例え何度戻ろうとも僕は悪役だ…

東間

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【暗示】

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「……だ!……………ろ!」

誰かの声が聞こえる。懐かしい声。そうだ、この声はロキ様の……

「ですから………なんです!……………い!」

セバス?声を荒げるなんて珍しい……

僕は泥のように暗い重たい場所から意識を上げていく。

「なら何でルイは倒れたんだよ!誰かに精神魔法を掛けられたに決まってる!」

精神魔法?ロキ様。僕には精神耐久スキルがついていますよ?相当な使い手じゃないと無理ですよ。

「精神魔法何て世界に5人もいるかいないかの古代魔法の系統ですよ!それより五月蝿くしたら坊ちゃまが起きてしまいます!五月蝿くするならお帰りください!!」

僕はもう起きちゃたんだけど……と言うか気がついてないのかな?

「あ、あの……」

僕はそこでハッ!と気が付く。ロキ様が小さい事に、ロキ様が生きてる事に……やはりどう足掻いても現実なのだ……

「ルイ!起きたのか!」

赤い瞳が僕に向けられる。あの時前の時と同じ様に……
目眩がする…ルイ・カロアスなのに演じられない…怖い。あの赤い瞳が、まるで僕を責めているかのようで……

「…ぃ……っ…!」

僕の声が聞こえなかったのだろう…ロキ様は笑顔で此方に向かってくる。あの瞳を僕に向けたまま……

「ロキ様。お待ちください。様子が可笑しいです」

無機質な声。
銀色の髪……キリエ様だ……狂ってしまった。こんなシナリオ無かった。
キリエ様はゲームが始まってから僕の前に現れなければいけないのに……敵として

キリエ様は攻略対象だ。
どうしようどうしようどうしようどうしようどうしようどうしよう……?どうすれば?

『殺せ』

「だれ……?」

無機質な声が何処からか聞こえる

「ルイ……?」

ロキ様がキリエ様の腕を払って僕に近寄ってくる。
来ないで僕は…皆の敵なのに…皆の敵……

『敵を殲滅せよ』

そうかこの声は僕の頭の中から聞こえるんだ‥‥

頭がボー、としてくる。それでも僕は考える事を止めない。

『敵を殲滅せよ』

殲滅殲滅殲滅殲滅殲滅殲滅殲滅殲滅

「我に従えし魔の物よ…」

僕の周りに黒い魔法陣が出来る。

キリエ様はロキ様を後に隠して抜刀し戦闘体型をとった。

敵敵敵敵敵敵敵敵敵敵敵敵敵敵敵敵

「その姿を表せ、我にその名を示せ天空覇者!グリフォン!」

黒い魔法陣が点滅する。魔力がギリギリなのだろう。でも、敵なんだ。戦わないと敵敵敵敵敵敵敵敵敵敵敵敵敵

「グリフォンっ!?何故Sランク魔獣が!?」

セバスがそう言うと魔石を取り出しシールドを展開する。

敵を‥‥守って‥る?セバスも敵‥‥??

全員‥‥敵だっ‥‥!

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「殺せっ!僕の敵を全員殺せっ!!」

グリフォンは翼を広げ風を起こす。その尖った黄色いくちばしでシールドを攻撃するが割れない。

あれは……!

『セバスは危なっかしいからあげるね!』

敵の一人が持っているのは小さい頃僕がセバスにあげたシールド用の魔石だ。

セバスは?……まさか……

「殺せ殺せ殺せ殺せコロセコロセコロセコロセ」

殺してやる…

「ルイ!聞こえないのか!!ルイ!」

敵の一人が僕の名前を呼ぶ。何で知っているのだろう?

「ロキ様!お下がりください!」

セバスの魔石を持ったやつが叫ぶ。絶対に殺す。

「と言うか逃げろ!馬鹿!」

銀髪がグリフォンに一撃を入れ火魔法を連続で打つ。

「敵の癖に中々やるな」

かれこれ30分は続いてる。でも、そろそろ決めなくちゃいけない。じゃないと魔力が……

「目を覚ませ!ルイ!このままじゃいくらお前でも魔力切れを起こすぞ!」

うるさい。うるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさい
あぁそうだ。黙らせれば良い……

「グリフォン。あいつの喉を切れ」

グリフォンは無言で僕から魔力を取っていく。いつも喋ってくれるのに…すねてるのかな?

『主よ。すまぬな』

お腹の場所に強い打撃がぶつかる。しまった、と思いながら僕は再び気絶した。





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