30 / 67
【とある獣人】
しおりを挟む
「戻りました」
「どうだった?」
主である皇子が歴史書物を見ながら聞く。
主は最近敵国マロス大帝国が気になっている様だ。
以前は心配になるレベルで興味を示していなかった。
だから良い傾向だと思う。
「使用人の話を聞く限り、魔力が多く見目が麗しいただの凡人、という印象でした」
私はカロアス公爵の子供の印象を伝える。
あの年齢で精神が不安定なのは家の風習からくるものだろう。
主も以前は年齢に合う思考・行動だった。
だが皇帝による英才教育により変わってしまわれた。
「そうなんだ?まぁしばらく観察しててよ」
「畏まりました」
私は主に頭を下げ、再びカロアス公爵邸へ転移石で移動した。
「あーーーー!」
移動した先でカロアス公爵の子供のお世話係である執事が壁を殴っていた。
使用人も異常。主も異常。その上、上司になった人間も異常。
この世は異常人ばかりか。
私は深いため息をつき執事に話しかける。
「どうしました?」
「坊っちゃまが家出したのですよ!」
「家出?」
公爵の子供は魔力のコントロールができない、と聞いた。
そんな状態で家出?魔力暴走が起きたらどうするんだ?
それとも誘拐か?第一級魔力保持者は禁忌術の生贄に最適だ。
第一級を産み出すのも高位保持者同時を番にすれば良い。
『危険があったら回避させる様にね』
カロアス公爵の子供について唯一注意された事だ。
主はカロアス公爵の子供に興味がある。
「私も探しますよ」
「ありがとうございます。助かります」
「では私は市民街を探してきます。セバス様は念の為邸をもう一度お探し下さい」
「…そうですね。その方が早く見つかります」
そう言って執事は去った。
「……」
あの執事は私の正体…種族に気がついているかも知れない。
『ミスしたら捨てるからね』
「私はまだ死ねない」
(だから貴方には生きていて貰わなければ。)
私は獣の耳を出す。私は獣人種狼族だ。
そして特殊魔法が使える。
「ルイ・カロアスはどこだ…」
特殊魔法を使い可能範囲内に入る音や声を聞く。
「ッ!」
様々な声が聞こえ酷い頭痛が襲ってくる。
(早くしなければ)
使い過ぎると死んでしまう…。
私は苦痛を我慢しながら探す。
『ルトス、フィアは、私の??物だ??』
「居た」
公爵の子供は何の因果かスクエア公爵邸に居た。
私はいつの間にか出ていた鼻血を拭き執事の元へ向かう。
(スクエア公爵の人間には会いたくない)
私はカロアス公爵、そしてスクエア公爵とも縁がある。
祖母がカロアス公爵の子供の使用人であった。
そしてスクエア公爵に見初められ愛人になった。
身籠った祖母はスクエア公爵に捨てられ、レイオスド王国へ移住した。
そして娘である私の母は浪費家になってしまった祖母の借金の性で奴隷になり、獣人達の玩具になった。
そして私が産まれた。
戦闘奴隷であった私を買ってくれた主には感謝しかない。
ただ異常な方なので尊敬はできない。
仮の主でもカロアス公爵の子供はまともである事を祈る。
***
「貴様。スラム街で一人誘拐してこい」
どうやら私の周りは異常者が集まるらしい。
「どうだった?」
主である皇子が歴史書物を見ながら聞く。
主は最近敵国マロス大帝国が気になっている様だ。
以前は心配になるレベルで興味を示していなかった。
だから良い傾向だと思う。
「使用人の話を聞く限り、魔力が多く見目が麗しいただの凡人、という印象でした」
私はカロアス公爵の子供の印象を伝える。
あの年齢で精神が不安定なのは家の風習からくるものだろう。
主も以前は年齢に合う思考・行動だった。
だが皇帝による英才教育により変わってしまわれた。
「そうなんだ?まぁしばらく観察しててよ」
「畏まりました」
私は主に頭を下げ、再びカロアス公爵邸へ転移石で移動した。
「あーーーー!」
移動した先でカロアス公爵の子供のお世話係である執事が壁を殴っていた。
使用人も異常。主も異常。その上、上司になった人間も異常。
この世は異常人ばかりか。
私は深いため息をつき執事に話しかける。
「どうしました?」
「坊っちゃまが家出したのですよ!」
「家出?」
公爵の子供は魔力のコントロールができない、と聞いた。
そんな状態で家出?魔力暴走が起きたらどうするんだ?
