例え何度戻ろうとも僕は悪役だ…

【悪夢】

眩しい……

僕は瞼に当たる光が辛くて目を覚ました。
赤黒い天幕が視界に入る。
僕は走馬灯かな…？っと思い自分の頬を抓ってみたが痛みがあったので現実だと知る。

僕は死んだはずなのに……

黒をモチーフとされた高そうなベットから降り僕は違和感に気が付いた。
まさかと思い金の縁取りの縦鏡の前に向かった。

足が早歩きになる、それでも何時もより時間が掛かった気がする。

「なんで……」

鼓動が早くなる、呼吸も少し乱れてきていた。
鏡には…黒髪の少年、ルイ・カロアスが写っていた。

瞬時に分かった。僕はもう1度この世界ゲー厶で生きて行かなければいけない、と…また悪役としてっ

「なんで」

舌足らずな子供独特な声が出る。自分がルイ・カロアスと言う何よりも確実な証拠。

誰かが僕で遊んでいる、そんな気がしてならない。

「なんで」

どうして僕なの？なんで？どうして？

頭の中はそればかりで僕は自分が呼吸をしていない事に気が付かない。

頭がクラクラする。瞳が、体が熱い。

「失礼します、坊っちゃま。ロキ様がお会いになりたいそうです」

優しい声……

間違いない。執事のセバスだ……なんでなんでなんでなんでなんでっ！
僕はまたやり直さなくちゃいけないのか！！なんで！なんで！

「坊っちゃま？……すみませんが失礼しますね？……っ坊っちゃま！？どうなされなのですか？！誰か！坊っちゃまがっ！」

ドタドタと複数の音が聞こえると同時に僕は気絶した。

夢なんだ…きっとこれは悪い夢……