッ…ふァ…ン…ァ…」

ロイスが僕にキスをして魔力を抜く。

背中がゾクゾクする快楽に僕はつい恥ずかしい声をあげてしまう。

「ル…い…ル、イ…」

「ゃ…ぁン…」

まだ精通していない下半身を無意識にロイスに擦りつける。

「ッルイ」

ロイスが嬉しそうな顔をして魔力を抜くスピードをあげる。

(ダメだ…気持ち良すぎて…もう…)

「あぁ…ッ…!ぃや…だ、んン!?みないっでぇ…ン」

自身の喘ぎ声を恥てボリュームを押さえていたが、強い快楽が与えられ、視界がチカチカして真っ白になる事で声の制御が不可能になりつつあった。

(なにかきちゃう…)

そう思った時には遅かった。

「や"っあ!~~~~~っ!!!」

僕は体を弓なりに反らせてイッた。

射精できない性で快楽が体から逃げず、何度ももたらされる"それ"を僕はただただ受け入れる事しかできなかった。

そうしている内に僕は気絶した。
しおりを挟む
感想 7

あなたにおすすめの小説

前世である母国の召喚に巻き込まれた俺

るい
BL
 国の為に戦い、親友と言える者の前で死んだ前世の記憶があった俺は今世で今日も可愛い女の子を口説いていた。しかし何故か気が付けば、前世の母国にその女の子と召喚される。久しぶりの母国に驚くもどうやら俺はお呼びでない者のようで扱いに困った国の者は騎士の方へ面倒を投げた。俺は思った。そう、前世の職場に俺は舞い戻っている。

その男、有能につき……

大和撫子
BL
 俺はその日最高に落ち込んでいた。このまま死んで異世界に転生。チート能力を手に入れて最高にリア充な人生を……なんてことが現実に起こる筈もなく。奇しくもその日は俺の二十歳の誕生日だった。初めて飲む酒はヤケ酒で。簡単に酒に呑まれちまった俺はフラフラと渋谷の繁華街を彷徨い歩いた。ふと気づいたら、全く知らない路地(?)に立っていたんだ。そうだな、辺りの建物や雰囲気でいったら……ビクトリア調時代風? て、まさかなぁ。俺、さっきいつもの道を歩いていた筈だよな? どこだよ、ここ。酔いつぶれて寝ちまったのか? 「君、どうかしたのかい?」  その時、背後にフルートみたいに澄んだ柔らかい声が響いた。突然、そう話しかけてくる声に振り向いた。そこにいたのは……。  黄金の髪、真珠の肌、ピンクサファイアの唇、そして光の加減によって深紅からロイヤルブルーに変化する瞳を持った、まるで全身が宝石で出来ているような超絶美形男子だった。えーと、確か電気の光と太陽光で色が変わって見える宝石、あったような……。後で聞いたら、そんな風に光によって赤から青に変化する宝石は『ベキリーブルーガーネット』と言うらしい。何でも、翠から赤に変化するアレキサンドライトよりも非常に希少な代物だそうだ。  彼は|Radius《ラディウス》~ラテン語で「光源」の意味を持つ、|Eternal《エターナル》王家の次男らしい。何だか分からない内に彼に気に入られた俺は、エターナル王家第二王子の専属侍従として仕える事になっちまったんだ! しかもゆくゆくは執事になって欲しいんだとか。  だけど彼は第二王子。専属についている秘書を始め護衛役や美容師、マッサージ師などなど。数多く王子と密に接する男たちは沢山いる。そんな訳で、まずは見習いから、と彼らの指導のもと、仕事を覚えていく訳だけど……。皆、王子の寵愛を独占しようと日々蹴落としあって熾烈な争いは日常茶飯事だった。そんな中、得体の知れない俺が王子直々で専属侍従にする、なんていうもんだから、そいつらから様々な嫌がらせを受けたりするようになっちまって。それは日増しにエスカレートしていく。  大丈夫か? こんな「ムササビの五能」な俺……果たしてこのまま皇子の寵愛を受け続ける事が出来るんだろうか?  更には、第一王子も登場。まるで第二王子に対抗するかのように俺を引き抜こうとしてみたり、波乱の予感しかしない。どうなる? 俺?!