それとも誘拐か?第一級魔力保持者は禁忌術の生贄に最適だ。
第一級を産み出すのも高位保持者同時を番にすれば良い。
『危険があったら回避させる様にね』
カロアス公爵の子供について唯一注意された事だ。
主はカロアス公爵の子供に興味がある。
「私も探しますよ」
「ありがとうございます。助かります」
「では私は市民街を探してきます。セバス様は念の為邸をもう一度お探し下さい」
「…そうですね。その方が早く見つかります」
そう言って執事は去った。
「……」
あの執事は私の正体…種族に気がついているかも知れない。
『ミスしたら捨てるからね』
「私はまだ死ねない」
(だから貴方には生きていて貰わなければ。)
私は獣の耳を出す。私は獣人種狼族だ。
そして特殊魔法が使える。
「ルイ・カロアスはどこだ…」
特殊魔法を使い可能範囲内に入る音や声を聞く。
「ッ!」
様々な声が聞こえ酷い頭痛が襲ってくる。
(早くしなければ)
使い過ぎると死んでしまう…。
私は苦痛を我慢しながら探す。
『ルトス、フィアは、私の??物だ??』
「居た」
公爵の子供は何の因果かスクエア公爵邸に居た。
私はいつの間にか出ていた鼻血を拭き執事の元へ向かう。
(スクエア公爵の人間には会いたくない)
私はカロアス公爵、そしてスクエア公爵とも縁がある。
祖母がカロアス公爵の子供の使用人であった。
そしてスクエア公爵に見初められ愛人になった。
身籠った祖母はスクエア公爵に捨てられ、レイオスド王国へ移住した。
そして娘である私の母は浪費家になってしまった祖母の借金の性で奴隷になり、獣人達の玩具になった。
そして私が産まれた。
戦闘奴隷であった私を買ってくれた主には感謝しかない。
ただ異常な方なので尊敬はできない。
仮の主でもカロアス公爵の子供はまともである事を祈る。
***
「貴様。スラム街で一人誘拐してこい」
どうやら私の周りは異常者が集まるらしい。
0
お気に入りに追加
325
あなたにおすすめの小説
前世である母国の召喚に巻き込まれた俺
るい
BL
国の為に戦い、親友と言える者の前で死んだ前世の記憶があった俺は今世で今日も可愛い女の子を口説いていた。しかし何故か気が付けば、前世の母国にその女の子と召喚される。久しぶりの母国に驚くもどうやら俺はお呼びでない者のようで扱いに困った国の者は騎士の方へ面倒を投げた。俺は思った。そう、前世の職場に俺は舞い戻っている。
嫌われ者の僕が学園を去る話
おこげ茶
BL
嫌われ者の男の子が学園を去って生活していく話です。
一旦ものすごく不幸にしたかったのですがあんまなってないかもです…。
最終的にはハピエンの予定です。
Rは書けるかわからなくて入れるか迷っているので今のところなしにしておきます。
↓↓↓
微妙なやつのタイトルに※つけておくので苦手な方は自衛お願いします。
設定ガバガバです。なんでも許せる方向け。
不定期更新です。(目標週1)
勝手もわかっていない超初心者が書いた拙い文章ですが、楽しんでいただければ幸いです。
誤字などがありましたらふわふわ言葉で教えて欲しいです。爆速で修正します。
傷だらけの僕は空をみる
猫谷 一禾
BL
傷を負った少年は日々をただ淡々と暮らしていく。
生を終えるまで、時を過ぎるのを暗い瞳で過ごす。
諦めた雰囲気の少年に声をかける男は軽い雰囲気の騎士団副団長。
身体と心に傷を負った少年が愛を知り、愛に満たされた幸せを掴むまでの物語。
ハッピーエンドです。
若干の胸くそが出てきます。
ちょっと痛い表現出てくるかもです。
なぜか第三王子と結婚することになりました
鳳来 悠
BL
第三王子が婚約破棄したらしい。そしておれに急に婚約話がやってきた。……そこまではいい。しかし何でその相手が王子なの!?会ったことなんて数えるほどしか───って、え、おれもよく知ってるやつ?身分偽ってたぁ!?
こうして結婚せざるを得ない状況になりました…………。
金髪碧眼王子様×黒髪無自覚美人です
ハッピーエンドにするつもり
長編とありますが、あまり長くはならないようにする予定です
影の薄い悪役に転生してしまった僕と大食らい竜公爵様
佐藤 あまり
BL
猫を助けて事故にあい、好きな小説の過去編に出てくる、罪を着せられ処刑される悪役に転生してしまった琉依。
実は猫は神様で、神が死に介入したことで、魂が消えかけていた。
そして急な転生によって前世の事故の状態を一部引き継いでしまったそうで……3日に1度吐血って、本当ですか神様っ
さらには琉依の言動から周りはある死に至る呪いにかかっていると思い━━
前途多難な異世界生活が幕をあける!
※竜公爵とありますが、顔が竜とかそういう感じては無いです。人型です。
聖女の兄で、すみません!
たっぷりチョコ
BL
聖女として呼ばれた妹の代わりに異世界に召喚されてしまった、古河大矢(こがだいや)。
三ヶ月経たないと元の場所に還れないと言われ、素直に待つことに。
そんな暇してる大矢に興味を持った次期国王となる第一王子が話しかけてきて・・・。
BL。ラブコメ異世界ファンタジー。
地味で冴えない俺の最高なポディション。
どらやき
BL
前髪は目までかかり、身長は160cm台。
オマケに丸い伊達メガネ。
高校2年生になった今でも俺は立派な陰キャとしてクラスの片隅にいる。
そして、今日も相変わらずクラスのイケメン男子達は尊い。
あぁ。やばい。イケメン×イケメンって最高。
俺のポディションは片隅に限るな。
R指定はないけれど、なんでかゲームの攻略対象者になってしまったのだが(しかもBL)
黒崎由希
BL
目覚めたら、姉にゴリ推しされたBLゲームの世界に転生してた。
しかも人気キャラの王子様って…どういうことっ?
✻✻✻✻✻✻✻✻✻✻✻✻
…ええっと…
もう、アレです。 タイトル通りの内容ですので、ぬるっとご覧いただけましたら幸いです。m(_ _)m
.
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる