例え何度戻ろうとも僕は悪役だ…

東間

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【有能で優秀な執事】

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「家出しよう」

僕は家出をする事にした。

でなければ魔力暴走イベントが発動できない。
本来ならば当主(父)の許可を得てロキ様に会いに行った僕は魔力を暴走させてしまう。
その時キリエ様とセバスは大怪我後にセバスは退職。 
ロキ様を失ったキリエ様は僕の事を恨みながら学園に入学する。
そこでキリエ様はヒロインにハンカチを拾ってもらい、一目惚れする。
で、ヒロインが虐められキリエ様が助ける事で仲が進展。
そしてヒロインだけの能力【ルトスフィア】を欲したカロアス公爵家がヒロインを誘拐。
ラストにキリエ様がロイスの協力を得て、僕や公爵を殺害。

ロイス…なんかボク専用の死神みたいだな。

専用…何か良い響きだな。

と、とにかく!!

「その為には…」

セバスの監視を逃れ、手錠を外し、あの子を喚ばなくてはいけない。

「セバス」

「嫌ですよ」



「何も言ってないぞ」

セバスは扉の前でずーーーーっと立っている。
他に仕事はないのか?暇なのか?

「紅茶が飲みたい」

「……少々お待ち下さい」

ふふ簡単だったな!よしこれで何とk

「用意しました」



セバスが扉から出て数秒しかたってない。
なに?時空を操れるの?



「…は、早いな」

「この時間帯坊っちゃまは必ず水分補給をなされます。ですから遠隔操作魔法で準備をしていました」

あぁそうだった。
セバスが消えてから長い年月を過ごしていたから記憶が美化されていた。

セバスは度を超えた過保護だった(そして優秀な魔法使いだった)。

「き、今日はお菓子も食べる!」

「何をご用意いたしましょうか?」

ここは難関な所を言って困らせた方が良いな

「王宮御用達ローズハルト店のショウトケーキ」

「持って参りますね」

「と!貴族御用達ヨーゼルフ店の人気プチマカロン」

「持って参りますね」

……

「と!貴族御用達シザーグラ店の伝統バタークッキー」

「持って参りますね」

何であるの!?

変だ。カロアス家は全員甘い物嫌いでそういうお菓子は注文していない。
しかもどれも人気で予約してもすぐには届かない。
なのに何であるの!?

今から用意する…んだよね?信じるぞセバス!

「なら持ってこい」

「少々お待ち下さい」

セバスが扉から去る。

よし今だ!今しかチャンスはない!

僕は急いでベットから出た。

「お持ちいたしました」

そしてベットに入った。

「………」

「………坊っちゃま。いかがなさいました?」

「何でもない」

セバスが疑問に思うのも仕方ない。だってベットにダイブした状態だからな、今。

僕はゴホンッと咳払いをしてセバスを見た。

「なぜ我が家にその様な物がある?」

「?来客用ですが?」

………

「そうか」

この家に来るのは慈悲を乞う貴族・市民か悪事仲間の貴族ぐらいだ。

悪事仲間の貴族に甘党がいたのだろう。
恨むぞ、どこかの誰かの悪事仲間の甘党貴族!
















***



何度声を出しても誰にも聞こえない。
早くあの子を…誰でも良いからあの子を救ってくれ。

また間違ってしまう前に。

「頼む…誰でも良いからッ!」

神は代償を支払っても運命は変えられないと言う。
だから、代償を支払って運命を新たに作った。

「頼む…気づいてくれ…失ってしまう前に…」

また複数の黒い手が俺を包む。

怖くはない。

これは代償だからだ。

俺は深い暗闇に飲み込まれる。

また見せられるのだろう…あの絶望を。

「頼む…気づいてくれ…あの子を…」

救ってくれ。









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