この僕が、いろんな人に詰め寄られまくって困ってます!〜まだ無自覚編〜

小屋瀬 千風
BL
〜まだ無自覚編〜のあらすじ アニメ・漫画ヲタクの主人公、薄井 凌(うすい りょう)と、幼なじみの金持ち息子の悠斗(ゆうと)、ストーカー気質の天才少年の遊佐(ゆさ)。そしていつもだるーんとしてる担任の幸崎(さいざき)teacher。 主にこれらのメンバーで構成される相関図激ヤバ案件のBL物語。 他にも天才遊佐の事が好きな科学者だったり、悠斗Loveの悠斗の実の兄だったりと個性豊かな人達が出てくるよ☆ 〜自覚編〜 のあらすじ(書く予定) アニメ・漫画をこよなく愛し、スポーツ万能、頭も良い、ヲタク男子&陽キャな主人公、薄井 凌(うすい りょう)には、とある悩みがある。 それは、何人かの同性の人たちに好意を寄せられていることに気づいてしまったからである。 ーーーーーーーーーーーーーーーーー 【超重要】 ☆まず、主人公が各キャラからの好意を自覚するまでの間、結構な文字数がかかると思います。(まぁ、「自覚する前」ということを踏まえて呼んでくだせぇ) また、自覚した後、今まで通りの頻度で物語を書くかどうかは気分次第です。(だって書くの疲れるんだもん) ですので、それでもいいよって方や、気長に待つよって方、どうぞどうぞ、読んでってくだせぇな! (まぁ「長編」設定してますもん。) ・女性キャラが出てくることがありますが、主人公との恋愛には発展しません。 ・突然そういうシーンが出てくることがあります。ご了承ください。 ・気分にもよりますが、3日に1回は新しい話を更新します(3日以内に投稿されない場合もあります。まぁ、そこは善処します。(その時はまた近況ボード等でお知らせすると思います。))。

無自覚主人公の物語

裏道
BL
トラックにひかれて異世界転生!無自覚主人公の話

それ以上近づかないでください。

ぽぽ
BL
「誰がお前のことなんか好きになると思うの?」 地味で冴えない小鳥遊凪は、ずっと憧れていた蓮見馨に勢いで告白してしまう。 するとまさかのOK。夢みたいな日々が始まった……はずだった。 だけど、ある出来事をきっかけに二人の関係はあっけなく終わる。 過去を忘れるために転校した凪は、もう二度と馨と会うことはないと思っていた。 ところが、ひょんなことから再会してしまう。 しかも、久しぶりに会った馨はどこか様子が違っていた。 「今度は、もう離さないから」 「お願いだから、僕にもう近づかないで…」

花屋の息子

きの
BL
ひょんなことから異世界転移してしまった、至って普通の男子高校生、橘伊織。 森の中を一人彷徨っていると運良く優しい夫婦に出会い、ひとまずその世界で過ごしていくことにするが___? 瞳を見て相手の感情がわかる能力を持つ、普段は冷静沈着無愛想だけど受けにだけ甘くて溺愛な攻め×至って普通の男子高校生な受け の、お話です。 不定期更新。大体一週間間隔のつもりです。 攻めが出てくるまでちょっとかかります。

兄たちが弟を可愛がりすぎです

クロユキ
BL
俺が風邪で寝ていた目が覚めたら異世界!? メイド、王子って、俺も王子!? おっと、俺の自己紹介忘れてた!俺の、名前は坂田春人高校二年、別世界にウィル王子の身体に入っていたんだ!兄王子に振り回されて、俺大丈夫か?! 涙脆く可愛い系に弱い春人の兄王子達に振り回され護衛騎士に迫って慌てていっもハラハラドキドキたまにはバカな事を言ったりとしている主人公春人の話を楽しんでくれたら嬉しいです。 1日の話しが長い物語です。 誤字脱字には気をつけてはいますが、余り気にしないよ~と言う方がいましたら嬉しいです。

俺、転生したら社畜メンタルのまま超絶イケメンになってた件~転生したのに、恋愛難易度はなぜかハードモード

中岡 始
BL
ブラック企業の激務で過労死した40歳の社畜・藤堂悠真。 目を覚ますと、高校2年生の自分に転生していた。 しかも、鏡に映ったのは芸能人レベルの超絶イケメン。 転入初日から女子たちに囲まれ、学園中の話題の的に。 だが、社畜思考が抜けず**「これはマーケティング施策か?」**と疑うばかり。 そして、モテすぎて業務過多状態に陥る。 弁当争奪戦、放課後のデート攻勢…悠真の平穏は完全に崩壊。 そんな中、唯一冷静な男・藤崎颯斗の存在に救われる。 颯斗はやたらと落ち着いていて、悠真をさりげなくフォローする。 「お前といると、楽だ」 次第に悠真の中で、彼の存在が大きくなっていき――。 「お前、俺から逃げるな」 颯斗の言葉に、悠真の心は大きく揺れ動く。 転生×学園ラブコメ×じわじわ迫る恋。 これは、悠真が「本当に選ぶべきもの」を見つける物語。

処理中です...