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【大切な大切な幼馴染み】

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《一日目》

「ルイ。おはよう」

「………」

ルイは天井をただ見つめるだけだった。
やはり薬の効果が切れ始めているのだろう。

「もう、辞めた方が良いのでは?」

セバスがルイを見ながら言う。
だが辞める訳にはいかない。

「今辞めたとしてもルイは納得しない。」

多少は痛い思いをしないと、ルイは諦めないだろう。

「ルイ。」

(頑張れ)

俺は安心させる為にルイの額を撫でた。
驚いて此方を見る瞳が、恐怖を訴えていた。

だが……

「!?おはよう!」

ルイが元気よく返事をする。これはこれで新鮮だ。


《二日目》

「おはよう」

「???」

ルイは俺が誰か分からないようだ。

額を触ったら体が震えていた。

その様子に心が傷んだがまだ、ルイは諦めないだろう。


《三日目》

セバスが泣きながらもう辞める様言って来た。
部屋に入ってみるとルイの口に革靴が入っていた。

聞いてみると舌を噛もうとしたらしい。
セバスの手に包帯がしてあった。恐らくセバスが止めたのだろう。


《四日目》

「…ロキ様。失礼ながら申し上げますが…もうお辞めになった方が宜しいかと。このままですと自我が崩壊する恐れがあります。」

キリエが珍しく俺に意見した。だが、それは出来ない。

ずっと一緒に居たから知ってる。
ルイはぎりぎりまで追い詰めないと、また挑戦する。


《五日目》

「ロイスを幸せにするんだ!僕が死ねば幸せだ!!!」

「ロイス…第一王子の事でしょうか?」

セバスが唸りながら考え込む。
ロイス・アギスト・マロス第一殿下。
ルイと同じ力を持つ、人間。

「ロイス殿下と会った事があるのですか?」

キリエがセバスに聞く。

セバスは無い、と答えた。
ルイは会った事も無い人間の為に、こんな目に会っているのか…。

「諦めれば良いのに」

諦めれば俺が……

?!

「俺は今、何を考えた?」


《六日目》

俺は幼馴染みだからルイを心配してるんだ。
これは…そう!幼馴染み、友達が奪われるのが嫌なだけだ!

 
《七日目》

「も、やだ」

「く、るしい」

「まだ、がまん、できる」

「あく、だ」
 
ルイが度々小さくだが弱音を吐いた。
流石にこれ以上はルイが狂う。

「…もう無理だな。薬を投与しろ」

「分かりました!」

セバスが急いで薬の準備をする。
俺とキリエはただ、ルイを見ていた。

「すてないで、すてないで」

捨てない。俺はルイを捨てない。

「ロイス…まだ、ぼくは」

「~~ッ!」

ロイス殿下、貴方にルイは渡さない。

ルイは俺の大切な、大切な幼馴染みだ。







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